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しおりを挟むもしかして、ヘンリ爺さんが言っていたいいことってこのこと?だとしたらすごい。
もらったブレスレットを見つめる。売ればなんて言われたけどそんなことできるわけない。初めて人から物をもらった。心が温かくなる。誕生日という日もあって本当にこれをプレゼントと呼んでもいいものか。
こんな貴重なものを俺にくれるなんて、絶対大切にする。もらったばかりのブレスレットを自分の腕に付けてみる。さっきまでこれをルアンが付けていたと思うと変な気持ちになる。
その日家に帰ったら、腕に付いているブレスレットに気づき、プレゼントだと言うとヘンリ爺さんも嬉しがっていた。『今度連れてきておいで』なんて言われたので誘ったら断られそうだ。
でもいつか紹介できたら嬉しい。
「おいお前。なぜそれを?」
次の日、ご機嫌ななめのルアンが早速現れ、ブレスレットを指差した。気づいてもらえたと、勝手に嬉しくなり自然の口元が緩む。
「ルアンにもらったから。…似合ってる?」
見えやすい位置まで、腕をあげた。
「た、確かにあげたけど、俺様が付けてたブレスレットなんだぞ」
困った表情も可愛い。今までのルアンとは様子が違って動揺しているのが珍しい。
だけど少し調子に乗りすぎたかもしれない。
「じ、実は昨日誕生日だったんだ…。今までプレゼントというのを貰ったことがなくて…それで舞い上がってしまって」
「え…」
俺の誕生日だなんて知らないと思うけど、ルアンには伝えたかったし、なぜか知ってほしいと思った。
「しかもこのブレスレット…ルアンが大事そうにしてたものだってわかるから。だからそれをくれるなんて嬉しかった。ありがとう」
昨日、お礼を言うことすらできなかったからこうして言えてよかった。
「ふ、ふーん?プレゼントもらったことがないとか可哀想なやつ!そこまで言うなら一生大切にしろよ!無くしたり壊したりしてみろその時は覚悟しろな!」
「絶対大切にするね、ルアン」
「あっそ!」
このブレスレットは何があっても大切にする。
生意気が慣れてない感じと言い過ぎたかなっていう表情をする優しさが垣間見えて全部が愛おしく感じた。なんだろうこの気持ち。いろんな表情が見たいだなんて欲張りかな。ルアンのことが頭でいっぱいになる。
もっと声が聞きたい。
もっと近づいてみたい。
俺から話しかけたらきっと嫌がると思うけど、一歩ずつでもいいからルアンのことが知りたい。
授業中、遠い席に座っているルアンを眺めていると、最近難しそうな本を集中して読んでいる姿をよく見る。
隣で一緒に読んでみたい。
笑顔をまた見たい。
俺にもっと力があれば隣に立てるのかな。君に相応しい人になりたい。
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