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現在は10歳。王都にある貴族が通う『エンジェ魔法学園』に先月、突如彗星が如く現れた主人公エイデン。平民が貴族と同じ教育を受けるが面白くないと思った俺を含めプライドの高い貴族たちがこうやって幼稚なことをしている。


ちなみにこの学園は基本7歳からの入学だ。高等部までエスカレーター式。エイデンは俺たちと同級生。急に仲良くしましょうねとプライド高い貴族に言われても気に食わないのは当然のことだった。




「おいお前!ルアン様こそ、偉大なる魔法使いになる予定のお方だぞ!」


おいおい、取り巻きモブ黙なさい。勝手に盛るんじゃない。それで将来困るの俺だから今すぐやめてくれ。頼む。



この学園は10歳頃に初めて魔力テストを行う。

先月エイデンが学園来たばかりだから、来月魔力テストで俺は魔力が低値だとボロが出るんだ。エイデンは魔力測定具を壊すくらいの魔力で格の差を見せつけられる。そして余計に敵対心を抱くことになるというわけだ。


エイデンに対して今更、いい子ぶってももう遅い。ならいっそのこと悪役を貫いて本当に無敵のエイデンと並ぶくらい強くなればいいんじゃないか?何それかっこいいじゃん。魔力が低値だからといって完全に魔力が無いわけではない。努力すれば誰だってヒーローになれる的なことを日本のアニメが教えてくれた。

悪役という名のライバル的な存在になれば俺も語り継がれる程の伝説のなんとかになるかもしれない。よし、頑張ろう。決断力タキオン粒子です。





「あ~あ、こんなやつと関わるの飽きた。今までごめんね~?ほら、これお詫び。…ふっ、売ってきたら?」



悪役っぽく笑い、付けていた高そうなブレスレットをエイデンに渡した。


一応これ以上、問題を起こすのはカッコ良くない。いじめるというダサいことはしたくないが、確か今お金に困っていたはず。

エイデンは生まれてすぐ孤児院に預けられ、年老いた貴族の爺さんに5歳の時に引き取られた。その爺さんに才能があると見極められたが、爺さんは平民へ没落。だがしかし、この学園の理事長はその爺さんに恩があったため、爺さんの頼みでエイデンはこの学園に入学することができた。


だが、その爺さんは最近、年のせいかよく病気するようになっていてめちゃくちゃ高い薬なんて買う余裕がなかった。エイデンの前では平然を装い、『貴族時代にたくさん金は貯めておる』なんて笑顔で言っていたあのシーンで泣いたのを今でも覚えている。思い出したら泣けてくるから今は我慢だ。



あげたそのブレスレットを売ってどうか爺さんを助けてやってくれ。





「さすがルアン様…っ!蔑む姿もかわい…じゃなくてかっこいいです!!」


「こんなやつに時間を使ってる場合じゃないですよね!さすがです、ルアン様!」


「感謝しろよ!ルアン様のブレスレット羨ましい…げふんっ、じゃなくて、さすがです!」




モブ達がキラキラした眼差しの目で拍手する。




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