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第3章 逆襲編
第3章ー⑱
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「はっはっはっはっはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「…」
勇者とダークボルトの一騎打ち。始まってからまだ一分程しか経っていないが、あまりの次元の違う戦いを見せられ、自分達は唖然とするしかなかった。
目で追いかけきれないレベルの猛スピードの攻防戦。勇者の剣裁きといいダークボルトの槍裁きといい動きが全く見えない。それをほぼゼロ距離でやり合っているのだ。お互い反応速度が半端じゃない。
「へっ、これじゃあ埒が明かねぇな。それじゃあ…」
しかし、暫く経ってダークボルトが突然後ろに下がった。今の状況では決着が着かないと判断したようだ。
「こっからは魔法ありでいかせて貰うぜぇぇぇぇぇっ!!!」
「ッ!?」
そのダークボルトは、再び黒い雷のオーラを放つ。しかし、今までの威嚇用の奴とは違う。魔法を使う気だ。
「【疾風迅雷・黒死《こくし》】!」
ダークボルトが魔法を唱えた瞬間、奴の姿が目の前から消えた。疾風迅雷、聞き馴染みのある単語。その意味は風や雷のように速い。つまり、消えたのではなく…
「おらあぁっ!!」
「つっ!?」
消えたと錯覚してしまう程の速さで移動していた。ダークボルトは黒い雷を纏いながらとてつもない速さで勇者の横っぱら目掛けて突進。しかも、勇者が剣を握っている右手側からではなく、その逆の左側から。そのせいか、勇者は防御に一瞬遅れてしまい、紅天画撃の槍先が勇者の左脇腹を掠めた。
「へっ、俺の本気の速度の前じゃあ、その魔力感知も役に立たねぇみてぇだなぁ」
「…」
勇者に傷を負わせたダークボルトは意気揚々。奴の笑みは既に勝ちを確信しているように見えた。たしかに、あの速度に勇者もギリギリ付いていけてなかった。
「…勇者さん…」
ミオが不安そうな表情で勇者を見ている。無理もない。今の一撃は軽傷ではあるものの、自分達から見たらある意味致命傷の一撃である。それほどまでに重い一撃だった。
「ふっ」
「んん?」
しかし、勇者はなぜか笑っていた。この絶望的な状況にも関わらず。
「どうした? 絶望的すぎて頭可笑しくなっちまったかぁ?」
勇者の意味深な笑いにダークボルトは煽り出した。奴が煽るのも無理はない。不利な状況で急に笑い出したら普通は頭がおかしくなったと思ってしまう。
「いや、お前がかすり傷程度ではしゃいでいるのが面白くってな」
「あ゛あ゛っ?」
しかし、勇者は決しておかしくなってはいなかった。寧ろ勇者の方が余裕そうな表情を浮かべており、ダークボルトは怒った表情に変わっていた。
「もういっぺん来てみろよ。今度はきっちり反応してやるよ」
「…んだとぉ?」
逆に勇者に煽り返されたダークボルトは後ろに下がり再び距離を取る。さっきの攻撃をまたやるつもりだ。
「お望み通りやってやるよぉ! 今度はてめぇの身体を内臓ごと串刺しにしてやる!! 【疾風迅雷・黒死】ぃ!!」
鼻息を荒くしたダークボルトは再び疾風迅雷・黒死を使用。また一瞬にして姿が見えなくなった。目で追いきれないうえ、勇者の高度な魔力感知ですら対応に間に合わなかった。一体勇者はどう対応するつもりなのだろうか。
「…上か」
「ッ!?」
先程となにも変わっていなかった。魔法を使う様子もなかった。一歩も動くどころか顔すら動かそうともしていなかった。にも関わらず、勇者は上に居ると言い放った。
「なにっ?!」
勇者の言う通り、ダークボルトは上空から勇者の頭上目掛けて紅天画撃を構えていた。
「くうっ!?」
しかし、勇者は頭上に剣を構え、ダークボルトの攻撃を完璧に防いだ。
「言っただろ。今度はきっちり反応してやるって」
ダークボルトの攻撃を防いだ勇者は再び余裕の笑みを浮かべていた。
「…」
勇者とダークボルトの一騎打ち。始まってからまだ一分程しか経っていないが、あまりの次元の違う戦いを見せられ、自分達は唖然とするしかなかった。
目で追いかけきれないレベルの猛スピードの攻防戦。勇者の剣裁きといいダークボルトの槍裁きといい動きが全く見えない。それをほぼゼロ距離でやり合っているのだ。お互い反応速度が半端じゃない。
「へっ、これじゃあ埒が明かねぇな。それじゃあ…」
しかし、暫く経ってダークボルトが突然後ろに下がった。今の状況では決着が着かないと判断したようだ。
「こっからは魔法ありでいかせて貰うぜぇぇぇぇぇっ!!!」
「ッ!?」
そのダークボルトは、再び黒い雷のオーラを放つ。しかし、今までの威嚇用の奴とは違う。魔法を使う気だ。
「【疾風迅雷・黒死《こくし》】!」
ダークボルトが魔法を唱えた瞬間、奴の姿が目の前から消えた。疾風迅雷、聞き馴染みのある単語。その意味は風や雷のように速い。つまり、消えたのではなく…
「おらあぁっ!!」
「つっ!?」
消えたと錯覚してしまう程の速さで移動していた。ダークボルトは黒い雷を纏いながらとてつもない速さで勇者の横っぱら目掛けて突進。しかも、勇者が剣を握っている右手側からではなく、その逆の左側から。そのせいか、勇者は防御に一瞬遅れてしまい、紅天画撃の槍先が勇者の左脇腹を掠めた。
「へっ、俺の本気の速度の前じゃあ、その魔力感知も役に立たねぇみてぇだなぁ」
「…」
勇者に傷を負わせたダークボルトは意気揚々。奴の笑みは既に勝ちを確信しているように見えた。たしかに、あの速度に勇者もギリギリ付いていけてなかった。
「…勇者さん…」
ミオが不安そうな表情で勇者を見ている。無理もない。今の一撃は軽傷ではあるものの、自分達から見たらある意味致命傷の一撃である。それほどまでに重い一撃だった。
「ふっ」
「んん?」
しかし、勇者はなぜか笑っていた。この絶望的な状況にも関わらず。
「どうした? 絶望的すぎて頭可笑しくなっちまったかぁ?」
勇者の意味深な笑いにダークボルトは煽り出した。奴が煽るのも無理はない。不利な状況で急に笑い出したら普通は頭がおかしくなったと思ってしまう。
「いや、お前がかすり傷程度ではしゃいでいるのが面白くってな」
「あ゛あ゛っ?」
しかし、勇者は決しておかしくなってはいなかった。寧ろ勇者の方が余裕そうな表情を浮かべており、ダークボルトは怒った表情に変わっていた。
「もういっぺん来てみろよ。今度はきっちり反応してやるよ」
「…んだとぉ?」
逆に勇者に煽り返されたダークボルトは後ろに下がり再び距離を取る。さっきの攻撃をまたやるつもりだ。
「お望み通りやってやるよぉ! 今度はてめぇの身体を内臓ごと串刺しにしてやる!! 【疾風迅雷・黒死】ぃ!!」
鼻息を荒くしたダークボルトは再び疾風迅雷・黒死を使用。また一瞬にして姿が見えなくなった。目で追いきれないうえ、勇者の高度な魔力感知ですら対応に間に合わなかった。一体勇者はどう対応するつもりなのだろうか。
「…上か」
「ッ!?」
先程となにも変わっていなかった。魔法を使う様子もなかった。一歩も動くどころか顔すら動かそうともしていなかった。にも関わらず、勇者は上に居ると言い放った。
「なにっ?!」
勇者の言う通り、ダークボルトは上空から勇者の頭上目掛けて紅天画撃を構えていた。
「くうっ!?」
しかし、勇者は頭上に剣を構え、ダークボルトの攻撃を完璧に防いだ。
「言っただろ。今度はきっちり反応してやるって」
ダークボルトの攻撃を防いだ勇者は再び余裕の笑みを浮かべていた。
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