がんばれ勇者くん

うさのり

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プロローグ

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「はぁ・・・。」

ちいさな子供が、机にある鏡を見ながら溜息をついた。黒に近い濃い紫の髪が、わずかに揺れた。
鏡の中にでは、高校生だろう少年たちが、それぞれおそろいのユニフォームの上から2種類で色違いのゼッケンを着て、グラウンド内を走り回っている。
子供の藤色の瞳は、そこに映し出された、人一倍速く走る少年だけを追っていた。

「何か、気に入ったものでもあるのか?」

びくっと体を硬直させた子供は、後ろから入ってきた長く黒い髪の青年を見た。彼の左顔は髪で覆われているので見えないが、美しい紫色をした右の瞳は楽しそうに細められている。
子供は、少し悲しそうな顔をした。その顔を見て、青年はその子供に問いかけた。

「・・・そうだ。私とゲームをしないか?」

「ゲーム・・・ですか?」

首をかしげる子供に向かって、青年は楽しそうに語りかけた。

「そう。このごろ忙しかったからね。少しぐらい気休めをしてもいいのではないかな?」

子供は、うつむいて、小さく首を左右に振った。

「ボクには休んでいる時間は・・・。」

「大丈夫。皆には私から言おう。」

ぱっと、子供は顔をあげ、青年を見た。

「これはゲームだから、何をしたいかは君が決めなさい。」

そこまで楽しそうに言っていた青年は、にやりと人が悪そうに口元をゆがませて続けた。

「・・・そうだな。私にできる事なら、少しくらいの我儘は聞いてあげよう。」

子供は、青年の顔を穴があくほど熱心に見つめて呟いた。

「ボクが・・・?」

青年が頷くと、子供は口元に手をやり、少し考えてから言った。

「ボクがしたいのは・・・。」

暖かい日差しが差し込む部屋の中で、子供はまっすぐ青年を見た。
青年はその内容を聞き、満足げに頷いた。
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