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美沙の場合

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美沙はその日も翔の住む部屋に来て食事を作り、食べさせていた。


「美沙、泊まっても大丈夫なの?」


「うん。全然大丈夫」


「旦那さん、文句言わないの?」


「言わないよ。
十年前に浮気したのが私にバレて以来、私が何しても怒らなくなった。
こうやって夜帰らなくなっても。」



「へえ、俺としては嬉しいけど。」



「とは言っても、夜に家を空けるのは久しぶりよ。
その十年前のとき以来かな」


「そっか

それで美沙、俺の言った話だけど…」


「翔クン、本当にいいの?」


「勿論。
美沙と付き合ってみて、どんどん好きになってくし、色々とお互いに理解し合えたと思うんだ。
それも、こんな短期間でね。
イヤなところも一つもないし、やっぱこれは運命の出逢いなんだって確信した。」


「ありがとう、翔クン

こんな私でいいのかなあって、なんか信じられない思いで…
気持ちを受け取っていいのか自信がないんだけど

私、翔クンの事が大好きだし、一方ではもう止められないってのもあって…」


「真弥のところと違って、美沙は旦那さんがいて、子供さんがいて、家庭があるから、俺の我を押し通すのも良くない事だとは思うけど…」


「それは気にしないで…
私の問題であって、翔クンが気にする事じゃないから。」


「うん…

あ、今日ね真弥から連絡来て…」


「私にも美智香から来たよ。
四人で会わないかってやつね」


「何だろうね、話って」


「向こうは先輩カップルだし、話を聞いてもらうだけでもいいんじゃないかなあ。」


「そうだね。唯一の理解者でもあるから、私も今日はここに泊まらせてもらう事だし、明日一緒に行こう」


「そうだね

あー美味しかった、ごちそうさま」


「お口に合ったかな」


「美沙は天才だよ、本当」


「長く生きてるし、こういうのだけは若い女の子に負けないようにしないとね」


「いや、全部余裕勝ちじゃん

綺麗だし、エッチだし、中身も完璧で優しいし」


「うーん
全部否定したくなるわ

少なくともエッチじゃないもん
エッチなのは翔クンだし…」


「うん、そうかもね

美沙といると自分がどんどんエッチになっていくのがわかる」


「それはホント私もよ

全部初めて経験することばかりで戸惑ってる

自分てこんななんだって」


「美沙のそういうところが可愛くて仕方ないよ」


翔はそう言うと、美沙にキスをした。

長いキスを終えると、少女のように美沙は頬を真っ赤にして言った。



「翔クン

こんなオバサンだけど、私…もうダメ…

あなたのことが好きで好きで仕方ないの
言葉で表現出来ないくらいに…」


「俺たちに年齢差とか、そんなものは何も関係ないよ。
ただ、お互いがお互いを好きな気持ちがあればね」


翔は美沙の頬に手を置き、優しげな表情で言った



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