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~プロローグ~
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「やぁっと完成したーー!!」
保存ボタンをポチッと押し、最後のタグがメモ一覧に挿入される。
中にはこれまでに書いてきた内容が上から下までズラリと並んでいた。
……………やっとだ。
どれだけこの日を待っていたことやら。
綺麗に陳列されたタグを見ながらわたしはこれまでの日々に思いを馳せる。
わたしはこれまで何の不自由もなく暮らしてきた。
小さい頃は家族全員で温泉旅館によく泊まっていたし、美味しい物も沢山食べさせてもらった。
祖父が亡くなってからは回数がかなり減ってしまったが、それでも我が家は変わらず家族同士の仲は良いままだ。
幼稚園の頃から1人でいるのが好きで、それは小学校に上がってからも変わらなかった。
小学校5年生の頃、友達だと思っていた女子からは裏切られ、結局1人になりはしたものの、元々1人で慣れていた為あまり氣にしていなかった。
きっとわたしが「あの子」より目立ったからだろう。
女王様氣質の彼女は、自分より目立つ女子が嫌いだったから。
女子トイレの窓のサッシに「死ね」って書かれていたこともあったっけな。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
問題なのは……
「ようやく思い残すことも無くなったか…………」
毎日がとても平和。それはとても素晴らしいことではあるのだけれど。
朝起きて、ご飯食べて、仕事行って、時々ジム行って、家帰って、ご飯食べて、入浴して、寝る。
……………退屈すぎる。
年齢はまだ25歳。退屈すぎて逆に死にたくなってしまう。
鬱で自殺したくなる人もいる世の中なのに。
好きな事は寝る事と神社に行く事、何も考えずにボーッとする事。
恋愛の1つでも出来たらいいのだけれど、それに関しては未だに中学校の頃で時が止まっている。
…………そう、全ては「アイツ」に出会ってから始まったのだ。
「アイツ」への想い……
「執着」を全て手放す為に「アイツ」とわたしが結ばれた世界線の物語を書く。
「if」の世界線で幸せになったわたしを書かなければ死んだ時絶対後悔する。
そう思ったわたしはこの物語を書き終えるまでは死ねない、死なないと決意したのだ。
それも、今日で書き切ってしまった。
つまり、今死んでも後悔はないということになる。
「早すぎたかな。あんまり早死にすると親不孝だって言われかねないな。でもそんなのその人のエゴでしかないし……」
しかも25歳になっても「あの人」は現れなかった。
つまり、わたしは「あの人の居ない世界線」に来てしまったことになる。
「『あの人』と一緒にこの物語を完成させたかったのに………」
ハァ、と溜息をつきながらスマホの時刻を確認する。
午前1時11分。ゾロ目だ。
「こんな時にこそ何か起こってくれればいいのに。神様、わたしはどうしたらあの人達に会えるんですか?
死んだらわたしをあちらの世界へ連れて行ってくれませんか」
わたしが書いた物語はわたしの為だけの「逆ハーレム物語」。
パラレルの違うわたしが色んな男達に求愛され、その中で本当の愛を見つけていくものだ。
「眠れば今度こそは行けるかな。って言うか出来れば死んで転生するより眠ったまま転生したいんだけど」
事故で異世界行きましたー、召喚されましたー、はよくあるパターンだけど。
もぞもぞとベッドに横になり、毛布に身をうずめる。
「ヒフミヨイ…マワリテメクル…ムナヤコト…アウノスヘシレ…カタチサキ…」
目を閉じながら「カタカムナ」の一部を唱える。
とある研究者によると、「カタカムナ」は古代日本の文字であると言う。
都市伝説が好きなわたしとしてはこのカタカムナを唱えることで物語の世界に転生出来ないかと毎回唱えてから寝るようにしている。
いつもは何も起こらないのだが…………今回だけは何故か違った。
目の前がグワングワンと歪み、目を閉じて寝ているのにも関わらず、目が回る感覚がする。
氣持ち悪い。身体が動かない。360度回転するアトラクションに乗っているような感じだ。
何で今日はこんな事が……………………
________☆_________
…………どうやら気を失っていたようだ。
いつの間にかあの氣持ち悪い感覚はなくなっていた。
自分の寝室で寝ているはずなのに、何故か知らない香りがする。
………………??
ゆっくり目を開ける。
そこはいつもの見慣れた景色。
………ではなく。
「………………あれ?」
見慣れない勉強机。壁が出来る前の広い子供部屋。そして何故か背の高くなった部屋の扉。
「れいなちゃん!もう学校いく時間でしょ!」
目線がとても高い母の姿。
あれ、でもわたしの母はこんな見た目じゃ……
いや、待って!!
ダッシュで寝室の鏡の前に向かう。そこに映ったわたしの姿は…………
アーモンド型のパッチリした二重の目。
少し茶色い黒髪は左右に結んであり、ぷっくらとしたピンク色のほっぺはすべすべツヤツヤだ。
背は鏡の前に置かれた椅子椅子に半分隠れるほど小さくて…………
あれ?
もしかしてわたし…………
転生しちゃった?!
保存ボタンをポチッと押し、最後のタグがメモ一覧に挿入される。
中にはこれまでに書いてきた内容が上から下までズラリと並んでいた。
……………やっとだ。
どれだけこの日を待っていたことやら。
綺麗に陳列されたタグを見ながらわたしはこれまでの日々に思いを馳せる。
わたしはこれまで何の不自由もなく暮らしてきた。
小さい頃は家族全員で温泉旅館によく泊まっていたし、美味しい物も沢山食べさせてもらった。
祖父が亡くなってからは回数がかなり減ってしまったが、それでも我が家は変わらず家族同士の仲は良いままだ。
幼稚園の頃から1人でいるのが好きで、それは小学校に上がってからも変わらなかった。
小学校5年生の頃、友達だと思っていた女子からは裏切られ、結局1人になりはしたものの、元々1人で慣れていた為あまり氣にしていなかった。
きっとわたしが「あの子」より目立ったからだろう。
女王様氣質の彼女は、自分より目立つ女子が嫌いだったから。
女子トイレの窓のサッシに「死ね」って書かれていたこともあったっけな。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
問題なのは……
「ようやく思い残すことも無くなったか…………」
毎日がとても平和。それはとても素晴らしいことではあるのだけれど。
朝起きて、ご飯食べて、仕事行って、時々ジム行って、家帰って、ご飯食べて、入浴して、寝る。
……………退屈すぎる。
年齢はまだ25歳。退屈すぎて逆に死にたくなってしまう。
鬱で自殺したくなる人もいる世の中なのに。
好きな事は寝る事と神社に行く事、何も考えずにボーッとする事。
恋愛の1つでも出来たらいいのだけれど、それに関しては未だに中学校の頃で時が止まっている。
…………そう、全ては「アイツ」に出会ってから始まったのだ。
「アイツ」への想い……
「執着」を全て手放す為に「アイツ」とわたしが結ばれた世界線の物語を書く。
「if」の世界線で幸せになったわたしを書かなければ死んだ時絶対後悔する。
そう思ったわたしはこの物語を書き終えるまでは死ねない、死なないと決意したのだ。
それも、今日で書き切ってしまった。
つまり、今死んでも後悔はないということになる。
「早すぎたかな。あんまり早死にすると親不孝だって言われかねないな。でもそんなのその人のエゴでしかないし……」
しかも25歳になっても「あの人」は現れなかった。
つまり、わたしは「あの人の居ない世界線」に来てしまったことになる。
「『あの人』と一緒にこの物語を完成させたかったのに………」
ハァ、と溜息をつきながらスマホの時刻を確認する。
午前1時11分。ゾロ目だ。
「こんな時にこそ何か起こってくれればいいのに。神様、わたしはどうしたらあの人達に会えるんですか?
死んだらわたしをあちらの世界へ連れて行ってくれませんか」
わたしが書いた物語はわたしの為だけの「逆ハーレム物語」。
パラレルの違うわたしが色んな男達に求愛され、その中で本当の愛を見つけていくものだ。
「眠れば今度こそは行けるかな。って言うか出来れば死んで転生するより眠ったまま転生したいんだけど」
事故で異世界行きましたー、召喚されましたー、はよくあるパターンだけど。
もぞもぞとベッドに横になり、毛布に身をうずめる。
「ヒフミヨイ…マワリテメクル…ムナヤコト…アウノスヘシレ…カタチサキ…」
目を閉じながら「カタカムナ」の一部を唱える。
とある研究者によると、「カタカムナ」は古代日本の文字であると言う。
都市伝説が好きなわたしとしてはこのカタカムナを唱えることで物語の世界に転生出来ないかと毎回唱えてから寝るようにしている。
いつもは何も起こらないのだが…………今回だけは何故か違った。
目の前がグワングワンと歪み、目を閉じて寝ているのにも関わらず、目が回る感覚がする。
氣持ち悪い。身体が動かない。360度回転するアトラクションに乗っているような感じだ。
何で今日はこんな事が……………………
________☆_________
…………どうやら気を失っていたようだ。
いつの間にかあの氣持ち悪い感覚はなくなっていた。
自分の寝室で寝ているはずなのに、何故か知らない香りがする。
………………??
ゆっくり目を開ける。
そこはいつもの見慣れた景色。
………ではなく。
「………………あれ?」
見慣れない勉強机。壁が出来る前の広い子供部屋。そして何故か背の高くなった部屋の扉。
「れいなちゃん!もう学校いく時間でしょ!」
目線がとても高い母の姿。
あれ、でもわたしの母はこんな見た目じゃ……
いや、待って!!
ダッシュで寝室の鏡の前に向かう。そこに映ったわたしの姿は…………
アーモンド型のパッチリした二重の目。
少し茶色い黒髪は左右に結んであり、ぷっくらとしたピンク色のほっぺはすべすべツヤツヤだ。
背は鏡の前に置かれた椅子椅子に半分隠れるほど小さくて…………
あれ?
もしかしてわたし…………
転生しちゃった?!
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