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17、変装

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「それでは、アデルさまと初めてのデートというわけですね!? きゃ~! 私までドキドキしてきました……!」
「デートなどではない! アデルがしつこいから、人間という者を観察するために行くのだ」
「ついに、ミアさまが殿方とデートをなさる日が訪れたのですねっ」
「違うと言っておろう! 私の話を聞かぬか」
 
 城下町に行くための準備をしている間、ミアは事の成り行きをリリスに告げたが、リリスはデートだと舞い上がってしまって一匹で騒いでいる。
 
 そんなリリスに呆れながらも、ミアは頭部のツノを隠すため、両サイドにおだんごを作る。
 
 変化の魔法で誰かに化けることや一時的にツノを消すことは可能ではあるが、それらは魔力消費が余りにも大きい。魔力の高い者を狙った犯行が相次いでいる現状、街中で魔力を放出するのは得策ではないというわけだ。
 
「わぁっ、ミアさまとても良くお似合いです~」
「フン、当然だ。私だからな」
 
 おだんごで器用にふたつのツノを隠したミアをリリスが褒め称えると、ミアは得意げな表情を浮かべる。
 
 あまり目立たないようにするため、今日はいつものドレスよりも地味なものだったが、可愛い町娘のようでこれはこれでミアに似合っていた。
 
 髪型で隠れてはいるが、念のためにフード付きのケープを羽織って自室から出ると、ちょうどミアを迎えにきたアデルがそこにいた。
 
「もう準備出来た?」
「ああ。お前も出来たみたいだな」
「うん。ミア、おだんごも可愛いね」
「そうでございましょう? 良かったですね、ミアさまっ。アデルさまもとっても素敵です~」
「ありがとう、リリス」
 
 アデルから褒められて真っ赤になったミアの代わりにリリスが嬉しそうに応えると、アデルもにこやかな笑みを浮かべる。
 
 ミアも軽装だが、アデルも同じように今日は軽装であった。普段の王子らしい服装もアデルによく似合っていたが、こうしてどこにでもいる青年のような服装をすると、ますますアデルの顔の良さが引き立っているように見える。
 
「……さ、さっさと行くぞ!」
 
 色々といたたまれなったミアはケープについているフードを被り、早足で一人先を歩き始めてしまう。
 
「ミアさま、お待ちください~」
「俺たちも行こうか、リリス」
「は、はいっ」
 
 一人でさっさか歩いていってしまったミアの後をリリスとアデルが追いかけた。
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