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第266話 真新しい作業服
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翌日。午前十時過ぎ。ユキの現場事務所。
佐野は橋本建設の真新しい作業服姿で仕事に勤しんでいる。
業務内容は下請として勤務していた頃と全く同じなので戸惑いはない。
他の技術者達も、佐野に対しては去年の末からの知った仲であり、さらには古山建設を辞めた理由や、年始の突貫工事での仕事ぶりを設備課やユキから事細かに聞いているので快く歓迎してくれた。
佐野は仕事をしながら、しみじみと幸せをかみしめる。
ユキと一緒に働ける喜びと、和気あいあいの雰囲気の中で安心して作業ができる嬉しさに。
けれど一方で、かなりの緊張もしていた。
入社の時点で主任の肩書きをもらっているとはいえ、最初の数か月はあくまで試用期間である。
大手ゼネコンである橋本建設が欲する技能レベルと自分のそれとが適合しなかった場合、いくらユキの後押しがあったとはいえ、解雇されるおそれがあるからだ。
なので決して慢心せず、常に誠意を持ってベストを尽くそうと心に誓うのであった。
そんな佐野の席は前と変わらずユキの隣。今、ユキは協力業者との打ち合わせに出かけて不在である。
窓の外は快晴。まだ周囲に雪は残っているものの、確実に春の足音は近づいている。
佐野は仕事の手を休めることなく、頭の隅で昨日の事を思い起こす――
佐野は橋本建設の真新しい作業服姿で仕事に勤しんでいる。
業務内容は下請として勤務していた頃と全く同じなので戸惑いはない。
他の技術者達も、佐野に対しては去年の末からの知った仲であり、さらには古山建設を辞めた理由や、年始の突貫工事での仕事ぶりを設備課やユキから事細かに聞いているので快く歓迎してくれた。
佐野は仕事をしながら、しみじみと幸せをかみしめる。
ユキと一緒に働ける喜びと、和気あいあいの雰囲気の中で安心して作業ができる嬉しさに。
けれど一方で、かなりの緊張もしていた。
入社の時点で主任の肩書きをもらっているとはいえ、最初の数か月はあくまで試用期間である。
大手ゼネコンである橋本建設が欲する技能レベルと自分のそれとが適合しなかった場合、いくらユキの後押しがあったとはいえ、解雇されるおそれがあるからだ。
なので決して慢心せず、常に誠意を持ってベストを尽くそうと心に誓うのであった。
そんな佐野の席は前と変わらずユキの隣。今、ユキは協力業者との打ち合わせに出かけて不在である。
窓の外は快晴。まだ周囲に雪は残っているものの、確実に春の足音は近づいている。
佐野は仕事の手を休めることなく、頭の隅で昨日の事を思い起こす――
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