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第161話 浅ましき打算
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やはり深夜作業を手伝いますと現場責任者へ声をかけるべきか。ほかの技術者達へ意気込みだけでもアピールした方がいいのか――
佐野は迷いの奈落へ真っ逆さまに落ちていく。仕事とプライベートの境目があやふやになり、頭の中で卑しい損得勘定が展開し始める。
もし、そうしたら――
この中の誰かがユキへ「佐野は、やる気のある作業員だ」と話すかもしれない。
そうしたら、ユキの自分に対する評価が上がるかもしれない。
そうしたら、ユキは自分をもっと気に入ってくれるかもしれない。
そうしたら、これからもユキの現場に呼んでくれるかもしれない。
そうしたら、仕事以外の場でもユキと過ごせるかもしれない。
そうしたら、そうしたら……!
欲望と願望が、次から次へと節操なく押し寄せる。
ああ、これはもう今すぐ言うしかない。そうだ。これが一番ユキに手っ取り早く愛される方法じゃないか。何でもっと早く気づかなかったんだ。今ここで自分を存分にアピールしなくてどうする。さあ、声高にみんなへ「深夜作業をします」と言え。「身を粉にして、御社のお手伝いをさせていただきます」と宣言しろ。
そうしたら、必ず誰かがユキに伝えてくれる――!
佐野は一人で盛り上がり、猛烈に気が高ぶる。
佐野は迷いの奈落へ真っ逆さまに落ちていく。仕事とプライベートの境目があやふやになり、頭の中で卑しい損得勘定が展開し始める。
もし、そうしたら――
この中の誰かがユキへ「佐野は、やる気のある作業員だ」と話すかもしれない。
そうしたら、ユキの自分に対する評価が上がるかもしれない。
そうしたら、ユキは自分をもっと気に入ってくれるかもしれない。
そうしたら、これからもユキの現場に呼んでくれるかもしれない。
そうしたら、仕事以外の場でもユキと過ごせるかもしれない。
そうしたら、そうしたら……!
欲望と願望が、次から次へと節操なく押し寄せる。
ああ、これはもう今すぐ言うしかない。そうだ。これが一番ユキに手っ取り早く愛される方法じゃないか。何でもっと早く気づかなかったんだ。今ここで自分を存分にアピールしなくてどうする。さあ、声高にみんなへ「深夜作業をします」と言え。「身を粉にして、御社のお手伝いをさせていただきます」と宣言しろ。
そうしたら、必ず誰かがユキに伝えてくれる――!
佐野は一人で盛り上がり、猛烈に気が高ぶる。
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