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しおりを挟む「さっさと案内しろ。お前の部屋はどこだ」
「え、俺の部屋?それは無理。いやです」
ただでさえ同じ空間にいるだけで嫌悪感を抱いているのに部屋にまで入ろうとしてやがる。家の案内を頼まれただけであって、俺の憩いの場でありテリトリーに入ってこないでほしい。
「くそ。じゃあ、誰もいないところに案内しろ!」
誰もいないところか。まあ誰かがいたら本性出せないからだろう。うるさいので日当たりの良い庭を案内した。そして、休憩として家の中で一番大きな木の下で腰をおろした。
「ふーん。俺の家の次くらいに立派だな」
「そりゃあどうも親の力です」
自分の力で建てたわけじゃないから自慢してもしょうがない。
「どうしてもっていうなら今度うち来てもいいぜ」
「いや、大丈夫です」
俺はすぐに断ることができるタイプの日本人です。
「後から来たいって言っても遅いぞ。まあ、別に今じゃなくてもいいか。将来、来ることになるし」
まだ諦めてなかったのか。とため息をつきたいのを我慢する。別に悪さなんかしないよ。
あ、こいつのこの目は絶対、俺が悪さするだと考えているだろうから、仮にも婚約が決まったとして自由にせず閉じ込めるに決まっている。そんな人生よりエイデンのライバルとなって名を残したい。その方が一億倍かっこいい。ダリルはエイデンと冒険できるって羨ましいぜ。俺も強くなりたいな。戯言じゃなくて強くなる助言とか言ってくれたらいいのに。
「そういえば興味は特にないけど、剣の訓練できる場所はあるの?」
「興味ないってなんだよ!剣の訓練は毎日やってるからあるに決まってるだろ!な、なんでそんなこと聞くんだよ」
「そうなんだ。さっき握られた時、剣ダコあったから」
ダリルの手をとり、これこれと指さす。
「さ、触んな…っ!」
「はぁ~?さっきお前は俺のこと触っただろう!」
触ったら手を払われた。自分は良くて俺はだめなのかよ。怖いよこの人。
「だ、黙れ!そ、それに今思い出したがよくも親に俺から酷いこと言われたとバラそうとしたな!上手く誤魔化せたからいいものの」
「でも本当のことじゃん」
こいつが実は猫被ってますと最後まで言わなかった俺を褒めてほしいくらい。てか、急に情緒不安定やめて。こちらでは対応困難なのであんたの両親呼んできてもいいですか。
「お、大人しく俺と婚約しろよ。お前に拒否権なんかない!」
「悪いけど、お子ちゃまには興味ないんだ」
ここは、大人の対応をしてあげよう。無理強いは良くないよと教えてあげたい。
「俺はお前より大人だ!この前、朝起きたら白いやつ出たし、ほら今だって少し大きくなってるぞ!」
と言われて手を掴まれ、気づくと右手にむにゅと少し硬めのものが触れた。
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