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第179話 謎の人物
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「今、どちらにいらっしゃるんですか」
佐野が聞く。
「自宅。ははは」
総務部長が力なく笑う。
「でも、なぜ急に」
そう質問するも、おおよその予想はついている。
今回の件で社長と衝突し、それで解雇されたか、あるいは自分から言い出したかのどちらかだ。これには自分にも責任があるので、とても心苦しい。
「今朝、出社したら、私の席に金髪の若造がいて、机に足を乗せてふんぞりかえりながらスマホをいじってたんだ」
「金髪の若造?」
「うん。ダブダブのトレーニングウエアをだらしなく着た、二十歳かそこらの若い男」
何だそれは。佐野は目を白黒させる。自分の予想が大幅どころか、全く別次元の話になっているので面食らう。
「で、その男というのが――ああ、佐野さんは去年の年末からずっと橋本建設さんの現場にいるから、会社の状況、全然知らないよね」
「はい。現場に出ずっぱりで、ほかの社員とも連絡を全く取っていないので」
大体のことは社長と星崎から聞いてはいるが、話がややこしくなるので嘘をつく。
「じゃあ、最初から説明するね。かなりひどい話だからびっくりしないでね」
「はい。お願いします」
けれどもうすでに去年の末から星崎がらみでひどいめにあっているので、あきれることはあっても驚くことはない。
佐野はそれを隠して総務部長の話に耳を傾ける。
佐野が聞く。
「自宅。ははは」
総務部長が力なく笑う。
「でも、なぜ急に」
そう質問するも、おおよその予想はついている。
今回の件で社長と衝突し、それで解雇されたか、あるいは自分から言い出したかのどちらかだ。これには自分にも責任があるので、とても心苦しい。
「今朝、出社したら、私の席に金髪の若造がいて、机に足を乗せてふんぞりかえりながらスマホをいじってたんだ」
「金髪の若造?」
「うん。ダブダブのトレーニングウエアをだらしなく着た、二十歳かそこらの若い男」
何だそれは。佐野は目を白黒させる。自分の予想が大幅どころか、全く別次元の話になっているので面食らう。
「で、その男というのが――ああ、佐野さんは去年の年末からずっと橋本建設さんの現場にいるから、会社の状況、全然知らないよね」
「はい。現場に出ずっぱりで、ほかの社員とも連絡を全く取っていないので」
大体のことは社長と星崎から聞いてはいるが、話がややこしくなるので嘘をつく。
「じゃあ、最初から説明するね。かなりひどい話だからびっくりしないでね」
「はい。お願いします」
けれどもうすでに去年の末から星崎がらみでひどいめにあっているので、あきれることはあっても驚くことはない。
佐野はそれを隠して総務部長の話に耳を傾ける。
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