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しおりを挟む【エイデンside】
俺は生まれてからすぐ孤児院に預けられ、貴族であるヘンリという名の爺さんに、5歳の時に引き取られた。だが俺を引き取ったせいかヘンリ爺さんは平民へ没落してしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいだったがひとりぼっちだった俺を見つけてくれて感謝の気持ちが大きかった。
最近では体をよく壊して、俺の前では『貴族時代にたくさん金は貯めておる』と平然を装うが嘘だと言うことは一緒に暮らしてきた中ですぐ気づくことだった。ヘンリ爺さん以外誰も頼る人がいないし、ましては10歳の俺に何もできることがないのが悔しかった。
ヘンリ爺さんは何とかして俺を魔法学園に通わせてあげたいらしく、その学園の理事長に頼んで俺を入学させてくれた。俺に今できることはこれくらいしかない。ヘンリ爺さんの願いは叶えさせてあげたい。これで恩を返せたとは思っていないが学園に通うことが決まった時には今まで見たことがないくらいとても嬉しそうな顔を浮かべていた。それを見た時、頑張ろうと思った。
「エイデン…お前は真面目すぎる。同世代の子とよく話して見てごらん。魔法学園に通う子は貴族の子ばかりだがちゃんとお前を見てくれる人が現れる。少し意地悪されたからって敵対視しちゃいかんぞ」
「わかりました」
「それに最初に声をかけてきた子は大切にするんじゃぞ。きっとわしと同じでいい目を持っておる。見込みがある子じゃ」
「こんな俺と話してくれたらいいですけど…」
「そんな卑下するな。お前はわしが見込んだ男だ。学園では勉強も大事だが恋でもしてみろ」
「恋…?」
「まぁ、いずれわかる日が来るはずじゃ、オホホ」
ヘンリ爺さんは俺よりも楽しそうだった。
正直、学園に通うの不安だった。ちゃんと同世代の人たちと話せるだろうか。ヘンリ爺さん以外、きっと誰も俺を見てくれない。
「おい!お前!!」
「?」
学園に通ってすぐに話しかけてくれた子がいた。振り返るとそこには同い年くらいの男の子がいて容姿に驚いてしまった。なぜなら容姿端麗って言葉はこの子のためだけにあると思うくらい美形だったのだから。初めてこんな子を見た。同じ人間とは思えないくらい綺麗ですぐに目を奪われる。
「お前!平民のくせになんでここに通えてるんだよ!!」
「え?」
どうやら俺はかなり彼に嫌われているらしい。
ヘンリ爺さんは『最初に声をかけてきた子は大切にするんじゃぞ。きっとわしと同じでいい目を持っておる。見込みがある子じゃ』なんて言っていたけど大丈夫だろうか。
その日を境に、ルアンという貴族の子に目をつけられて事あるごとに、意地悪された。
『意地悪されたからって敵対視しちゃいかんぞ』って言われたからにはそう思うことにした。この子だって何らかの事情があるはずだ。
この学園に通えてるってことだけで幸運なのだから、勉強を頑張りたい。そう思って過ごしていたら、特別なこの日がやってきた。
今日は俺が生まれた日。つまり誕生日。
誕生日だから特別というわけではなく、さらに素敵な出来事。
真っ暗だった世界が一瞬にして眩しくなった日。
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