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しおりを挟むあの、ちょっと整理させてもらってもいいですか。心の中で小さく手をあげた。今、困惑という二文字が頭の中を占めている。なぜなら、一度は経験してみたかった『転生』を身を持って経験しているのだから。普通、ありえないよね。わかるわかる。
転生者が『流行りの異世界転生しちゃったよ』って最初で驚くテンプレをまさか自分がだなんてさ、考えたこともなかったです。
本当にこれ現実?と思うけど、現実です!
『ブラックレール ~皆を救え~』という話題の魔法系アニメの世界に転生した。主人公のエイデンは平民出身だが魔力値がバカデカく、平民というだけで差別を受けていたが彼の実力は確かであり、何より顔がいい。チート級主人公が仲間と一緒に苦難を乗り越えてみんなを救っていく物語だ。恋愛要素は一切なく、成長系な感じだ。
こういう物語には必ず悪役というものが付きもので…。それがルアン、俺です。親にめちゃくちゃ甘やかされて育った超絶美形な悪役。主人公エイデンに酷いことをするいわゆる雑魚キャラだ。魔力値はいまいちだが貴族の息子のため権力を振りかざす卑怯者といった方がわかりやすいかもしれない。後々、主人公の強さに何も言えなくなり陰が薄くなるキャラだ。
エイデンはのちに伝説の英雄となり語り継がれ、アニメが人気な上に続編というのができたくらい。どんなに素晴らしくて素敵なものでも続編は一作目を超えられない。何をどうしたって二番煎じだ。世の中には目に見えない『超えられない高い壁』という不思議なことがある。 一作目は神作だとアニメ業界では有名な話だった。
という説明はひとまず置いといて…、神様このタイミングで思い出させるって酷じゃないですか?
目の前には、前世で推していた主人公エイデンさん。現在、跪いているその彼の頭を足で踏みつけてぐりぐりさせているのが我。そう俺です!
0.5秒くらい時が止まってた瞬間、大量な情報を思い出してしまった。おかげで今、吐きそう。
この状況どうすればいいんだよ。くそぉルアンてめぇ!何エイデンの綺麗な頭を踏みつけてんだ、何様だよ!!この方は主人公で将来みんなを救ってくれる最強男になる予定だぞ!!
なぜこのタイミングで思い出しちゃうかな。現在思い出したばかりだが自分がルアンっていうことはわかる。生きてきたルアンの人格と思い出した前世の俺が合わさっている感じ。現状は前世の俺の自我が強いって感じ。
はい、おしまい。悪役まっしぐらじゃん。救いようがないぞルアン。でもお前の気持ちは痛いくらい伝わってくるぞ。
と、まあ終始固まって現実逃避をしていたところに痺れを切らしのか周りがざわついた。
「なにしてんですか!いつものようにもっと足に力込めてくださいよ。平民風情が俺たち貴族と一緒にされてたら困ります!!」
あ~、俺の取り巻きモブがなんか言ってるよ。面倒くさいことになってきた。
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