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第2話
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---「…あっっつー」
さっきまで夏の空がなんだとか語ってたが、それを一蹴してしまいたくなるぐらい夏が嫌いになりそうだ。
汗ばんだ額や首を定期的にタオルで拭きながら学校へと向かう。
---学校前まで着いたときにはもう制服が汗まみれだった。そんなに汗っかきではないはずだが、そうなると本当の汗っかきの人はこれ以上悲惨な状況になっているだろう。その上この暑さでほとんど風が吹いていない。まさに灼熱地獄だ。
「オー、ファイ、オー、ファイ…」
そんな灼熱地獄の中、大きなかけ声とともに2列に並んで俺の横を走り抜けていく野球部員達。暑苦しさムンムンにしながらも学校の急坂を登っていく。うちの学校の坂はかなり傾斜になっており歩いて登るだけでも割としんどい。そんな坂をややしんどそうに登っている彼等の姿を見ると気の毒に思えてしまう。
その上うちの高校の野球部はそれほど強いわけではない。万年一回戦負けで去年久しぶりに二回戦まで進んだらしい。まさに弱小校だな。
そんな野球部だが練習は他の部よりキツイらしい。休みはテスト休みを除けば年数回しかないそうだ。そこまでやって二回戦止まりなのだから考えられるとしたら指導者が悪いのかずば抜けて上手い選手がいないのか、それとも練習の質が悪いのか。野球部にあまり関わらないからよく知らないが改善策を練らなければきっと今後も勝ち進むことなど出来ないだろう。甲子園なんてまだまだ夢の夢だ。
「おはよう、なっっちゃん!!」
「ゔっ!?」
通り過ぎていく野球部員達を哀れみの目で見ていると誰かに声をかけられるとほぼ同時に背中をやや強めに叩かれた。そこまで痛くはなかったがいきなり叩かれてちょっとビクッとなってしまった。
「大丈夫かボーッとして。ひょっとして夏バテか?」
「…なんだよ、聡かよ」
俺は恐る恐る声のする斜め後ろを見るとアンダーシャツに野球部のユニフォームズボンを着用した山内聡がいた。
聡は俺の幼馴染で小さい頃から熱狂的な野球好きだった。まあ俺も小さい頃は一緒にプーカー野球して遊んでいたしなんなら少年野球チームに入っていた時期もあったな。
話を戻してそんな野球好きの聡だが別段野球が上手いわけではない。同じ少年野球チームに入ってたときも中学のときも万年補欠だった。俺も補欠だったけどな。
その聡が先に行った野球部員達から少し遅れているようだった。おそらく最後尾にいるみたいだが、その割には余裕そうな笑みを浮かべ話しかけてくる。
「ビリケツの割には随分と余裕そうだな。まさかサボりか?」
「違えよっ! 1年がサボらないように監視してんの!」
俺はさっきの恨みも含めて皮肉っぽく言うと聡は慌てて弁解してきた。
「お前にそれを任せるとは、いよいよこの学校の野球部も終わりだな」
「どういう意味だよ?!」
万年補欠の奴がなんで監視役に任されるんだよ? と言いそうになったが、流石に可哀想だと思って留まった。
「それより早く行かなくていいば? もう皆んな登り切ってるぞ」
思い留まった俺は話を逸らすべく野球部員達の方に指を指した。聡はつられて指の指す方を見ると野球部員達は既に坂を登り切って小休止していた。その光景を見た聡は「やべっ」という言葉を漏らし「じゃあ俺、行くわ」と言って軽く手を振りながら急いで坂を駆け上がって行った。そして俺は駆け上がって行く姿を暫く眺めた後、俺はゆっくりと坂を歩いて行った。
さっきまで夏の空がなんだとか語ってたが、それを一蹴してしまいたくなるぐらい夏が嫌いになりそうだ。
汗ばんだ額や首を定期的にタオルで拭きながら学校へと向かう。
---学校前まで着いたときにはもう制服が汗まみれだった。そんなに汗っかきではないはずだが、そうなると本当の汗っかきの人はこれ以上悲惨な状況になっているだろう。その上この暑さでほとんど風が吹いていない。まさに灼熱地獄だ。
「オー、ファイ、オー、ファイ…」
そんな灼熱地獄の中、大きなかけ声とともに2列に並んで俺の横を走り抜けていく野球部員達。暑苦しさムンムンにしながらも学校の急坂を登っていく。うちの学校の坂はかなり傾斜になっており歩いて登るだけでも割としんどい。そんな坂をややしんどそうに登っている彼等の姿を見ると気の毒に思えてしまう。
その上うちの高校の野球部はそれほど強いわけではない。万年一回戦負けで去年久しぶりに二回戦まで進んだらしい。まさに弱小校だな。
そんな野球部だが練習は他の部よりキツイらしい。休みはテスト休みを除けば年数回しかないそうだ。そこまでやって二回戦止まりなのだから考えられるとしたら指導者が悪いのかずば抜けて上手い選手がいないのか、それとも練習の質が悪いのか。野球部にあまり関わらないからよく知らないが改善策を練らなければきっと今後も勝ち進むことなど出来ないだろう。甲子園なんてまだまだ夢の夢だ。
「おはよう、なっっちゃん!!」
「ゔっ!?」
通り過ぎていく野球部員達を哀れみの目で見ていると誰かに声をかけられるとほぼ同時に背中をやや強めに叩かれた。そこまで痛くはなかったがいきなり叩かれてちょっとビクッとなってしまった。
「大丈夫かボーッとして。ひょっとして夏バテか?」
「…なんだよ、聡かよ」
俺は恐る恐る声のする斜め後ろを見るとアンダーシャツに野球部のユニフォームズボンを着用した山内聡がいた。
聡は俺の幼馴染で小さい頃から熱狂的な野球好きだった。まあ俺も小さい頃は一緒にプーカー野球して遊んでいたしなんなら少年野球チームに入っていた時期もあったな。
話を戻してそんな野球好きの聡だが別段野球が上手いわけではない。同じ少年野球チームに入ってたときも中学のときも万年補欠だった。俺も補欠だったけどな。
その聡が先に行った野球部員達から少し遅れているようだった。おそらく最後尾にいるみたいだが、その割には余裕そうな笑みを浮かべ話しかけてくる。
「ビリケツの割には随分と余裕そうだな。まさかサボりか?」
「違えよっ! 1年がサボらないように監視してんの!」
俺はさっきの恨みも含めて皮肉っぽく言うと聡は慌てて弁解してきた。
「お前にそれを任せるとは、いよいよこの学校の野球部も終わりだな」
「どういう意味だよ?!」
万年補欠の奴がなんで監視役に任されるんだよ? と言いそうになったが、流石に可哀想だと思って留まった。
「それより早く行かなくていいば? もう皆んな登り切ってるぞ」
思い留まった俺は話を逸らすべく野球部員達の方に指を指した。聡はつられて指の指す方を見ると野球部員達は既に坂を登り切って小休止していた。その光景を見た聡は「やべっ」という言葉を漏らし「じゃあ俺、行くわ」と言って軽く手を振りながら急いで坂を駆け上がって行った。そして俺は駆け上がって行く姿を暫く眺めた後、俺はゆっくりと坂を歩いて行った。
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