ニューハーフ極道ZERO

フロイライン

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新章〜新たなる潮流〜

始動×指導

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「おーい、未来!」


大学の授業を終え、帰ろうとする未来に後ろから声をかける者がいた。


「あ、中澤」

例のヤクザとの喧嘩で怪我をさせられた二人のうちの一人、中澤和樹だった。

「久しぶりやな。

あのときはすまんかったなあ。
未来は一人で警察に連れてかれたんやろ?」


「そんなのいいよ。

ところで、もうキズの方はええの?」


「そんなんもう平気やで。

だいたいが大げさすぎんねん、あの程度で入院させるんやから。」


「示談が成立してるって聞いたけど」


「ああ。
翌日に弁護士ってのが来て、謝罪しに来たわ。何か持ってな。

中身はお菓子とお金やった。
ありがたく受け取っといたけどな。」


「そっか…」


「未来のとこには?」


「来たけど、何も受け取らんかったわ。」


「えーっ、マジで!?」


「うん。
見た目はフツーの人だったけど、ヤクザやし。」


「それはそうなんやけど。

あ、そうや

未来、この後ヒマか?
この前のお詫びも兼ねてメシでも奢るで」


「ごめん、この後用事があって。
気持ちだけでじゅーぶんやで。」

未来は学校を出ると、中澤とは反対方向に歩いていった。


そして、電車と地下鉄を乗り継いでミナミの街に降り立った。
昨日に続いて。

少し緊張しながら、今日から世話になる店「big」のドアを開けた。

「おはようございます…」

未来が恐る恐る中に向かって声をかけると、奥からユウが出てきた。

「おはよう、ユウちゃん

早くこっちに来て」

と、笑顔で手招きした。

未来はぎこちなく頭を下げた。


「ねえねえ、未来ちゃん
ワタシの服を何着か持ってきたから気に入ったのあったら、持ってって。」


「えっ、そんなの申し訳ないです。」


「いいから、いいから。
下着は女性物履いてるの?」


「はい、一応」


「ドレスだとさあ、体の線がわかりやすいから、パッド付きのガードルと胸のパッドも持って来たのよ。
良かったらコレも使ってね。
未使用品だから安心して」


「すいません…ありがとうございます」

「さて、着替えたらメイク始めようか。
髪は結構長いから、上手くセットすれば、ウィッグは必要ないね。」

ユウはそう言って笑った。

未来はユウの優しさに絆されながら心から有難く思った。

その後、赤のドレスに着替えた未来は、ユウにまた絶賛され、そして、メイクを施された。
慣れた手つきで素早くメイクしていくと、ものの十五分ほどで完成させた。

「あー、めっちゃ可愛い!
可愛すぎる!

未来ちゃん、スゴイわ!」

ユウは変身後の未来を見つめながら、歓喜の声を上げた。

未来は顔を真っ赤にして否定したが、鏡に写った自分の姿は、どこからどう見ても女性そのもので、思わず見惚れてしまうレベルであった。

未来は深く感動し、鏡に写った自身の姿を見つめ続けた。
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