嫌われ者の僕

みるきぃ

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アンチ王道転校生

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【あおいside】


「俺の名前は花園瑞希って言うんだ!!よろしくしろよっ!」


すごい元気に自己紹介をした転校生くん。


ここからは前の席の方とかぶって転校生がどんな人なのかよくわからない。


「よし。じゃあ、瑞希は後ろの開いてる席な。…チッ、隣は 佐藤か」


「よし、あそこだな!」



僕の隣…?だから一つ机が増えてると思ったら、そういうことだったんだ。不良さん達は鋭い目をして睨んでいる。



『アイツ、生意気』


『顔はまあいい面してるが性格がな』


そう、ざわつき始める。



「ここが俺の席か!」


転校生くんは、僕の隣の席に座った。



「じゃあ、以上だ。おい俺の瑞希に手を出した奴、しめてやるから覚悟しておけ」


先生は、そうひとこと言って教室から出ていった。先生が生徒を名前呼びするなんて珍しいな…。不良さん達も驚いている。



「なあなあ、お前!」


転校生くんって一体何者なんだろ…。



「おい!聞いてんのか!!そこの地味なやつ!!!」


考え事をしていると急に肩を掴まれた。



「あ、ご、ごめん…!」



声をかけられるとは思わなかったからびっくりした。



「謝ったから許してやる!俺の名前は花園瑞希!!瑞希って呼べよ!!お前名前なんて言うんだ?」




「ぼ、僕…?佐藤あおいです…」



「あおいっていうのか!よろしくな、あおい!お前地味で暗そうだし友達いないだろ?よし俺がお前の友達になってやるよ!」




「と、友達…?」


生まれて初めてそう言われた。

と、友達になってくれるの…?僕なんかと…?




僕は急な展開についていけなくなった。黙っていると、花園くんは不機嫌な顔をする。



「なんだよ!俺が友達になってやるって言ってるのに嫌なのか?」



「い、いやじゃないよ!ただ、びっくりして…」




誰も今まで僕なんかと友達になろうなんて言う同級生なんかいなかった。なれないことにどう反応していいか戸惑ってしまう。




「なんだ!ただびっくりしただけか!全くあおいは紛らわしい奴だな!!」



「ご、ごめんなさい…」



「よしちゃんと謝ったから許してやる!あ、なあなあ!」


「な、なに…?」


「ここってさ寮制なんだろ!?」



「う、うん。そうだよ」


「楽しみだなー!!俺、自分の家以外で暮らすの初めてなんだよな!!あとで絶対一緒に寮行こうな!あおいは俺の友達だから部屋に入れてやるよ!」



僕の肩を揺さぶりながら話す花園くん。やばい…そんなに揺すると酔ってしまう…。




「―――――おい。そこ転校生くんよ」



「ん?お前誰だよ!!それに俺は転校生くんじゃねぇぞ!花園瑞希だ!!お前失礼なやつだな!」



花園くんが牙をむけている相手は、Zクラスの不良さん達の中で最も強い笹山くんだった。



「お前、俺のパシリとなれなれしくすんじゃねぇよ」


笹山くんは、僕を抱き寄せ花園くんを睨んだ。


うっ…。苦しい。

笹山くんは、強い力だ。




「あおい、こんな奴のパシリなのか!?」


驚く花園くん。花園くんは転校してきたばかりだからまだ僕が皆から嫌われていることをわかっていない。

僕のせいで花園くんまでも被害にあったら、せっかくの高校生活が台無しになってしまう。


さっき、花園くんは僕と友達になってやるって言ってくれたけど皆から嫌われていると知ったらきっと…僕なんかと友達になんか、なりたくないと思う。



「お前、転校してきたばかりだから教えてやるが、こいつは学園中の嫌われ者なんだぜ?そんでZクラスのパシリちゃん」


あ…言っちゃった。顔を下にうつむける。




「あおいが?あー、うん。そうだなこいつ、地味で暗そうだしな!だから俺が友達になってやったんだ!」


え…?

想像もしなかった言葉が返ってきた。


花園くんは、僕が嫌われていると知っても友達のままでいてくれるの…?




「おい、早く返せよ!あおいが苦しそうだろ!!」



「ちょ、おい!コラてめぇ!」


花園くんが笹山くんから僕を解放してくれた。



「あおい、お前嫌われていたんだな!!まあ、そうだと思ったけど!俺ってば優しいな!」



「と、友達でいてくれるの…?」



「当たり前だろ!!」



僕の背中をバシバシ叩きながらそう言った。



「あ、ありがとう…」




背中痛いけど、我慢我慢…。こんな僕と友達になってくれるなんて花園くんって優しい人だなぁ…。

しかも笹山くんと力の差がなかった。強くて明るくて元気で花園くんってすごい。




――――――
――――
――


……。





「あー!腹減った!あおい食堂行こうぜ!!」



今は丁度、お昼休み。



「あ、ごめんね…。お昼は約束している人がいるんだ」




誘ってくれてありがたいけど、僕はゆうと食事の約束をしているから断らないといけない。




「は?なんだよ!!俺よりそいつが大事なのか!?それにあおいは嫌われ者なんだろ?食べる相手なんかいないじゃねぇか!」



「大事というか…約束したのはあっちが先だったから…。え、えっと今から一緒に食べる人は僕の兄的存在で優しいんだ」



「ふんっ!嫌だね!俺は、絶対あおいと一緒に食堂に行く!!ほら行くぞ!!」



「ちょ、あ、は、花園くん…!?」



僕の腕を掴む。


「花園じゃなくて、瑞希って呼べって言っただろ!あ、もしかして恥ずかしいのか!!全くしょうがないな。今は花園でいいけど、ちゃんと瑞希って呼べよ!」


「え、えっと…?」



「返事は?」




ビクッ

「は、はい…っ!」



「よし。じゃあ、行くぞ!!」



「ちょ、待って…は、早い」



花園くんは、グイグイ引っ張り、強く腕を掴まれて教室をあとにした。


ど、どうしよう…。ゆうに言わないで食堂に来ちゃった…。約束破って、怒るかな?僕は、キョロキョロと周りを見渡す。


ゆうの姿はまだない。そりゃあ、そうだよね…。いつも待ち合わせしている所に行ってないから…。

どうしよう…。今でも待っていたら申し訳ない。



それにさっき花園くんに掴まれていた腕が赤くなって痛い…。



「おい!あおい!!」


ビクッ

「な、なに…?」



「何にするか決めたか?俺はオムライスにするぞ!!」



「ま、まだ決めてない…。ぼ、僕はあとで注文するから先にしていいよ」



「じゃあ早く決めろよ!」


花園くんは、タッチパネル式のやつですぐに注文した。そして、数分経ってオムライスが運ばれてきた。



「はい。こちらご注文されたオムライスです」


「お!やっとか!!」



運んできたのはこの前、僕を助けたウェイターさんだった。



「あ、この前は…どうもありがとうごさいました…!」


僕は、立って頭を下げる。



「いえ。たいしたことはしていませんのでお気になさらずに」


優しく微笑むウェイターさん。




「本当、助かりました…!」


また、一礼して僕は椅子に腰かけた。



「いえいえ。では、失礼します」



ウェイターさんは、そう言って厨房へと戻って行った。



「おぉ!このオムライスうめぇな!!てか、あおい!何俺の許可なく他の奴と話してんだよ!」



「え?」



「これからは気をつけろよ!ほら、このオムライス一口くれてやるから!」



「んっ!」


急に口の中にオムライスの乗ったスプーンが入った。



「うっ…ゴホッ」

確かにおいしいけど、のどを詰まらせてしまった。



「どうだ?うめぇだろ!あ、俺ら間接キスしちまったな!!」


ははっ!笑う花園くん。そして、またそのスプーンで食べ始めた。




「ーーあおいっ!」

その声と共に僕の背中を優しく擦るゆうの姿があった。




「ゆ…う?ゴホ…っ」


「大丈夫か?あおい」



「だ、大丈夫だよ…。ゆう、ごめんね…約束を破って…」



「気にしてないよ。それより、もう大丈夫か?」



「ゆうが背中擦ってくれたから、大丈夫だよ…ありがとう」



「おい!!お前誰だよ!俺のあおいに何の用だ!?」


花園くんは、僕とゆうの間に立ってゆうを指差した。



「俺のあおい…?」


ゆうは、顔をしかめた。



「そうだ!あ、俺の名前は花園瑞希って言うんだ!!今日転校してきたばかりだからよろしくしろよ!あとお前、なれなれしいぞ!」


「は、花園くん…。さっき僕が約束しているって言った相手だよ」



「あ?そうなのか?なら早くいえよな!おいお前、名前何て言うんだ?」




「俺の名前は新條ゆう。で、君はあおいとどういう関係?」



「あおいとは、親友だぜ!!俺のもんみたいな関係だ!!」



し、親友…。初めて言われた。ちょっと、嬉しいな…。俺のもんってどういう意味だろ?僕はよくわからなくてハテナを浮かべる。



「…へぇ」

ゆうは、怪しく微笑んだ。




「お前も俺と仲良くしろよ!友達第3号にさせてやる!!」



そう花園くんが言ったその瞬間。食堂が一気に黄色い悲鳴で鳴り響いた。



『生徒会の皆様だ!!』


『今日は全員いらっしゃる!珍しい』


『きゃー!会長さま~』


どうやら、生徒会の人達が来たみたいだ。




どうしよう…。こ、怖い…。

僕は体を身構えた。



 
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