転生先は小説の‥…。

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第十二章 分水嶺

⑭・貸し一つー2

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「タッカーソンの倅の件じゃが、アレは軍が掴んだ情報ではなくてのう。密告があったんじゃ。じゃが高位貴族の者としかわからんかった。儂は軍部から抜けた身じゃて全く知らされず、事件後、軍の失態と言う形で知らされたんじゃ」

諸事情により軍の尻拭いをさせられたお祖父ちゃん。その時にタレコミ情報を知ったそうだ。万が一と母さんと俺を王国に留めるよう仕向け、自ら捜査指揮を執ったのだと。

捜査情報は明かせないと簡単な説明だった。義兄の推理も概ね正解で、足りないのはギルガの役割。

密告者はギルガだそうだ。彼は元々密偵として『青の盾』に配属されターゲットである第二皇女の護衛となったという。驚くことに第二皇女は皇帝から目を付けられるほどのやんちゃさんだった。一体何したらパパンに密偵放り込まれんのよ。意味が分からん。


義兄が、考えの浅い傍若無人な高飛車の男好き。と辛辣。以前聞いたのと若干の違いがあるけど、禄でもないってことは充分に伝わった。

あと、家臣を奴隷とはき違えたバカ女とも。もっと酷い。正面のお祖父ちゃんもうんうん頷くとこをみると本当に禄でもないお姫様ってのが理解できた。

第四皇子も酷いとどっからともなく声がした。
あぁ兄妹揃ってロクデナシかよ。

おっと、話を戻すと、要注意人物の皇宮から(+実母)高位貴族を攫わせると話していたのをギルガに聞かれちゃったわけ。タレコミの甲斐なく弟君が攫われちゃって。そりゃもうおったまげたお兄ちゃんが弟君の秘密を、パパがひた隠しに隠してた秘密を、皇帝に告げ口したことで、やんちゃする子はお仕置きですぞ~な計画が立案されたみたい。皇女も実母もその実家も、傀儡にされた第四皇子も、もう実害しかないと見放された。とまあ軽く言えばこんな感じ? 叩けば埃の出る一族らしくこの際徹底的に排除する方向に決まった。


ギルガは買受た人物を突き止める役目があるって。それを聞いた義兄はにっこりと。

「お義祖父様、ふふ、丁度良いことに彼等を追跡しているのはギルベルトとダルです『契約術も解きますので。これは貸しひとつですね』」

最後に副音声が聴こえた気がする。その声はお祖父ちゃんの耳(心)にもしっかり届いたとみえる。
ものすごーく苦々しい顔で頷いたよ。

どうやらお祖父ちゃん、完敗したね。



漸く観念したお祖父ちゃんが、皇帝陛下からの命と主要な計画を白状しやがった。

うん、何のことはない、事前に皇帝から計画を打ち明けてもいいと諾を得ていたって。なにそれ。

「そうじゃ、標的が高位貴族の誰かだと軍は事前に情報を入手しておきながら初動調査をしくじりおって…‥しかしラムよ、アレの能力まで掴んでおったのか? お主の諜報員は相当な実力者じゃのう」

顎をサスサスしてるお祖父ちゃんはマジもんで感嘆していた。

あれ、それって‥‥確か、七つの魔法陣を解いちゃった後、ヴォルグフと話をしてたよね? 義兄。あぁその時聞き出したのか、そりゃ確かな情報だろうよ。だって当の本人に聞いちゃたんでしょ? 
秘匿情報を聞き出した手腕の詳細は聞きたくない知りたくない、けど容易に想像できるよね。ガクブルしちゃわ。

あーあ、お祖父ちゃん、騙されてるよ。ヴォルグフに尋問しただけだって。



こすい。

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