【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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ジーナ様の番

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 ジーナ様の気持ちを聞いてから『番』がいる事を話そう。

「ジーナ様、不躾な質問をする事をお許しください」
「ええ、大丈夫ですわ」
「ジーナ様は、今でもダーティ様に対してのお気持ちはありますか?」
「……無いですわね……。
 もう気持ちは無いんですのよ、でも良い殿方がいないのが現状なんですの。
 両親とお兄様にも言えなくて、誰かに聞いてもらって背中を押してほしかったのです」

 言っても大丈夫そうだね。

「ジーナ様にはソフィーリアに獣人の『番』がいると聞きましたわ。
 獣人は1人の番しか愛さないらしいですよ、ゆっくりで良いんです。
 ジーナ様の良い返事を待っていますわ。」

 私は顔を真っ赤にしているジーナ様を見て微笑んだ。
 数人の走って来る足音がした時だった。

「それは本当かい?
 その獣人の番の話は今でも可能だろうか?」
「会わせてやって下さい!」
「まぁまぁまぁ、獣人の旦那様だなんて素敵だわ!」
「娘に紹介してもらえないだろうか?」

 イーリス子爵家の皆様に凄い勢いで食いつかれたわ。

「わたくしの婚約者にお聞きしておきますわ。
 ジーナ様、このネックレスを受け取っていただけると嬉しいです。
 友情の証として、レイン様とハーティー様もつけていますの。
 虹色に光って綺麗でしょ?
 4人でお揃いですわ」
「……ううっ……嬉しい、凄く嬉しいですわ。
 ユア様、こんな私でも友達だと思ってくれますか?」
「当たり前ですわ。
 ジーナ様はわたくしの大切な友人、そして親友になりたいですわ!」
「わたくしもユア様と親友になりたいですわ。
 レイン様とハーティー様とも親友になりたいです!」

 私とジーナ様は微笑み合いながら、お互いの両手を握りしめていた。
 楽しい時間は過ぎるのが早いもので、帰宅時間になり……ジーナ様と両手を握りしめて明日は番の話を、レイン様とハーティー様も交えて話す約束をした。

「ユア様、きっとですよ。
 明日も来てくださいませ」

 ウルウルした瞳が萌えーーで、可愛い!
 私のハートが撃ち抜かれた気分だわ。

「ジーナ、ユア様を困らせてはいけないよ」
「ジーナ様、大丈夫ですよ。
 ジーナ様が望むのであれば、わたくしは毎日来ますわ」
「っっ!!
 ユア様、ありがとうございます!!」

 私達は手を振り、オールとジンの元へ行った。


「ユア様、この様な時間にどうかされましたか?」
「……あのね……ジーナ様の番の相手が知りたくて。
 ジンお願いします、教えて下さい!」
「……ユア様、頭を上げて下さい。
 ジーナ嬢の番は『私』ですよ、ジーナ嬢には相手がいるので良いんです。
 幸せになって……」
「ジーナ様は婚約破棄をすると言ってました!
 今日の夕刻に婚約破棄申請をしたと聞きました。
 ジーナ様はダーティ様に対する気持ちは無く、イーリス子爵家の皆様には獣人の『番』の話はまだ可能なのかを聞かれました!」
「……私は諦めなくて良いと?
 ユア様、私はジーナ嬢の隣にいても良いのだろうか?」

 ドアが開きオールがジンの肩をポンッと叩き、背中を押していた。

「何を迷っているんだ?
 早くしないとジーナ嬢が他の者に取られてしまうぞ!
 政務も終わっているんだ、行くぞ。
 ユアも来てくれるか?」
「うん。
 ジーナ様の喜ぶ顔が見たいわ。
 オール、レイン様とハーティー様も御両親に婚約破棄の話をすると言ってたよ」
「っ!!
 今日はジーナ嬢に話して、明日はレイン嬢とハーティー嬢の『番』に連絡して、こちらへ来るよう手配しておくよ」

 オールとジンと一緒にジーナ様のお屋敷へと急いだ。
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