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第223話 驚愕と悲しみ
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「はい。そこはよく分かっています。確かに対応はつっけんどんでしたが、いじわるは一切されませんでしたから」
ケイは真面目な顔で断言する。
ほかの会社の現場では、露骨な嫌がらせを受けることがかなりある。けれど橋本建設にはそれが全くないからだ。
「では、その理由とは何でしょうか」
「それはだな、レイナのシュレッダー事件が発端で、別の問題が明るみに出たんだよ――現場事務所での盗難事件だ」
「え!」
「しかも被害を受けたのは、古山建設から作業員が派遣されている現場に限定されていてな。そのうえ、その全ての現場で起きているんだ」
「じゃあ、ここの――田上課長の現場もですか」
「そうだ。俺の現場事務所もやられたよ」
渋面でユキがうなずく。
「そんな……!」
「そしてうちの会社だけじゃない。ほかのゼネコンの現場もだ」
「田上課長! 僕、なにも盗んでいません! 信じてください!」
「安心しろ。犯人はケイじゃないのは明確だ。落ち着いて考えてみろよ。俺が泥棒を自分の会社に呼ぶはずがないだろう」
「……はい」
そこで一応は胸をなで下ろすも、心は激しくざわめいたままである。
そして、佐野の脳裏に工事部の同僚や先輩、後輩達の顔が次から次へと去来して、とても悲しい気持ちになるのであった。
ケイは真面目な顔で断言する。
ほかの会社の現場では、露骨な嫌がらせを受けることがかなりある。けれど橋本建設にはそれが全くないからだ。
「では、その理由とは何でしょうか」
「それはだな、レイナのシュレッダー事件が発端で、別の問題が明るみに出たんだよ――現場事務所での盗難事件だ」
「え!」
「しかも被害を受けたのは、古山建設から作業員が派遣されている現場に限定されていてな。そのうえ、その全ての現場で起きているんだ」
「じゃあ、ここの――田上課長の現場もですか」
「そうだ。俺の現場事務所もやられたよ」
渋面でユキがうなずく。
「そんな……!」
「そしてうちの会社だけじゃない。ほかのゼネコンの現場もだ」
「田上課長! 僕、なにも盗んでいません! 信じてください!」
「安心しろ。犯人はケイじゃないのは明確だ。落ち着いて考えてみろよ。俺が泥棒を自分の会社に呼ぶはずがないだろう」
「……はい」
そこで一応は胸をなで下ろすも、心は激しくざわめいたままである。
そして、佐野の脳裏に工事部の同僚や先輩、後輩達の顔が次から次へと去来して、とても悲しい気持ちになるのであった。
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