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第255話 出処を聞いて脱力する
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「それで私は、仕方なくクリスマスイベントの余興用の包装紙をお持ちしたんです」
オーナーが困惑顔で言う。
「しかもそれは、くじ引きの外れの品を包んだものだったので、もともと出す考えはなかったんです」
実に言いにくそうな口調である。
「外れ……ですか」
あの金ラメにピンクのハート模様の包装紙の出処を聞いた佐野は、一気に脱力する。
自分の新たな門出を祝う品々を包む紙が、くじ引きの外れ景品に使うものだったとは――と。
「なので私は、その時ハッキリとユキさんにお伝えしたのです。この派手な包装紙は、くじで外れを引いた人が笑ってくれるようにと、意図して使ったのです、と。だから今回の荷物には絶対に向きません、と」
オーナーは必死で弁明する。しかし、ユキはいまいち釈然としていない表情である。
「……では、オーナーの説明と反対意見を聞いたうえで、それでもなお、使ったと」
さすが根性曲がり。佐野は目を細めてユキを見る。
「いやいや! それが外れくじ用だったとかは全く関係ないんだ!」
ユキは身を乗り出し、真顔で言う。
「俺は、あのデザインが一番かっこいいと思ったんだ。だから使ったんだ」
「えー……? ホントですか」
疑いの眼差しで佐野は首をかしげる。
「本当だってば! 俺が自信を持って選んだんだ。俺の美意識がそれにしろって、指示したんだ!」
「――」
ユキの力説に、佐野とオーナーは返す言葉がない。
オーナーが困惑顔で言う。
「しかもそれは、くじ引きの外れの品を包んだものだったので、もともと出す考えはなかったんです」
実に言いにくそうな口調である。
「外れ……ですか」
あの金ラメにピンクのハート模様の包装紙の出処を聞いた佐野は、一気に脱力する。
自分の新たな門出を祝う品々を包む紙が、くじ引きの外れ景品に使うものだったとは――と。
「なので私は、その時ハッキリとユキさんにお伝えしたのです。この派手な包装紙は、くじで外れを引いた人が笑ってくれるようにと、意図して使ったのです、と。だから今回の荷物には絶対に向きません、と」
オーナーは必死で弁明する。しかし、ユキはいまいち釈然としていない表情である。
「……では、オーナーの説明と反対意見を聞いたうえで、それでもなお、使ったと」
さすが根性曲がり。佐野は目を細めてユキを見る。
「いやいや! それが外れくじ用だったとかは全く関係ないんだ!」
ユキは身を乗り出し、真顔で言う。
「俺は、あのデザインが一番かっこいいと思ったんだ。だから使ったんだ」
「えー……? ホントですか」
疑いの眼差しで佐野は首をかしげる。
「本当だってば! 俺が自信を持って選んだんだ。俺の美意識がそれにしろって、指示したんだ!」
「――」
ユキの力説に、佐野とオーナーは返す言葉がない。
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