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無口ワンコ書記
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しおりを挟む【あおいside】
休日の午後。今日はとても良い天気でグラウンドからは部活をしている声など聞こえてきた。
僕は残念ながら体力に恵まれていないため部活はしていない。今日は本を片手に一冊持って中庭のベンチで読書をしようと考えている。
中庭のベンチは風通しも良くて、ベンチのところは陽を遮る屋根があるから落ち着いて読める最適な場所なのだ。
その中庭に足を運んで、ベンチに腰かけた。
本を開き読み始めた。ちなみに本って言っても絵が所々ある本で、所謂絵本の分類にはいる。
小説とか難しい言葉が出てくるし、漢字が読めないのが僕の欠点だ。それから集中して読み進めページを捲る度、すぅと涼しい風が髪をなびかせる。
僕が今読んでいる本は『勇気で強くなる』というタイトルで、主人公の少年はとても心強くて好奇心旺盛で人気者。
まるで僕と正反対。だけど、本を読むと僕がその本の主人公の立場になって想像することができる。本の世界でなら、強くなれそうな感じがして読むのが楽しくなる。
すると、途中まで読み終えた所で僕が座っているベンチの隣に新たなお客さんがきた。
「ニャー」
僕は本に栞を挟み閉じた。
「あ、あれ?も、もしかして…」
この前、屋上にいた猫さん…?
背中にあの珍しいハートの形をした黒斑があるのを見るとやっぱりあの屋上にいた猫さんだと確信できた。
「びっくりしたな…また会えるなんて」
猫って気まぐれって聞くしまたこうやって会えるなんてすごいと思った。
「久しぶりだね。元気だった?」
首の方を撫でると気持ち良さそうに目を細めた。すると、猫さんは僕の膝の上に乗り、立って僕の顔をぺろぺろと舐めた。
「はははっ。くすぐったいよ~」
もしかして、人懐っこいのかな?ふふ、可愛いっ。僕は猫さんを抱っこしてお腹の部分を撫でた。サラサラして肌触りが気持ちよかった。
「誰かに飼われているのかな?」
こんな綺麗に毛並みが手入れされていてどう見ても野良猫には見えない。
と、思ったら、またぺろぺろと顔を舐められた。主に口を舐められている。
「ふふ、だからくすぐったいって」
僕は本を読むのなんて忘れて、猫さんに夢中だった。
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