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しおりを挟むリアムが去った後、マリーは深いため息をついた。
「私、アレンが心配…このままだと大丈夫かしら」
マリーはこんなに俺を思ってくれていたのか。
「俺なら大丈夫だよ」
心配してくれるなんてマリーは本当にいい子に育ってくれた。
「わかってないわねぇ…。もうアレンのために本気出すから」
「…?」
「アレンはわからなくてもいいわよ」
マリーは何かを決意したみたいだった。本気って言っていたから…もしかして今会ったリアム様に恋したとか…?なら俺も本気で応援する!マリーのために今後、どう行動するか計画を立てなければならない。
そう考えていたらもうマリーとのお別れの時間がきた。
「マリー、俺のクラスこっちだからまたあとで」
「じゃあ、終わったらすぐに会いに行くわ」
マリーは一瞬寂しそうな顔したが切り替えて、別れた。
さっきまで、離れたくないと意地を張っていたのにあっさり離れていってしまうと寂しくなってしまう。
そんなことを考えながら俺は自分のクラスへ入ると、クラスメイトの視線が突き刺さった。
多分、ワグナー家だから、みんなからは良い印象がないんだろうなと思った。
とりあえず、周りを気にせず席につくと、誰かが横に座った。
チラッと横をみると…、えっマジ…?オリバー・シェーンがいた。
え、待って、なんで隣に座るの、他にもたくさん空いている席があるのに…。
オリバー・シェーンはふわふわした雰囲気だがかなりのイケメンだ。さすが攻略対象であるだけはある。身長もまぁ俺よりは5㎝くらい高いのかな。
隣にいる俺大丈夫…?すぐ殺されたりしないよね…?
すると、見過ぎていたのかオリバーと目が合った。オリバーも俺と目が合ったことに気付くと、思い切り視線を逸らされた。
…うん。多分、俺嫌われていますね。わかります。今の態度は嫌でもわかってしまう。もう傍観者でいようとそう心に決めた時だった。
「あ、あの…」
小さい声でオリバーが俺に話しかけてきた。しかも緊張しているのか頬を少し赤く染めて。
「僕のこと覚えている?」
小さい声でゆっくりと俺に問う。
「え…?」
「突然ごめんね!僕はオリバー・シェーン。小さい頃会ったけど…」
あ、もしかして俺をマリーだと思っている?いやいや確かに小さい頃会ったのは俺だけど、あれはマリーの格好だったから。まず、制服見て。男です。
「多分それはマリーだよ。俺の双子の妹」
「え、うそ…。君がマリーじゃないの?」
「違うよ。俺はアレン・ワグナー。マリーとは双子だから似ているだけ」
オリバーは大人しいキャラだけど、感は鋭いから気を付けないと。
「そうなんだ…、間違えてごめん」
「いいよ。気にしてないから」
オリバーは相変わらず、優しい子だな。
「ありがとう。隣に座っちゃったけど大丈夫?僕人見知りでこの後ろの席が良くて…」
そっか。オリバーは人見知りだから俺が座っているこの後ろの席についたんだ。
「もちろん。オリバーこそ俺と隣でいいの?」
「なんで?」
不思議そうに聞いてくる。
「だって、俺ワグナー家だし」
「関係ない」
あぁ、いい子だ。
よし!こんないい子にはマリーと会わせてあげたい!
「ありがとう。ねぇ、良かったらあとで、マリーと会わない?」
「…いいの?」
俺が頷くと、オリバーは嬉しそうに微笑んだ。もしかしてオリバーと友達になれるかな?
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