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第135話 恐怖と怨念の福袋
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「チョキチョキ!」
ユキはそう言いながらハサミを進ませる。 袋の口が大きく開いた。佐野は息を止めて中を見る。だがすぐに首をかしげた。
認識できないのだ。布のようなもの、四角い箱のようなもの、はたまた皮のようなもの――それらが渾然一体となって絡み合い、かつ、薄い緑や青色、灰色の粉がまんべんなく、しかも大量にまぶされているからだ。
「うへえー……すげえな」
ユキが感嘆の声を漏らす。
「この粉だらけの固まり、何ですか」
佐野は袋から一メートル以上離れたあとで聞く。できる限り息を吸わないようにしているので鼻声だ。
「スーツ、バッグ、靴、貴金属……その他もろもろだ。合計金額、軽く百万は越してる超豪華版の福袋だ」
ユキは袋の中を覗き込みながら平然と答える。
「まさかそれって、もしかして」
佐野の腰が引ける。嫌な予感しかしない。
「そうさ。Aからもらった物、全てだよ。十数年の時を経て、今ここで開封したんだ。よって、この色とりどりの粉は……ホコリとカビだ!」
「ひえええーっ!」
佐野の悲鳴が現場事務所に響きわたる。
超豪華版どころか、積もり積もった愛憎がみっちり詰まった、恐怖と怨念の福袋である。
ユキはそう言いながらハサミを進ませる。 袋の口が大きく開いた。佐野は息を止めて中を見る。だがすぐに首をかしげた。
認識できないのだ。布のようなもの、四角い箱のようなもの、はたまた皮のようなもの――それらが渾然一体となって絡み合い、かつ、薄い緑や青色、灰色の粉がまんべんなく、しかも大量にまぶされているからだ。
「うへえー……すげえな」
ユキが感嘆の声を漏らす。
「この粉だらけの固まり、何ですか」
佐野は袋から一メートル以上離れたあとで聞く。できる限り息を吸わないようにしているので鼻声だ。
「スーツ、バッグ、靴、貴金属……その他もろもろだ。合計金額、軽く百万は越してる超豪華版の福袋だ」
ユキは袋の中を覗き込みながら平然と答える。
「まさかそれって、もしかして」
佐野の腰が引ける。嫌な予感しかしない。
「そうさ。Aからもらった物、全てだよ。十数年の時を経て、今ここで開封したんだ。よって、この色とりどりの粉は……ホコリとカビだ!」
「ひえええーっ!」
佐野の悲鳴が現場事務所に響きわたる。
超豪華版どころか、積もり積もった愛憎がみっちり詰まった、恐怖と怨念の福袋である。
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