無表情いとこの隠れた欲望

はじめて？

05＊（終）

「は、ぁ……気持ち、い」

　雪哉が感嘆の声を漏らし、ドキリとした。雪哉にも気持ちよくなってもらえてることが、うれしい。

「梓、ここさわるともっと気持ちよくなるよ」
「え……きゃぅ！」

　雪哉の指が、梓の濡れた花芯にふれる。ぷくりと充血した花芯は敏感になっていて、中を突き上げられながら花芯にふれられると、強い快感に目の奥がちかちかと光り始める。
　こんなの知らない。
　こんなに気持ちがいいことは、知らない。
　いつも表情が乏しいはずの雪哉は熱い眼差しを梓に向けながら、腰を揺らして梓の奥を貫く。一定のリズムだったその動きは徐々にズレ、めちゃくちゃなものに変わっていく。それが、梓の心も体もかき乱す。

「あ、だめ、雪哉くん……なんか、だめなのっ」
　梓はわけもわからず首を振った。訪れる快感に飲み込まれそうになって、必死に意識を保とうとする。
「っ……俺も……締め付けられて、やばい」
　お互いに限界が近いのを感じて、どちらからともなく唇を寄せた。今までにないくらい激しく求め合い、舌を絡めながら、梓は絶頂へと向かう。

「んぅ――っ！」
「くっ……」
　キスをしながら梓は息を詰めた。遅れて雪哉もびくりと腰を震わせながら、達した。

「……はぁ……梓……」
　ちゅ、ちゅ、と小さなキスが顔中に降ってくる。
　額、まなじり、鼻、頬、それから唇。
　下唇を吸われ、開くと熱い舌が絡み合う。

「梓、うれしいよ。ありがと」
　梓の乱れた髪を整えながら雪哉が微笑む。
「……私も、うれしい」
　好きな人とつながれることがこんなに満たされるなんて。
「梓は俺の彼女だから」
「……う、うん」
　はっきり宣言されて、少しこそばゆい。でも喜びがじんわりと胸の中を占めていく。

「おばさんに報告しないとな」
「お母さんに！？」

　頷く雪哉。
　梓は目を見開いた。余韻などすっかりなくなり一気に頭が冴える。

「ま、まだいいでしょ」
　恥ずかしいし、しばらくは秘密にしていたい。いとことなると問題はなくても特殊だという意識もある。
「だって、家で思う存分梓といちゃいちゃしたいし」
「お母さんの前ではやめて！」
「……そう？」
　しょんぼりする雪哉はまるで年下のようだ。

「しばらくは秘密でお願いします」
「……わかった。じゃあ次は梓の部屋でこっそりしよ」
「……っ」

　内緒話にしてはいやらしい提案に、梓は顔を真っ赤に染める。
　無表情の裏に隠れていたのは、長い間燻っていた欲望。
　その熱を起こしたのは、偶然のキスだった。