7 / 43
7
しおりを挟む「そんな緊張なんかしなくていいよ」
いや、それは無理です。なんて言えないので、
「ご、ごめんなさい。今日パーティーに初めて参加して、それに家族以外の人とあまり話したことなくて…。リアムみたいな素敵な方と話すなんて私にはハードルが高すぎて…」
とりあえずそう言っておこう。
本当のことだし。あと、推しだし。
「そっか。マリーは可愛いね」
よしよし、と俺がいつもマリーにするようにリアム様は俺の頭を撫でた。
「優しくしていただきありがとうございます。少し緊張がとけてきました」
頑張ってリアム様と顔を合わせ、笑みを浮かべた。すると、バッと目を逸らされてしまった。
え。悲しい。頑張ったのに。
ちょっと傷ついた。
「す、すみません。今度は僕が緊張してきました」
頬を赤くし、慌てるリアム。なんだ子供らしい反応もするんだな。
「ふふ、リアムは面白いね」
「…っ!もう僕の心臓を悪くさせないでくれ」
リアム様は小さい頃から良いキャラだったんだな。このパーティーイベントに参加できてラッキー。多分俺だけが知っていることだ。
「マリーのことを教えてくれないか?その、知りたくて」
「いいよ。そのかわりリアムのも教えてね」
「もちろん」
お互いの趣味やいつも何をしているかなど他愛もない会話をした。
「へぇ、マリーはお菓子も作れるのか。すごいね。今度食べてみたいな」
そうだ。俺の妹のお菓子はすっごく美味しい。
リアム様とならマリーとくっついてほしいな。こんな良いキャラとあんな可愛い妹のマリーだ。きっと気が合うに違いない。
とりあえず、マリーの良さを伝えて好きにさせ、婚約者候補の申し出をさせないと。
「ふふ、いいよ。将来私の旦那さんになったらね」
どうだ。どうだ。
「…いいのか?」
目を見開いて、ゴクンと、息をのむリアム様。
「もちろん。あ、いやならいいけど」
「いやなわけがない!!僕以外の奴と一緒になるなんて想像しただけで今死にそうになった」
「リアム大袈裟だよ」
「真剣だよ!」
「そっか。ありがとう」
あぁ、推し尊い。心の中で手を合わせる。
長く話したおかげで、敬語も使わず、同級生のように話せた。
「リアム、挨拶の時間よ」
すると、遠くの方でリアムを呼ぶのが聞こえてきた。 そうだ、リアム様は王の息子だ。他の人たちとも顔を合わせないといけない。
「またマリーに会える日を楽しみにしているよ」
「うん、私も」
そう言って、座っていた椅子から立ち上がろうとしたら慣れないヒールのせいで体がよろけてしまった。
「わぁっ!」
「マリー!」
盛大に転んでしまった。しかもリアムを押し倒してしまった。
ってあれ?何か口に当たって…。
目を開けると、リアム様とキスをしていた。
え。
「ご、ごめんなさい…!!ケガは?」
俺はすぐに退いた。やばいやばい。俺はなんてことをしてしまったんだ。
運良く陛下は見ていない。
いくら事故でも王族にキスなんてしたってバレたら…、『マリー嫌われの道へ』うわああああ。だめだ、だめだ!!!
処理できない情報量に頭を抱える俺。
すると、ゆっくり体を起こしたリアム様。
「ケガはしていないよ。マリーとならもっと素敵な場所でしたかったな…、ってマリー?泣いているの?」
もうここはウソ泣きだ!!
386
あなたにおすすめの小説
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
魔王様の執着から逃れたいっ!
クズねこ
BL
「孤独をわかってくれるのは君だけなんだ、死ぬまで一緒にいようね」
魔王様に執着されて俺の普通の生活は終わりを迎えた。いつからこの魔王城にいるかわからない。ずっと外に出させてもらってないんだよね
俺がいれば魔王様は安心して楽しく生活が送れる。俺さえ我慢すれば大丈夫なんだ‥‥‥でも、自由になりたい
魔王様に縛られず、また自由な生活がしたい。
他の人と話すだけでその人は罰を与えられ、生活も制限される。そんな生活は苦しい。心が壊れそう
だから、心が壊れてしまう前に逃げ出さなくてはいけないの
でも、最近思うんだよね。魔王様のことあんまり考えてなかったって。
あの頃は、魔王様から逃げ出すことしか考えてなかった。
ずっと、執着されて辛かったのは本当だけど、もう少し魔王様のこと考えられたんじゃないかな?
はじめは、魔王様の愛を受け入れられず苦しんでいたユキ。自由を求めてある人の家にお世話になります。
魔王様と離れて自由を手に入れたユキは魔王様のことを思い返し、もう少し魔王様の気持ちをわかってあげればよかったかな? と言う気持ちが湧いてきます。
次に魔王様に会った時、ユキは魔王様の愛を受け入れるのでしょうか?
それとも受け入れずに他の人のところへ行ってしまうのでしょうか?
三角関係が繰り広げる執着BLストーリーをぜひ、お楽しみください。
誰と一緒になって欲しい など思ってくださりましたら、感想で待ってますっ
『面白い』『好きっ』と、思われましたら、♡やお気に入り登録をしていただけると嬉しいですっ
第一章 魔王様の執着から逃れたいっ 連載中❗️
第二章 自由を求めてお世話になりますっ
第三章 魔王様に見つかりますっ
第四章 ハッピーエンドを目指しますっ
週一更新! 日曜日に更新しますっ!
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる