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しおりを挟む「それはいいことだ。ひとまずこの話は一旦保留としよう。落としてこそ男だ。同じ気持ちになるまで頑張りなさい。私としてはルアンのこと気にいったので前向きに考えてくれてるとこちらとしては嬉しい」
「あ、ありがとうございます。ですがきっと僕よりいい人が見つかると思うので、まだ婚約者は決めるには早いと「いや、私は絶対ルアンが良いです」
言葉を遮ってダリルは立ち上がり、俺の手を握る。しかもだんだん強く力を込めてきた。こいつ…!周りに気づかれない程度の嫌がらせをしてきた。また剣の訓練しているのか剣ダコが硬くて痛いんだが。認めたくないが将来、最年少で騎士団長にのぼりつめるだけあると感じさせられた。
というか、せっかく人が優しくまとめてんのに邪魔をしないでくれ。俺の人生だぞ!お前が決めようとするんじゃない。
「そういうことで、ルアン。ダリルに家を案内してきたらどうかしら?きっと仲良くできると思うの」
私たち大人はこれからやることがあるの、と言って母は俺たちを二人きりにさせようとしている。そんな配慮いりませんけど!?
ほらほらと言って、ダリルと俺は部屋から追い出された。そして母たちはお茶会。父たちは仕事の話をするとのことで、あっけなかった。結局、婚約の件はついでだったのではと思えてきた。何親同士で仲良くなってんの。
まあ、こうなったからにはとりあえず、適当に案内して帰ってもらうことにしよう。そしてダリルは俺以外誰もいないとわかった瞬間、豹変した。
「おいお前、何様だ?」
本性のお出ましだ。先ほどとは違って、声色が変わる。猫被りしていたとすぐにわかった。
「やっぱり演じてたのか。もう怖すぎなんですけど」
「まあ何とでも言え。俺と婚約してさっさと学園をやめろ。お前みたいなのは誰ももらいたくないだろうし、将来が心配だと思わないのか」
「いや全然」
「うっ、…お、俺だって本当はお前なんかもらいたくない!でもお前の悪事に目を離すわけにはいかないから…これは仕方なくだ!」
嫌だったら解放してくれよ。と内心思ったがこいつの中の正義感があるんだろう。それを壊すにはどうしたらいいものか。原作でこいつのこと調べておけば良かったと一瞬思ったが興味なかったので調べても記憶に残らなかっただろう。
「ダリルも嫌だったらそれでいいんだよ。自分の心に嘘つかなくていい」
「う、うるさい!俺に指図するな!」
「えぇ…」
めちゃくちゃ頑固だ。これはお手上げ。実力は良くても性格がこんなんだったら騎士団長になれるのかよ。と失礼なことを思ってしまった。
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