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しおりを挟む「ご、ごめんなさい。わ、私、その…キスが初めてで。恥ずかしいから誰にも言わないでほしいの」
「もちろん、言わないよ。君と二人の秘密だ」
よし。これでひとまず大丈夫だろう。
涙を拭き、約束した。
「じゃあ、僕は行くね」
リアムは陛下の所へ向かって歩き、急に後ろを振り返り、俺に手を振りながら『責任は必ずとるからね』と言っていた。よくわからんが、手を振っておこう。
はぁ…。危なかった。リアム様がいなくなった後、ゆっくり椅子に腰かけた。
まぁ、ゲームの中でマリーはリアム様のことを溺愛していたし、マリーの株あげといて良かった。
すると、俺は休む暇なく誰か近づいてくる足音がした。
「うわ、最悪。誰かいるじゃん」
「本当だね~」
すると、どこからか声が聞こえてきた。声の方を振り返ると、いかにも悪ガキですっていう感じの俺と同じくらいの男の子が二人いた。
もしかして、それ俺に言ってんのか。もしかしなくても絶対そうだよな。ここには俺しかいないし。
なんだ、こいつら。生意気だな。
「おい、そこの女。邪魔だ」
「え~、女の子にそれはきついって~」
クソガキめ。むかついたので、退かない。
はいそこー。大人げないとか思った人。俺は、こいつらの言葉に腹を立てたので、悪いのはこのクソガキどもだ。
二人の言葉を無視していたら、ちょっと一人がキレ出した。
「この俺を無視だと!?俺はレオナルド・ベインだぞ!」
「あ、ちなみに俺はヴァル・リードだよ~。君超タイプ」
レオナルドに、ヴァル…?
あぁ…、また攻略対象じゃん。
なんだよ、このパーティーイベント。よく会うな。
公爵家の息子レオナルド・ベイン。俺様キャラで有名。ゲームの中では、とりあえず言うことに従っていれば好感度アップしてクリアしたキャラだ。
そして隣にいるチャラそうなのは、伯爵家の息子ヴァル・リード。腹立つツイストパーマに、ゲームの中でも本当にチャラかった。
幼少期の性格もゲームの設定と崩れていないんだな。 新たな発見。
「なんだよ、その目は!生意気だ」
それはお前だよ。
ゲームでは実際に関わらないし良かったけど、現実にこういうキャラ相手すんの疲れるかも。
「ん?あれ、よく見たらワグナー家の子じゃん」
ヴァルが余計なことを思い出す。
空気読めよ。
「ワグナー家…?はっ、あの汚いやり方をする家の者か」
レオナルドは俺を見て、馬鹿にするかのように鼻で笑った。
「あの家の娘だから、こういう態度しかとれないのか。落ちぶれたな」
何だよ、こいつ!さっきから聞いていれば文句ばっかじゃん。
「早く名前教えろよ。笑ってやるから」
もうだめだ。我慢の限界。
パシンッ!
レオナルドの頬を叩いた。
「あんたに名乗る名前なんかない!!」
「…へぇ、上等じゃん。今のこと覚えとけよ」
そう言い残し、レオナルドはその場から逃げていった。
勢いで叩いてしまったが関係ない。
覚えとけよ、は負け犬の決まり台詞だ。あいつが何か仕掛けてきても俺がマリーを守る。あんな最低な奴は、マリーに近づけちゃだめだ。
「ごめんね~。君に酷いこと言って」
残ったヴァルが代わりに謝ってきた。
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