上 下
63 / 633

真相

しおりを挟む
ホテルをチェックアウトした一行は松山市内観光に出かけた。

松山城の天守閣で写真を撮ったり、皆、思い思いにすごしていたが、智だけは市内が一望出来る場所にあるベンチに腰掛け、浮かない顔をしていた。

二日酔いの事もあったが、昨夜、自分が貴島に何かしていたとすれば‥

もう終わりである。

せっかく働き甲斐のある職場だったが、辞めなければいけない。

そんな事を考えると一気に憂鬱な気分になった。

「吉岡君」

智を呼ぶ声が聞こえ、顔を上げると、貴島が立っていた。

「ほら、水。」

貴島は手に持っていたミネラルウォーターを智に手渡した。

「あ、すいません
ありがとうございます。」

「大丈夫か?顔色悪いよ」

「昨日調子乗って飲み過ぎました。」

智はバツ悪そうに言って自嘲気味に笑った。

「あ、課長」

「ん?」

「さっきも言いましたけど、僕、昨日の事全然覚えてなくて‥

本当に課長に失礼な事したり、言ったりしてないですか?」

智の言葉に、貴島は頷き

「ああ。ないよ

俺が温泉から戻ったら、キミ、寝てたし」

そう言って笑った。

「それならいいんですけど」

智は貴島の言葉を聞いてもまだ安心できず、不安を抱えたままだった。

結局、真相を知る事なく、家路についた智は悶々としながら、その後も安心できない生活を送ることとなった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指すい桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

NH大戦争

フロイライン
ファンタジー
呪詛を家業として代々暮らしてきた二階堂家。 その二十六代目にあたる高校二年生の零は、二階堂家始まって以来の落ちこぼれで、呪詛も出来なければ、代々身についているとされる霊能力すら皆無だった そんな中、彼の周りで次々と事件が起きるのだが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...