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32.瀬名って名前のクズ教官Ⅰ
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「いつまで乗ってるつもりですか」
「俺が満足するまでに決まってる」
「いい加減どいてくださいよ」
「全然満足してないから断る」
人の上に乗っかりながらこの大人は平然と言う。メシ食い終わってすっかり寛ぎモードになっていたら押し倒された。どこでスイッチが入っちゃったんだか全然思い当たる節がない。
急にこういうテンションになれるのも男としては尊敬するけど、何度もしつこくキスしてくるから唇の感覚もいよいよ危うい。そろそろ限界で音を上げた俺を瀬名さんは逃がす気がないようだった。
「キスに慣れたなら第一段階は修了だ。今日からは第二段階に進む」
「なんですかここ。教習所ですか」
「路上教習も二人で一緒にがんばろうな」
そんな教習は頑張りたくない。教官がこれでは消耗もひどい。むぐっと押し付けるように唇を重ねられ、ついでに両手首もつかまれた。
おぞましい事故物件疑惑を突如ブチかまされて以降、日が暮れてから自分の部屋に一人でいると落ち着かないため瀬名さんの部屋に入り浸るようになった。怖い事を言いだした人の所に避難するのも癪だが仕方ない。瀬名さんも瀬名さんで会社から帰ってきて自分の部屋に俺がいようとも、それがあたかも当然のごとく普通にただいまと言ってくる。
俺はここにいていいらしい。定位置はすっかり瀬名さんの隣。
しかし今はこの人の下だ。手首は床に押さえつけられ、けれど握力はやんわりしていて控えめだから痛くない。振り切ろうと思えばいつでもできる。優しい加減で俺を拘束するこの男は、キスより先に進みたいそうだ。
口の端っこにちゅっとされた。そのキスは顎を伝ってゆっくり下におりていく。形の整った唇が、首の横を撫でるように掠めた。
「あの……」
キスの仕方とか、触り方とか、瀬名さんは明け透けで隠さない。こっちが逃げ腰になっていても今までのようにはやめてくれない。生温かい、湿った感触が肩に向かって首筋を伝った。
着古したシャツの襟ぐりに、この人の指先が引っかかる。クイッとそこを引っ張って、空気に晒された鎖骨の線を濡れた舌先と唇が辿った。
強張りそうな体を動かして下から触れたのは瀬名さんの二の腕。触れたその腕は、頑丈で逞しい。反対にこの人の服を掴んで握りしめる俺の力は、無様なほどに弱々しかった。
「待って……」
「俺はもう十分待った。むしろ褒めてほしいくらいだ」
押しのけるまでには至らない。だからこの手はすぐに捕らえられ、床の上に戻される。
「お前もそう思わねえか」
問いかけの形を取っていながら実際のそれは断定だ。俺が答えに詰まっているうちにもう一度ゆっくりされたキス。優しい。けど、それだけじゃない。
左側の手首は放され、空いた片手は服の裾へと。瀬名さんの大きな手が中にスルスル入ってくる。指先がそっと肌に触れ、反射でピクッと体が揺れてもその手を止めてはくれなかった。
耳の下には唇が触れる。吸い付くようなキスをしながら、撫でられた。腹の上を。ツツッと。
「っ……」
ぐいっと、瀬名さんの肩を押し返していた。
この喉からは詰めたような音がヒクリと零れ出ただけだったが、決してそんなつもりじゃない。そういうつもりは全くなかった。けれど今度こそこの行動は明確な拒否になっている。
「…………」
「…………」
縮こまったまま瀬名さんを見上げた。はっきりと押し返してしまった。
咄嗟に両腕が動いていたのは単なる反射だと言い訳したいが、俺を見下ろすこの人の目にはどう見ても不満しか浮かんでいない。
「思わねえようだな」
「…………」
口調まで非難がましい。
「俺も無理強いはしたくねえがここまで拒絶されるとさすがに傷付く」
「拒絶なんて……」
「違うのか」
「……そんな責めますか」
「切羽詰まった男と書いてクズって読むんだよ覚えとけ」
偉そうに堂々と言う事じゃない。
チクチクと視線が突き刺さってきて痛いからそろりと逃れた。自分でクズとか言うだけあって込められた怨念が凄まじい。顔を背けながら控えめに起き上がってもねちっこい眼差しだけは感じる。
「……今日はだめ」
「ほう。そうか。今日な。今日はな。たしか一昨日もそう言われた気がする。昨日もそう言われた記憶が残ってる。明日もそう言われる予感しかしねえ」
「毎日押し倒してくんのやめてくださいよ」
「恋人を丸ごと愛したいと思う俺の至って純粋な気持ちをお前はそうやって踏みにじる」
ペラペラペラペラとうるせえな。この人のどこが純粋だろうか。
少しでも罪悪感を抱いた俺がバカだったのかもしれない。聞こえのいいように言っているけど要はヤラせろって話だ、クソじゃねえか。こんなのが純粋な訳がないし被害者ぶってる感じもムカつく。
申し訳ないと思っていられた時間はかなり短かった。いつまでも危険人物の隣に居座るバカはいないだろう。
そそっと距離を取って座り直した。どう考えても賢明だと思う。わざっとらしいため息をついた瀬名さんは不満タラタラだけれど。
「なあ知ってるか。こういうのお預けって言うんだぞ」
「知りませんでした」
「俺の状態は欲求不満と言う」
「なんだよさっきからネチネチと。ゆっくりでいいって言ってたくせに」
「付き合っちまえば陥落するのは時間の問題だと思ってたからな」
ちょいちょいクズだなこの男。
人がせっかく開けた距離をこの人はぐいぐい詰めてきた。腕を掴まれその手を弾き、揉み合いになると一瞬で負ける。
俺の数秒間は無駄に終わった。背中は再び、床の上にトサッと。
「…………」
「お前はもう少し体重増やすか鍛えるかした方がいい。チョロすぎて心配になってくる」
「黙れクズ」
勝ち誇った顔で人の上にまたがる腹立たしい男を睨み上げた。俺がこの人に勝てるものなんて何もないのは知っているけど腕力ではさらに歯が立たない。
この流れでキスできる人が純粋なんてよくも抜かせたものだ。普段よりも若干強引に上から唇をむぐっとされた。
強奪でもするみたいな動作。逃げようとすると口をガプッと食われた。噛みつかれた。あんまりだ。なのにたいした抵抗もせずに結局受け入れてしまうのは、奪うような強引さはあっても、強制的な雰囲気は感じないから。
荒っぽいけど、無理にはしてこない。噛むと言ってもほとんど甘噛み。噛みつかれたそこは丁寧に舐められ、すぐに優しいだけのキスになる。
やわらかく啄んでくる感触はぞわぞわとしてくすぐったい。舌先だけゆっくり撫で合わせ、唇と唇の間には微かな隙間をふっと作られた。
「……は、っ……も……しつこい……」
「満更でもねえって顔してよく言う」
誰がそんな顔するか。顔面は確かに熱いが。それを絶対に分かっていながら容赦なくもう一度してこようとする。焦らすように距離を縮められて唇が触れる寸前、視線だけふいっと、横に逸らした。
目を逸らす俺の頬を包み込んだのはこの人の手のひら。ほっぺたを静かに撫でられ、せっかく逸らした目は覗き込まれた。
逃げる必要はそもそもないのだろう。それくらいちゃんと知ってる。付き合う前から俺が抱いていた印象はきっと間違っていない。
言うことはクズだし、考えもクズだけど。この人は、ひどいことはしない。
「分かってる」
経験値ゼロな俺のペースに瀬名さんはずっと合わせてきた。切羽詰まっていると言いながら、今日も最後は俺に合わせる。
「キスだけ」
そう言ってそっと、重なる。やわらかく。荒っぽさはもうそこになかった。力だって強いんだからやろうと思えばいくらでも、好きなようにできるはずなのに。
甘やかされる。いつもそうだ。この人とするこれは気持ちいい。これにだけはすっかり慣らされた。受け入れる事にもとっくに慣れて、受け入れたいと心底思うから、時々この人の真似をする。
下からその背に腕を伸ばした。唇をこすり合わせながら両腕でこの人の体を抱き寄せ、間にある邪魔な距離はゼロに。どうせキスするなら近い方がいい。
この人の唇は薄いのにやわらかい。男の人だけどすごく色っぽい。
何度も重ねた。ゆっくり啄む。こうやってこすれるの、気持ちいい。
俺がこうすると瀬名さんは喜ぶ。それを知っているからしたくなる。この人を抱きしめて舌を絡めて、撫でればもっと、キスされる。
「ん、ふ……」
しつこいくらいにくっついた。欠片も取りこぼさないように。
頬には瀬名さんの手が触れる。耳元を大きく包み込んで、撫でてくる。ぞくぞくする。
瀬名さんとこうなるまでキスがこんなだとは知らなかった。舌先をちゅくっと吸われて、俺も同じことをして返した。離れる寸前の、最後の僅かな一瞬さえも、この人と重なっている感触を逃してしまうのはとても惜しい。
「ン……はぁ……」
湿った呼吸が口から漏れた。瀬名さんの呼吸も、同じように重なる。
「遥希……」
こういうキスを俺に毎晩教え込んできたこの大人は、少し前まではしなかった顔を最近よく見せてくる。
男の人だ。そうと実感させてくる顔。それをぼんやり下から見上げた。この人のこんな表情を、見られるとは思っていなかった。
その顔が俺の肩に埋まって、ぎゅっと強く抱きしめてくる。ひどいことは絶対にしない。ダメと言えば必ずやめる。年下のガキを尊重してくる包容力高めな大人は、ひとり言のように呟いた。
「……これで勃たせんなって方が無理だろ」
瞬間、ピキッと凍り付いた顔面。目を見開いた。口角は引きつる。余韻も見事一発で冷めた。
なんて言いやがったこの男。今度こそ全力でバッと押しのけた。瀬名さんの下から逃げるように這い出たのは俺の判断力が正常だからだ。
「最っ低」
「最低なのは俺じゃねえ。お前も男なら分かるはずだ」
「知るかクソがッ、寄るんじゃねえクズ。散れ。滅べ。朽ち果てろ変態」
「もう一度教えておいてやると俺も人並みに傷つくからな」
「あっち行けハゲ」
「ハゲは違う」
否定するのそこだけでいいのかよ。
俺が距離を取るとこの人が詰めてくるのは幾度となく経験させられてきた毎度お馴染みのイタチごっこだ。長細いモフモフになる気はないから今日は即座に腰を上げた。こんな所にはいられない。
「おい……待て待て待て待て、分かった悪かった怒るな」
たとえ内心で思っていたとしても言うべきでない事であれば口に出さないのがまともな大人だ。瀬名さんはまともぶってはいるけど割かし頭が狂っているから俺に平気でそういう事を言う。
オープンな変質者のそばにいたら何をされるか分からない。だから逃げた。さっさと逃げた。俺は武士でも剣士でもないからなんら恥じずに敵に背を向けた。
ところが部屋から逃亡する前にガッと腕を掴まれている。人の前に回り込んで立ちはだかってくる邪魔な壁。
「行くなって」
「どけよウゼエな」
「いいから落ち着け」
落ち着いてられないからとりあえず睨みつけておく。
「あなたといると俺の時間は無駄になってばっかりです」
「お前といると俺の下半身は無駄に元気にさせられるばかりだ」
「…………」
「すまん。悪かった。今のは俺が悪い。反省するからそんな目で見るな」
まともじゃない。羞恥心ってもんがないのか。謝るくらいなら言わなきゃいいのに。
百八十五センチちょいの壁を押しのけて部屋から踏み出た。普段の動作は静かなこの人も後ろからドカドカ付いてくる。
「待てっての。どこ行く気だ」
「うるさいな、風呂入って来るだけですよ」
「どっちで」
「ウチで」
「今夜もこっちの使えばいい」
土間に下りる寸前で止まった。後ろから肩を引かれて瀬名さんの顔を振り返る。
夕べはここで風呂を借りた。結果どうなったか。後悔だ。
「……結構です。自分ちの使います」
俺が断れば瀬名さんは分かりやすくやれやれって顔。
「心配しなくても覗かねえよ」
「当然だよ。最低限のマナーだよ」
そんな事は言われるまでボヤッと程度にも考えていなかった。どうしてそう余計な一言を。
ここに入り浸るようになった原因は思い出すまでもなくこの男だが、ここの風呂を使う事になったのも諸悪の根源はやはりこの男。何日経ってもシャワー中の背後が怖い事に変わりはなかった。シャンプーの間も目を閉じていると後ろに何かいる気分になってくる。そのため左右の眼球は日々白い泡に攻撃され続けていた。
そんな話を恨みがましく瀬名さんにしてやったのは昨日。だったらうちの風呂を使えばいい。この人から返された提案をついつい受け入れてしまったのも昨日だ。
怖くて不気味な部屋の風呂か、変な男がいる部屋の風呂か。究極の二択だったが夕べの俺は後者を取った。
枕からいい匂いがしてくる人の風呂場は清潔感百パーセントで、綺麗でなおかつ安全な風呂場を提供されたのはありがたかったが、自分の考えが足りていなかった事に気づいてしまうのも早かった。
「風呂のためだけに自分ち帰ってまた戻って来るのは手間でしかねえだろ」
「いいんですよ銭湯気分だとでも思えば」
「あの狭いバスタブで銭湯気分は味わえない」
「いいんです」
「よくねえよ。うちの風呂の何が不満だ」
食い下がらなくていいところほど食い下がってくるのがこの大人。それくらい身に染みて分かっている。
「……別に」
「不満があるなら言え。直す」
直すんだ。わざわざ俺のために直しちゃうんだ。悪い男なんだかいい人なんだか本当によく分からない。
しかしそもそもここの風呂場で改善すべき箇所は見つからないだろう。狭いのはうちと同じだけれど手入れの行き届いた浴室と脱衣所。住んでいる部屋には少なからずその人の性格が表れるもので、男の一人暮らしにもかかわらず水回りがあそこまで綺麗なのは住人が丁寧で細やかだからだ。どこもかしこも完璧だ。
夕べのことを振り返ってしまうと溜め息しか出てこなくなる。
瀬名さん宅の浴室に初めて足を踏み入れた俺の感想。超キレイ。何ここ。別のマンションだろ。俺も見習おう。ピカピカじゃんヤバ。どうやってこれ掃除してんだ。お掃除屋さんでも雇ってんのかな。
我ながら実に頭の悪い感想でしかなかったと思うが本当に感動ものだった。鏡のちょっとした水垢すらなかった。瀬名さんはおそらく頑固な石灰汚れになる前に磨き上げてしまう几帳面タイプだ。
人様のおうちの整った環境に警戒はすっかり解けていた。そうなったのがきっと良くなかった。
しばらく振りにしっかり目をつぶりながらシャンプーをしていたその最中、ふわっと鼻を掠めた香り。知ってる匂い。いい匂いだった。それに気づいた。気づいて、思った。ああ、駄目だマズい。失敗したって。
綺麗でピカピカなこの空間は隣に住んでる恋人の入浴スペースだ。そしてこれはいつもあの人が使っているシャンプーだ。急にそんな実感がわいてきて、そのせいでいい匂いはより鮮明になってしまった。
置いてあるシャンプーを借りて使って瀬名さんと同じ匂いになって少女漫画に出てくる女子みたいなふわふわラテ系の甘ったるい生き物に万が一にでも成り下がった自分を想像するとクソさむい、凍える。
そういう訳だから断固拒否する。善意による瀬名さんの提案をはねのけるのは凍死しないための措置だ。措置とはつまり事前の対策だ。夕べ実際にふわふわラテ系になった訳では断じてない。
綺麗で安全なあの空間を嫌がる俺の事情を瀬名さんは知らない。こんなバカみたいな塩辛い葛藤を想像もしていないだろう男は、それこそ純粋な厚意でもって自宅の風呂場を提供しようとしてくる。
今もまた何かを考え込んで眉間を厳しく寄せていた。すると何事かを思いついたようでパッとひらめいたような顔をした。
「なるほど。分かった。入浴剤だろ」
違ぇよ。クイズとかやってねえよ。
「少し待てるなら今すぐ買ってくる」
「いりません」
「粉末タイプ、固形タイプ、炭酸強め、ポカポカ持続系、その他色々、どれがいい。肩こり腰痛に悩んでいるなら薬用系がおすすめだ」
「だから違いますってば、悩んでねえし。風呂くらいは自分ちでゆっくり入りたいだけですよ」
「自分ちの風呂じゃ怖くてゆっくりできねえって話だったんじゃねえのか」
「…………」
「お前のそれは自滅と言う」
「そんな解説求めてません」
墓穴を掘った人間の傷口に塩を塗り込もうとするな。
「もういいから余計な口出ししないでください」
「頑固な奴だな」
「悪かったな」
脱ぎ履きしやすくて安い以外はこれと言ってメリットもないスリッポンに足を突っ込んだ。
今度は瀬名さんも引き止めてこない。腕を組んで廊下に立ったまま俺の行動を見守っている。
「まあ……そこまで言うなら止めはしねえよ。ただな、あれだ。気を付けろ」
「は?」
「水場には特に寄って来やすいって昔からよく言うだろ」
ガチャッとドアノブを握ったこの手がそこでピタリと動きを止めた。全身の筋肉が急に強張る。
動きが悪くなった自分の首をぐぐっと後ろへ動かして、瀬名さんをそろりと振り返った。目に入ったのはこの人の真顔。
「……え?」
「頭を洗っている最中にだるまさんがころんだと口に出したり頭の中で考えたりするのはやめておけ」
「だ、だるま……?」
「楽しい事してると思って周りに集まって来るらしい」
なんだそれめちゃくちゃ怖い。
「悪いことは言わねえからだるまさんがころんだは思い出すな。ガキの頃に刷り込まれたはずのだるまさんがころんだという概念そのものを記憶から消し去れ」
「無茶な……」
「ならとにかく思い浮かべるな。絶対に思い出すなよ」
「…………」
「大丈夫だ、ただ黙ってるのは何も難しい事じゃねえ。あとはたとえ何があっても心の中で唱えないようにすればいいだけだ。だるまさんがころんだ、と」
俺の頭の中はすでにだるまさんがころんだでいっぱいだ。
「俺はここでお前の無事を祈って待ってる」
「無事って……」
「達者でな」
達者って。
「ああそれと、できる限り鏡と排水溝にも近付かない方がいいと思う。よくあるだろ。そういうの」
「…………」
鬼畜なのかこの男は。精神攻撃が異常にエグい。
「俺が満足するまでに決まってる」
「いい加減どいてくださいよ」
「全然満足してないから断る」
人の上に乗っかりながらこの大人は平然と言う。メシ食い終わってすっかり寛ぎモードになっていたら押し倒された。どこでスイッチが入っちゃったんだか全然思い当たる節がない。
急にこういうテンションになれるのも男としては尊敬するけど、何度もしつこくキスしてくるから唇の感覚もいよいよ危うい。そろそろ限界で音を上げた俺を瀬名さんは逃がす気がないようだった。
「キスに慣れたなら第一段階は修了だ。今日からは第二段階に進む」
「なんですかここ。教習所ですか」
「路上教習も二人で一緒にがんばろうな」
そんな教習は頑張りたくない。教官がこれでは消耗もひどい。むぐっと押し付けるように唇を重ねられ、ついでに両手首もつかまれた。
おぞましい事故物件疑惑を突如ブチかまされて以降、日が暮れてから自分の部屋に一人でいると落ち着かないため瀬名さんの部屋に入り浸るようになった。怖い事を言いだした人の所に避難するのも癪だが仕方ない。瀬名さんも瀬名さんで会社から帰ってきて自分の部屋に俺がいようとも、それがあたかも当然のごとく普通にただいまと言ってくる。
俺はここにいていいらしい。定位置はすっかり瀬名さんの隣。
しかし今はこの人の下だ。手首は床に押さえつけられ、けれど握力はやんわりしていて控えめだから痛くない。振り切ろうと思えばいつでもできる。優しい加減で俺を拘束するこの男は、キスより先に進みたいそうだ。
口の端っこにちゅっとされた。そのキスは顎を伝ってゆっくり下におりていく。形の整った唇が、首の横を撫でるように掠めた。
「あの……」
キスの仕方とか、触り方とか、瀬名さんは明け透けで隠さない。こっちが逃げ腰になっていても今までのようにはやめてくれない。生温かい、湿った感触が肩に向かって首筋を伝った。
着古したシャツの襟ぐりに、この人の指先が引っかかる。クイッとそこを引っ張って、空気に晒された鎖骨の線を濡れた舌先と唇が辿った。
強張りそうな体を動かして下から触れたのは瀬名さんの二の腕。触れたその腕は、頑丈で逞しい。反対にこの人の服を掴んで握りしめる俺の力は、無様なほどに弱々しかった。
「待って……」
「俺はもう十分待った。むしろ褒めてほしいくらいだ」
押しのけるまでには至らない。だからこの手はすぐに捕らえられ、床の上に戻される。
「お前もそう思わねえか」
問いかけの形を取っていながら実際のそれは断定だ。俺が答えに詰まっているうちにもう一度ゆっくりされたキス。優しい。けど、それだけじゃない。
左側の手首は放され、空いた片手は服の裾へと。瀬名さんの大きな手が中にスルスル入ってくる。指先がそっと肌に触れ、反射でピクッと体が揺れてもその手を止めてはくれなかった。
耳の下には唇が触れる。吸い付くようなキスをしながら、撫でられた。腹の上を。ツツッと。
「っ……」
ぐいっと、瀬名さんの肩を押し返していた。
この喉からは詰めたような音がヒクリと零れ出ただけだったが、決してそんなつもりじゃない。そういうつもりは全くなかった。けれど今度こそこの行動は明確な拒否になっている。
「…………」
「…………」
縮こまったまま瀬名さんを見上げた。はっきりと押し返してしまった。
咄嗟に両腕が動いていたのは単なる反射だと言い訳したいが、俺を見下ろすこの人の目にはどう見ても不満しか浮かんでいない。
「思わねえようだな」
「…………」
口調まで非難がましい。
「俺も無理強いはしたくねえがここまで拒絶されるとさすがに傷付く」
「拒絶なんて……」
「違うのか」
「……そんな責めますか」
「切羽詰まった男と書いてクズって読むんだよ覚えとけ」
偉そうに堂々と言う事じゃない。
チクチクと視線が突き刺さってきて痛いからそろりと逃れた。自分でクズとか言うだけあって込められた怨念が凄まじい。顔を背けながら控えめに起き上がってもねちっこい眼差しだけは感じる。
「……今日はだめ」
「ほう。そうか。今日な。今日はな。たしか一昨日もそう言われた気がする。昨日もそう言われた記憶が残ってる。明日もそう言われる予感しかしねえ」
「毎日押し倒してくんのやめてくださいよ」
「恋人を丸ごと愛したいと思う俺の至って純粋な気持ちをお前はそうやって踏みにじる」
ペラペラペラペラとうるせえな。この人のどこが純粋だろうか。
少しでも罪悪感を抱いた俺がバカだったのかもしれない。聞こえのいいように言っているけど要はヤラせろって話だ、クソじゃねえか。こんなのが純粋な訳がないし被害者ぶってる感じもムカつく。
申し訳ないと思っていられた時間はかなり短かった。いつまでも危険人物の隣に居座るバカはいないだろう。
そそっと距離を取って座り直した。どう考えても賢明だと思う。わざっとらしいため息をついた瀬名さんは不満タラタラだけれど。
「なあ知ってるか。こういうのお預けって言うんだぞ」
「知りませんでした」
「俺の状態は欲求不満と言う」
「なんだよさっきからネチネチと。ゆっくりでいいって言ってたくせに」
「付き合っちまえば陥落するのは時間の問題だと思ってたからな」
ちょいちょいクズだなこの男。
人がせっかく開けた距離をこの人はぐいぐい詰めてきた。腕を掴まれその手を弾き、揉み合いになると一瞬で負ける。
俺の数秒間は無駄に終わった。背中は再び、床の上にトサッと。
「…………」
「お前はもう少し体重増やすか鍛えるかした方がいい。チョロすぎて心配になってくる」
「黙れクズ」
勝ち誇った顔で人の上にまたがる腹立たしい男を睨み上げた。俺がこの人に勝てるものなんて何もないのは知っているけど腕力ではさらに歯が立たない。
この流れでキスできる人が純粋なんてよくも抜かせたものだ。普段よりも若干強引に上から唇をむぐっとされた。
強奪でもするみたいな動作。逃げようとすると口をガプッと食われた。噛みつかれた。あんまりだ。なのにたいした抵抗もせずに結局受け入れてしまうのは、奪うような強引さはあっても、強制的な雰囲気は感じないから。
荒っぽいけど、無理にはしてこない。噛むと言ってもほとんど甘噛み。噛みつかれたそこは丁寧に舐められ、すぐに優しいだけのキスになる。
やわらかく啄んでくる感触はぞわぞわとしてくすぐったい。舌先だけゆっくり撫で合わせ、唇と唇の間には微かな隙間をふっと作られた。
「……は、っ……も……しつこい……」
「満更でもねえって顔してよく言う」
誰がそんな顔するか。顔面は確かに熱いが。それを絶対に分かっていながら容赦なくもう一度してこようとする。焦らすように距離を縮められて唇が触れる寸前、視線だけふいっと、横に逸らした。
目を逸らす俺の頬を包み込んだのはこの人の手のひら。ほっぺたを静かに撫でられ、せっかく逸らした目は覗き込まれた。
逃げる必要はそもそもないのだろう。それくらいちゃんと知ってる。付き合う前から俺が抱いていた印象はきっと間違っていない。
言うことはクズだし、考えもクズだけど。この人は、ひどいことはしない。
「分かってる」
経験値ゼロな俺のペースに瀬名さんはずっと合わせてきた。切羽詰まっていると言いながら、今日も最後は俺に合わせる。
「キスだけ」
そう言ってそっと、重なる。やわらかく。荒っぽさはもうそこになかった。力だって強いんだからやろうと思えばいくらでも、好きなようにできるはずなのに。
甘やかされる。いつもそうだ。この人とするこれは気持ちいい。これにだけはすっかり慣らされた。受け入れる事にもとっくに慣れて、受け入れたいと心底思うから、時々この人の真似をする。
下からその背に腕を伸ばした。唇をこすり合わせながら両腕でこの人の体を抱き寄せ、間にある邪魔な距離はゼロに。どうせキスするなら近い方がいい。
この人の唇は薄いのにやわらかい。男の人だけどすごく色っぽい。
何度も重ねた。ゆっくり啄む。こうやってこすれるの、気持ちいい。
俺がこうすると瀬名さんは喜ぶ。それを知っているからしたくなる。この人を抱きしめて舌を絡めて、撫でればもっと、キスされる。
「ん、ふ……」
しつこいくらいにくっついた。欠片も取りこぼさないように。
頬には瀬名さんの手が触れる。耳元を大きく包み込んで、撫でてくる。ぞくぞくする。
瀬名さんとこうなるまでキスがこんなだとは知らなかった。舌先をちゅくっと吸われて、俺も同じことをして返した。離れる寸前の、最後の僅かな一瞬さえも、この人と重なっている感触を逃してしまうのはとても惜しい。
「ン……はぁ……」
湿った呼吸が口から漏れた。瀬名さんの呼吸も、同じように重なる。
「遥希……」
こういうキスを俺に毎晩教え込んできたこの大人は、少し前まではしなかった顔を最近よく見せてくる。
男の人だ。そうと実感させてくる顔。それをぼんやり下から見上げた。この人のこんな表情を、見られるとは思っていなかった。
その顔が俺の肩に埋まって、ぎゅっと強く抱きしめてくる。ひどいことは絶対にしない。ダメと言えば必ずやめる。年下のガキを尊重してくる包容力高めな大人は、ひとり言のように呟いた。
「……これで勃たせんなって方が無理だろ」
瞬間、ピキッと凍り付いた顔面。目を見開いた。口角は引きつる。余韻も見事一発で冷めた。
なんて言いやがったこの男。今度こそ全力でバッと押しのけた。瀬名さんの下から逃げるように這い出たのは俺の判断力が正常だからだ。
「最っ低」
「最低なのは俺じゃねえ。お前も男なら分かるはずだ」
「知るかクソがッ、寄るんじゃねえクズ。散れ。滅べ。朽ち果てろ変態」
「もう一度教えておいてやると俺も人並みに傷つくからな」
「あっち行けハゲ」
「ハゲは違う」
否定するのそこだけでいいのかよ。
俺が距離を取るとこの人が詰めてくるのは幾度となく経験させられてきた毎度お馴染みのイタチごっこだ。長細いモフモフになる気はないから今日は即座に腰を上げた。こんな所にはいられない。
「おい……待て待て待て待て、分かった悪かった怒るな」
たとえ内心で思っていたとしても言うべきでない事であれば口に出さないのがまともな大人だ。瀬名さんはまともぶってはいるけど割かし頭が狂っているから俺に平気でそういう事を言う。
オープンな変質者のそばにいたら何をされるか分からない。だから逃げた。さっさと逃げた。俺は武士でも剣士でもないからなんら恥じずに敵に背を向けた。
ところが部屋から逃亡する前にガッと腕を掴まれている。人の前に回り込んで立ちはだかってくる邪魔な壁。
「行くなって」
「どけよウゼエな」
「いいから落ち着け」
落ち着いてられないからとりあえず睨みつけておく。
「あなたといると俺の時間は無駄になってばっかりです」
「お前といると俺の下半身は無駄に元気にさせられるばかりだ」
「…………」
「すまん。悪かった。今のは俺が悪い。反省するからそんな目で見るな」
まともじゃない。羞恥心ってもんがないのか。謝るくらいなら言わなきゃいいのに。
百八十五センチちょいの壁を押しのけて部屋から踏み出た。普段の動作は静かなこの人も後ろからドカドカ付いてくる。
「待てっての。どこ行く気だ」
「うるさいな、風呂入って来るだけですよ」
「どっちで」
「ウチで」
「今夜もこっちの使えばいい」
土間に下りる寸前で止まった。後ろから肩を引かれて瀬名さんの顔を振り返る。
夕べはここで風呂を借りた。結果どうなったか。後悔だ。
「……結構です。自分ちの使います」
俺が断れば瀬名さんは分かりやすくやれやれって顔。
「心配しなくても覗かねえよ」
「当然だよ。最低限のマナーだよ」
そんな事は言われるまでボヤッと程度にも考えていなかった。どうしてそう余計な一言を。
ここに入り浸るようになった原因は思い出すまでもなくこの男だが、ここの風呂を使う事になったのも諸悪の根源はやはりこの男。何日経ってもシャワー中の背後が怖い事に変わりはなかった。シャンプーの間も目を閉じていると後ろに何かいる気分になってくる。そのため左右の眼球は日々白い泡に攻撃され続けていた。
そんな話を恨みがましく瀬名さんにしてやったのは昨日。だったらうちの風呂を使えばいい。この人から返された提案をついつい受け入れてしまったのも昨日だ。
怖くて不気味な部屋の風呂か、変な男がいる部屋の風呂か。究極の二択だったが夕べの俺は後者を取った。
枕からいい匂いがしてくる人の風呂場は清潔感百パーセントで、綺麗でなおかつ安全な風呂場を提供されたのはありがたかったが、自分の考えが足りていなかった事に気づいてしまうのも早かった。
「風呂のためだけに自分ち帰ってまた戻って来るのは手間でしかねえだろ」
「いいんですよ銭湯気分だとでも思えば」
「あの狭いバスタブで銭湯気分は味わえない」
「いいんです」
「よくねえよ。うちの風呂の何が不満だ」
食い下がらなくていいところほど食い下がってくるのがこの大人。それくらい身に染みて分かっている。
「……別に」
「不満があるなら言え。直す」
直すんだ。わざわざ俺のために直しちゃうんだ。悪い男なんだかいい人なんだか本当によく分からない。
しかしそもそもここの風呂場で改善すべき箇所は見つからないだろう。狭いのはうちと同じだけれど手入れの行き届いた浴室と脱衣所。住んでいる部屋には少なからずその人の性格が表れるもので、男の一人暮らしにもかかわらず水回りがあそこまで綺麗なのは住人が丁寧で細やかだからだ。どこもかしこも完璧だ。
夕べのことを振り返ってしまうと溜め息しか出てこなくなる。
瀬名さん宅の浴室に初めて足を踏み入れた俺の感想。超キレイ。何ここ。別のマンションだろ。俺も見習おう。ピカピカじゃんヤバ。どうやってこれ掃除してんだ。お掃除屋さんでも雇ってんのかな。
我ながら実に頭の悪い感想でしかなかったと思うが本当に感動ものだった。鏡のちょっとした水垢すらなかった。瀬名さんはおそらく頑固な石灰汚れになる前に磨き上げてしまう几帳面タイプだ。
人様のおうちの整った環境に警戒はすっかり解けていた。そうなったのがきっと良くなかった。
しばらく振りにしっかり目をつぶりながらシャンプーをしていたその最中、ふわっと鼻を掠めた香り。知ってる匂い。いい匂いだった。それに気づいた。気づいて、思った。ああ、駄目だマズい。失敗したって。
綺麗でピカピカなこの空間は隣に住んでる恋人の入浴スペースだ。そしてこれはいつもあの人が使っているシャンプーだ。急にそんな実感がわいてきて、そのせいでいい匂いはより鮮明になってしまった。
置いてあるシャンプーを借りて使って瀬名さんと同じ匂いになって少女漫画に出てくる女子みたいなふわふわラテ系の甘ったるい生き物に万が一にでも成り下がった自分を想像するとクソさむい、凍える。
そういう訳だから断固拒否する。善意による瀬名さんの提案をはねのけるのは凍死しないための措置だ。措置とはつまり事前の対策だ。夕べ実際にふわふわラテ系になった訳では断じてない。
綺麗で安全なあの空間を嫌がる俺の事情を瀬名さんは知らない。こんなバカみたいな塩辛い葛藤を想像もしていないだろう男は、それこそ純粋な厚意でもって自宅の風呂場を提供しようとしてくる。
今もまた何かを考え込んで眉間を厳しく寄せていた。すると何事かを思いついたようでパッとひらめいたような顔をした。
「なるほど。分かった。入浴剤だろ」
違ぇよ。クイズとかやってねえよ。
「少し待てるなら今すぐ買ってくる」
「いりません」
「粉末タイプ、固形タイプ、炭酸強め、ポカポカ持続系、その他色々、どれがいい。肩こり腰痛に悩んでいるなら薬用系がおすすめだ」
「だから違いますってば、悩んでねえし。風呂くらいは自分ちでゆっくり入りたいだけですよ」
「自分ちの風呂じゃ怖くてゆっくりできねえって話だったんじゃねえのか」
「…………」
「お前のそれは自滅と言う」
「そんな解説求めてません」
墓穴を掘った人間の傷口に塩を塗り込もうとするな。
「もういいから余計な口出ししないでください」
「頑固な奴だな」
「悪かったな」
脱ぎ履きしやすくて安い以外はこれと言ってメリットもないスリッポンに足を突っ込んだ。
今度は瀬名さんも引き止めてこない。腕を組んで廊下に立ったまま俺の行動を見守っている。
「まあ……そこまで言うなら止めはしねえよ。ただな、あれだ。気を付けろ」
「は?」
「水場には特に寄って来やすいって昔からよく言うだろ」
ガチャッとドアノブを握ったこの手がそこでピタリと動きを止めた。全身の筋肉が急に強張る。
動きが悪くなった自分の首をぐぐっと後ろへ動かして、瀬名さんをそろりと振り返った。目に入ったのはこの人の真顔。
「……え?」
「頭を洗っている最中にだるまさんがころんだと口に出したり頭の中で考えたりするのはやめておけ」
「だ、だるま……?」
「楽しい事してると思って周りに集まって来るらしい」
なんだそれめちゃくちゃ怖い。
「悪いことは言わねえからだるまさんがころんだは思い出すな。ガキの頃に刷り込まれたはずのだるまさんがころんだという概念そのものを記憶から消し去れ」
「無茶な……」
「ならとにかく思い浮かべるな。絶対に思い出すなよ」
「…………」
「大丈夫だ、ただ黙ってるのは何も難しい事じゃねえ。あとはたとえ何があっても心の中で唱えないようにすればいいだけだ。だるまさんがころんだ、と」
俺の頭の中はすでにだるまさんがころんだでいっぱいだ。
「俺はここでお前の無事を祈って待ってる」
「無事って……」
「達者でな」
達者って。
「ああそれと、できる限り鏡と排水溝にも近付かない方がいいと思う。よくあるだろ。そういうの」
「…………」
鬼畜なのかこの男は。精神攻撃が異常にエグい。
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