悪役令嬢の双子の兄

26

そんなに見られると穴があくわ。本当にやめてくれ。


そして、数分後やっと顔をはなしてくれたと思ったら、




「…なわけないよな。やっぱりむかつく」



と、またも意味不明な発言を言う。



はぁ？

勝手に見といてムカつくって何だよ。


今のはキレてもいいぐらいなんだけど、これ以上関わりたくなかったため、睨んで横を通り過ぎた。


だが、またも止められ、次は襟を掴まれた。

おいおい。




「ムカつくなら関わるなよ！」


面倒なことは嫌いだが、我慢できずに言ってやった。限界だ。




「…チッ。うるせぇ」



「初対面でそんなこと言う奴は嫌いだ」


一応、幼少期にパーティーで会っているがそれはマリーを装って女装した俺であり、こいつからしたらある意味初対面である。


まぁ、小さい頃の第一印象も悪かったけど、現在も最悪だな。



すると、周りも俺たちを見てヒソヒソなにか言っていた。きっとまた俺が悪口言われているに違いない。


本音は早く、マリーのクラスに行って驚かせたいのに本当邪魔だ。





「俺急いでいるんで、もういい？」


「……せ」


「なに？」



「今言った嫌いは取り消せ！」


「はぁ？」



「似てんだよ、お前。小さい頃のマリーに」



「そりゃあ、双子ですから」


俺がまさに正論。似ているのは当たり前だ。




「だとしてもだ」



「なにそれ。嫌われるようなことしたのはそっちだろ。安心しろよ、俺はマリーじゃないから」



ちなみにマリーは、こんな性格の悪いお前のこと気になっているみたいだぞ。

優しくて、可愛いマリーはすごい。





「それでも、なんか嫌なんだよ」



この男は何を言っているんだ。

いくら似ていても俺はマリーじゃないからどうでもいいだろ。



「早く取り消せよ」


何も言わずに黙っていたら、そう催促してきた。


嘘だろ。子供かよ。



「嫌だ」


思い通りにいくと思うなよ。



「生意気だな」


「それはそっちだろ」



「俺が誰だかわかってないみたいだな」


「知ってる。レオナルド・ベインだろ？」




「…っ！な、なんだ知ってたのか…そうか」




俺が知らないとでも思ったのか。

攻略対象は全員知ってる。




「じゃあな」

この流れに乗って抜け出せると思ったが、



「おい。待て！まだ話は終わってないだろ。早く取り消せって」



しつこいな。




「はぁ…わかった。嫌いじゃないから」



もう俺が折れないと、絶対開放してくれなさそうだから、仕方なく折れた。


本当は嫌いだ。

大人の対応をした。











「あれ…？アレン、こんなところでどうしたの？」


すると、マリーが何で？と言ったような表情で俺たちに近寄ってきた。

タイミング悪くばったり会ってしまった。





うわ…最悪だ。