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犬死
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「もしもし、美智香さん?」
自宅に戻ってきた美智香は、見知らぬ番号からかかってきた電話番号を、不審に思いながら出た。
電話の主はユウだった。
「ユウさん…」
「トモちゃんからこの番号を聞いてて、頃合いを見てかけるように言われてたんです。」
「そうなんだ」
このような事態を想定していた智は、ユウに美智香に連絡するよう指示を出していた。
「で、どうなったんですか?
トモちゃんも一緒ですか?」
ユウの質問に、美智香はここに至るまでの話を全て伝えた。
「そうですか…
トモちゃんはあの男と一緒に…」
ユウは最悪のシナリオで物事が進んでいるという感想を持ち、声のトーンが落ちた。
「ユウさん…
私、不本意ではあるけど、向こうの要求を受け入れようと思うの。」
「それはダメです。
一度でも応じてしまうと、どんどんエスカレートしていきます。
その弱みにつけ込まれて、延々と要求されるだけの人生を送ることになります。」
「それは私にもわかっているの。
でも、この最悪すぎる状況の中、最良の方策なんて無いと思うの。」
「でも、警察を信じましょう。
ワタシ達がここで色々考えるより、やはりプロに任せた方が良いに決まってます。」
「ユウさん
私は桐山の事はよく知らないけど、佐藤という男の事はわかっているつもりです。
もう仕事面でどうしようもない事態に陥っている事は本人も気づいている事でしょう。
私のお金が何の役に立たない事も。
今、あの男を突き動かす原動力は私への復讐心
その一点に尽きると思います。
つまり、ワタシが要求に応じない場合、間違いなくワタシの大切なものを破壊します。
そして、自ら命を絶つでしょう。」
「そんな…」
「その点、桐山という男は智への執着心はある様であるようですが、金さえ手に入れば交渉の余地はあるように見えました。
今の私にはそれに賭けるしかない…」
「わかりました。
警察を頼るのは最後にしましょう。
今からそちらにお伺いしてもいいですか」
「ええ。こんな事に巻き込んでしまって本当に申し訳ありません。」
「いえ、ワタシも美智香さんが真弥さんを愛しているように、トモちゃんの事を心から愛しています。
彼女を取り戻す為なら何だってします。」
ユウは力強い口調で言い、電話を切った。
自宅に戻ってきた美智香は、見知らぬ番号からかかってきた電話番号を、不審に思いながら出た。
電話の主はユウだった。
「ユウさん…」
「トモちゃんからこの番号を聞いてて、頃合いを見てかけるように言われてたんです。」
「そうなんだ」
このような事態を想定していた智は、ユウに美智香に連絡するよう指示を出していた。
「で、どうなったんですか?
トモちゃんも一緒ですか?」
ユウの質問に、美智香はここに至るまでの話を全て伝えた。
「そうですか…
トモちゃんはあの男と一緒に…」
ユウは最悪のシナリオで物事が進んでいるという感想を持ち、声のトーンが落ちた。
「ユウさん…
私、不本意ではあるけど、向こうの要求を受け入れようと思うの。」
「それはダメです。
一度でも応じてしまうと、どんどんエスカレートしていきます。
その弱みにつけ込まれて、延々と要求されるだけの人生を送ることになります。」
「それは私にもわかっているの。
でも、この最悪すぎる状況の中、最良の方策なんて無いと思うの。」
「でも、警察を信じましょう。
ワタシ達がここで色々考えるより、やはりプロに任せた方が良いに決まってます。」
「ユウさん
私は桐山の事はよく知らないけど、佐藤という男の事はわかっているつもりです。
もう仕事面でどうしようもない事態に陥っている事は本人も気づいている事でしょう。
私のお金が何の役に立たない事も。
今、あの男を突き動かす原動力は私への復讐心
その一点に尽きると思います。
つまり、ワタシが要求に応じない場合、間違いなくワタシの大切なものを破壊します。
そして、自ら命を絶つでしょう。」
「そんな…」
「その点、桐山という男は智への執着心はある様であるようですが、金さえ手に入れば交渉の余地はあるように見えました。
今の私にはそれに賭けるしかない…」
「わかりました。
警察を頼るのは最後にしましょう。
今からそちらにお伺いしてもいいですか」
「ええ。こんな事に巻き込んでしまって本当に申し訳ありません。」
「いえ、ワタシも美智香さんが真弥さんを愛しているように、トモちゃんの事を心から愛しています。
彼女を取り戻す為なら何だってします。」
ユウは力強い口調で言い、電話を切った。
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