0(ゼロ)同士の恋愛  ほんとは愛されたい。【完結】

mamaマリナ

文字の大きさ
上 下
18 / 52

18 後悔

しおりを挟む
 なんて辛いことを話したくないことを話させてしまったんだ。
 俺は、ゼロが出て行っても暫く動けなかった。家族のみんなも同じだった。

兄「あぁ、辛いこと話させるなんて。」

妹「絶対、知られたくなかったよね。」

母「だから、無理って言ってたのね。」

父「良かれと一人暮らしを許可したんだが。」

「俺は、どんなゼロでも関係ない。」

母「そうよ、関係ないわ。」

妹「どんな気持ちで話しただろう。なんで詰め寄ってしまったのかしら。はあー。」

兄「おい。ディラン追いかけないのか?」

父「待て。ディラン、お前は本当に大丈夫なんだろうな。」

母「そうね、たぶんいっぱい傷付いて来たんだと思うわ。いつも最後には、怖いって言うのよ、ゼロ。」

父「確かに。怖いって言っていた。お前は、ゼロを傷付けないか?幸せに出来るのか?」

「出来る。必ず幸せにする。家族になりたい。」

妹「じゃあ、行かなきゃ。」

父「場所は、ここだ。遠くはない。」

兄「会ってもらえなくても頑張れ」

母「そうよ、あとは、あなたの愛を伝えなさい。」

父「そうだ、嫌われることが怖くて、愛されることに不慣れなあの子をお前が愛せ。」

妹「うん。ゼロは、愛されたいと思っていよ。でも自分には価値がないって思ってるのよ。」

「行ってくる。」






ブーブー コンコン    ブーブー コンコン

「ゼロ、ゼロ、いるんだろ。ディランだ。ドアを開けなくてもいいから聞いてくれ。」

「俺の気持ちは、変わらない。ゼロが好きなんだ。つらいこと話させて悪かった。話したくないことだったと理解している。でも、俺は、ゼロのことが知れてうれしい。どんなゼロでも変わらない。好きだ。」

「また、来るから。」




 無理だよ、そんなこと言われても。こんな価値のない底辺の人間なんだぞ。怖いよ、信じられないんだよ。児童養護施設でも、俺を里子に欲しがったやつなんていなかった。みんな上辺だけ優しくて同情なんだよ。それに、みんな俺の体しか欲しがらなかった。心は、いらないって。ディランさんもああ言ってるけど、そのうち俺をいらなくなる。きっと捨てられる。それなら、付き合ったりしたくない。生まれた時から一人だったんだ。これからもずっと一人でいいんだ。大丈夫。

 なんか疲れた。もう一人でいいよ。一人でも生きられる。俺は、ゼロ。だから何をしても、毎日ゼロになるんだ。
          

 



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~

ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。 *マークはR回。(後半になります) ・ご都合主義のなーろっぱです。 ・攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。 腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手) ・イラストは青城硝子先生です。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

騎士団長の秘密

さねうずる
BL
「俺は、ポラール殿を好いている」 「「「 なんて!?!?!?」」 無口無表情の騎士団長が好きなのは別騎士団のシロクマ獣人副団長 チャラシロクマ×イケメン騎士団長

処理中です...