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新章〜新たなる潮流〜

情勢

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「鷹村先生

今日はわざわざ足労いただきまして、ありがとうございます。」


「いえ、顧問弁護士として当然の事ですよ。」


優磨と鷹村は車に乗り未来の家に向かっていた。


「若、話は変わるんですが」


「ええ。どうされましたか?」


「知っていますか?

立正会の話」


「いえ、立正会がどうかしましたか」


「一度は分裂して勢いを失っていましたが、最近また勢力を拡大しているらしく…」


「それは本当ですか?

例の抗争のときは私も学生でしたし、況してやアメリカにおりましたので、当時の事はあまりわからないのですが…」


「まあ、とにかく酷いものでしたよ、あの抗争は。

この垂水組も直接介入はしなかったが、弱腰姿勢が傘下の組から批判を受け、いくつかの組が抜けたということもありました。」


「そうでしたね。
私が組を引き継ぐ事になったとき、傘下の組が減ったなあとは思いましたが。」


「六代目もずっとその事に頭を痛めておられて、結局は引退時期を早めてしまう事になりました。」


「まあ、親父は持病もありましたし、それは仕方ない事です。」


「おかげで若が七代目として組を引き継いでくれましたので、結果としては良かったと思います。」


「まあ、後を継いだからには、自分なりに頑張りますよ。」


「若、最近、立正会の傘下となった大友組をご存知ですか」


「大友組…
大阪にある中堅の組でしたね」


「そうです。
現代ヤクザには珍しく、武闘派集団として知られ、殺しの集団とも呼ばれている。

そのせいか、組長を含めて頻繁に警察に引っ張られて、なかなか勢力を拡大する事ができなかった。

これまで、どこの傘下にもならず、独立した組運営を行っていたのですが、最近、突如として立正会の傘下になったんです」


「ほう…
それは何故ですか?」

「私の調べでは多村が絡んでいると思います。」


「多村?

多村って、あの抗争の首謀者の多村ですか!」

「そうです。

最近まで服役していたのですが、先月出所しました。

私は、その動向を調べていたんですが、多村は大友組の組長、大友康二を頼って、身を寄せていることがわかりました。」

「多村と大友組が繋がっていたなんて…
今まで聞いた事もないですけど」


「これは噂の域を出ませんが、多村は女性に性転換された状態で服役し、刑務所の中で大友と知り合い、男女の関係になった。」

「刑務所で!

ですか?」


「勿論、肉体関係になる事などは不可能でしょうが、精神的な繋がりは持てたんじゃないでしょうか。

二人共出所して、晴れて結ばれたという事です。」

「Oh my gosh…」

「大友組、並びに立正会の庇護を受けて、多村が再び動き出した…
そう見るのが正解だと思います。

あ、着きましたね。

行きましょうか。」

鷹村は未来の住むワンルームアパートの前で停車させた車から出ながら、優磨に言った。

優磨も頷いて外に出た。
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