超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ

文字の大きさ
21 / 71

21

しおりを挟む


【エイデンside】


今日は初めての魔力測定日。今朝どういうわけかヘンリ爺さんに胸張ってきなさいなんて言われた。本当読めない人だと思った。


魔力測定という特別な日であるため周りの生徒たちのほとんどが緊張していた。実際俺自身も不安だ。せっかくこの学園に通わせてもらった以上、役に立ちたい。ルアンはどうだろうか。気になってルアンを見てみると、周りの取り巻きたちにも指摘されるくらい、いつもより口数が減ってて緊張しているみたいだった。どうやら集中しているようだった。ルアンがこの日のために頑張っていたことは知っている。

毎日難しいそうな分厚い本を読んでいて、何を読んでいるんだろうと気になって遠目から見たら『魔力とは何か』や『魔法哲学』といった魔法のことが書かれている種類の本ばかり読んでいた。密かに魔法のイメージのトレーニングだろうか、瞑想のようなものを隠れて訓練していた。地道に頑張り、努力している姿が健気で愛おしく思えた。その上、尊敬してしまう。だけど反面、以前はしつこいくらい話しかけてくれたのに最近はそれがなく寂しさでいっぱいだった。


それから、魔力測定の結果が出た。ルアンがF-10で俺がSSS-100という魔力値。魔力についてよく分かってなく、この状況に不安だった。

その場にいた全員が俺の魔力値に驚き、特例で再度計り直しとなった。それでも同じ結果は変わらず、この日から俺を見る周りの目が変わった。


SSS-100は誰も聞いたことがないらしく、異常なくらいに魔力値が高いことを知った。とても珍しいのか知らない人からたくさん話しかけられても嬉しいとは思わなかった。みんなの態度がこれまでと変わり違和感を覚えた。

俺が今一番話したい相手はルアンだ。ルアンはいつものように図書館へ向かっているようだった。俺から話しかけないと多分、この先一生話してくれないと思った。たくさんの人を押しのけてルアンの後を追った。



「ルアン…おはよう。ちょっといいかな」

「え、」


急に話しかけたから驚くのも無理ない。当たり前だよね。話しかけられたのはいいが今にも俺から離れていきそうでルアンは、一歩後ろに下がり身構えている様子だった。



「その…最近話しかけてくれないなって思って…勝手についてきてしまってごめんね」

「お、俺様がなんでお前なんかと話さないといけねぇんだ!誰かさんと違って忙しいの」

「忙しいのは十分知っているんだ。できれば一緒に本が読みたくて」


「も、もしかして馬鹿にしてる?あーいいですよねみんなにチヤホヤされてる人は。俺より自分の方が忙しいんじゃない?何自慢しにきたわけ?」


「馬鹿になんてするわけないだろう!待って誤解だ。ルアンのこと尊敬しているくらいなんだ。だからもっと話がしたいと思った」


誤解したままなんて、いやだ。咄嗟にルアンの両手を握る。細くて小さくて今にも折れそうで少し震えていた。ルアンにそう感じさせてしまった俺が悪い。傷つけてしまったのなら謝りたい。


「お前だって知ってるだろ?俺が魔力F-10ってこと!そうだよ落ちこぼれだよ。悪い?それなのに尊敬って意味わからないぞ!信じられない」



「落ちこぼれなんてそんなことない!本を読んだり密かに訓練してたり、人一倍努力してるの知ってる」


「え…」

「ずっと見てた、ルアンのこと」


ルアンは少し捻くれたところもあるが素晴らしい人だ。だから自分を責めないでほしい。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

災厄の魔導士と呼ばれた男は、転生後静かに暮らしたいので失業勇者を紐にしている場合ではない!

椿谷あずる
BL
かつて“災厄の魔導士”と呼ばれ恐れられたゼルファス・クロードは、転生後、平穏に暮らすことだけを望んでいた。 ある日、夜の森で倒れている銀髪の勇者、リアン・アルディナを見つける。かつて自分にとどめを刺した相手だが、今は仲間から見限られ孤独だった。 平穏を乱されたくないゼルファスだったが、森に現れた魔物の襲撃により、仕方なく勇者を連れ帰ることに。 天然でのんびりした勇者と、達観し皮肉屋の魔導士。 「……いや、回復したら帰れよ」「えーっ」 平穏には程遠い、なんかゆるっとした日常のおはなし。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...