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第149話 疲れているからこそ、逢いたいのに
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テナントビルの駐車場。佐野は車の中でスマホを操作している。三回目の呼び出し音でユキの声。
「おう。おつかれさん。どうだ、そっちの現場は」
のんきな声で聞いてくる。
「去年と同じで、冷たい視線がビシバシ飛んできますよ。うちの会社、本当に嫌われてるんですね」
少々、むっとした口調で返す。
「ふふふ。まあな。図面の粉砕といい、えげつない契約金額のつり上げといい、ケイの会社はやりたい放題だからな」
愉快そうな声。なんとも憎たらしい。
「でも、明日も来るように言われました」
「うん。ついさっき連絡が来た。だから明日はそこへ直行しろ。そして今日はこんな時間だし、真っ直ぐ帰っていいぞ。明日もこっちに寄らなくていいからな。部屋でゆっくり体を休ませろ」
「わかりました、そうさせていただきます」
けれど疲れているからこそ、ユキの顔が見たいんですけどね――
佐野は胸の中でそう呟いて、通話を終了させたのだった。
「おう。おつかれさん。どうだ、そっちの現場は」
のんきな声で聞いてくる。
「去年と同じで、冷たい視線がビシバシ飛んできますよ。うちの会社、本当に嫌われてるんですね」
少々、むっとした口調で返す。
「ふふふ。まあな。図面の粉砕といい、えげつない契約金額のつり上げといい、ケイの会社はやりたい放題だからな」
愉快そうな声。なんとも憎たらしい。
「でも、明日も来るように言われました」
「うん。ついさっき連絡が来た。だから明日はそこへ直行しろ。そして今日はこんな時間だし、真っ直ぐ帰っていいぞ。明日もこっちに寄らなくていいからな。部屋でゆっくり体を休ませろ」
「わかりました、そうさせていただきます」
けれど疲れているからこそ、ユキの顔が見たいんですけどね――
佐野は胸の中でそう呟いて、通話を終了させたのだった。
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