超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ

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終始固まるルアン。ハッとなったのが手を振り解かれ距離を空けられた。ルアンを見ると少し頬が赤くなっている。いつも強がりな態度だがたまに隙のある弱さを見ると心がぎゅっと掴まれてたまらなくなる。

見てたなんて今更言ってしまったが引いたらどうしよう。内心、言葉の選択を間違えてしまったと後悔する。


「ど、努力することは当然のことだ!あとずっと見てたとか嘘つくなよ。いいか?俺はお前より強くなるからな。じゃあな」


「ま、待って!」


引かれていないのは安心したがルアンはそのまま図書館に入ってしまった。ルアンと仲良くなりたい。このまま諦めたくない。俺が話しかけなければ多分一生話してくれないと思う。そんなのは絶対嫌なので行動に出た。



「何読んでるの?」

「わっ!」


気を抜いていてたのか本に集中していたのか驚かせてしまった。そういう反応する姿可愛い…。本を読んでいたルアンの横の空いている椅子に座った。


「び、びっくりさせるな!」

「ごめんね。どうしても気になって」

「敵に教えるわけないだろ!あと本に集中したいから一人でいたいのに邪魔するなよ。それに言っておくけど俺はお前と関わりたくないの!」


「敵だなんて悲しいこと言わないで。俺はルアンと関わりたい。なぜ俺のことそんなに嫌っているんだい?直すから知りたい」


「うっ…、」


ルアンに異常なくらい嫌われてるのは薄々感じている。その理由が知りたい。このまま引き下がることはしたくないし、こっちから押していかないとだめだ。




「き、嫌いな理由なんていっぱいあるぞ!」

「教えてよ」


悲しいけど、教えてくれるなら好都合。




「へ、平民のくせに、俺より魔力があって…、背が高くて、俺の次に顔が良くて…」


え、今、褒められた…?

ルアンもやってしまったというような顔をする。そしてバツが悪そうに黙り込んだ。俺に対してそんなこと考えてたの。嬉しい。てっきり、同じ人間として思われていないとでも言われるのかなと思った。許されるなら抱きしめてもよろしいだろうか。



「じゃあ、俺はルアンの好きなところを言うね」


「おいおい、なぜそうなる」


「ルアンと仲良くなりたいから」


少し考え込むルアン。仲良くなる方法があればすぐにでも付け込みたい。待つなんていう余裕なんてない。




「そ、そんなに俺と関わりたいならいいだろう。…下僕なんてどうだ?」


にやりと口角を上げる姿もサマになって可愛く見える。本当に俺と仲良くなりたくない案だなと思ったがそれでもいい。


「…いいの?」

「いや、嘘だろ」


「嘘じゃないよ。ルアンと関われるなら今はそれでもいい」


言った本人もびっくりしている。俺の反応が想像の逆だったんだろう。でももう遅いよ。早く折れて。







「す、好きにしたらいい」


「やった」


隣で話せるなら下僕でも何でもいい。これからルアンと仲良くなるきっかけがあれば嬉しい。


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