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一章 初夜
11 呪縛 ※
しおりを挟むとん、とん、とん、とん、とん、とん──。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!」
打ち付ける力は激しくはない。
だが、何の支えもない頼りない状態で突き上げられる衝撃に言葉を失い。
揺すられる手のままになるしかない不安に、ひりひりと炙られ。
甘い快感にまとわりつく危うい香りが、女の官能をカリカリと掻きむしる。
とんっ、とんっ、とんっ、とんっ、とんっ、とんっっ──。
不安定な身体を繰り返し支柱ごと突き上げられて、いいように弾まされている。
浮いた腰が落ちてきたところを、下で待ち受けている火柱に貫かれ、突き上げられる。
ただ撃ちつけられる何倍もの衝撃が、背骨から脳天まで、繰り返し突き抜けた。
「あっ!やっ!早い、あ、あ、あ、やっ!むりっ!」
ふ、と揺れが大きくなった。
男の片手が腰を離れたのだ。
「えっ」
あ、と身がすくむ。
ぐらりと揺れた上体を、男のその手が捕まえた。
「ひゃあんっ」
高い嬌声が上がったのは、男の手がはりのある豊かな胸を鷲掴みにしたからだ。
ゆさ、ゆさ、ゆさ。と。
目の前で揺れていた乳房の誘惑は途方もなく、男がそこに手を伸ばしたのは当然の帰結だった。
掌中におさめてやわやわと揉み、勃ち上がった朱鷺色の突起の形をなぞり、指で弾いて、爪先でかりりとからかう。
いったいそれは、揺れる身体を支えているのか、なんなのか。
そうしながら、撃ちつける腰の動きは止まらない。
たんっ、たんっ、たんっ、たんっ、たんっ、たんっっ──。
「あああっ!ああっ!あっ!もう、あっあっあっ」
振りかぶる眦から、涙が飛び散ってきらめく。
「ああ、手が足りん。そっちの続きは自分でやれ」
「?」
「両手を、胸に」
と、自分の乳房を持ち上げさせられた。
さっきの蛮行がありありと思い出されて、妻の手がびくりと跳ねる。
凄艶に笑む上唇を、見せつけるように朱い舌が這いずる。
その舌で舐められた身体のあちこちが、ぬめる舌の感触をいっせいに思い出した。
きゅうん……。
締め付けられて、男の杭も凶暴さを増す。
は、と熱い息をこぼして笑う、その掠れ声が、また女を濡らす。
「やはり、少し惜しいな」
「そのまま」と、開いたそのままの形で、両手にとらえた乳房の頂点を狙う。
ぢゅうぅっ……。
「ああんっ」
ぢゅっ、ぢゅっ、ぢゅうぅぅっ……。
「あっ!あっ!いやぁ……」
吸い方がひどく淡い。蕾の周囲をすっぽりと口に閉じ込めた、唇も舌も触れそうで触れないまま、ぢゅっ、ぢゅっ、と繰り返し吸う。
もどかしさに腰が揺れた。
「ひぁっ、あっ! ああああんんっ!」
吸って舐めて転がして、口淫を楽しむ義父の視線は、悶える若妻の顔から離れない。
「自分で、指で捏ねてみろ」
「……!」
むり、と首を振るのを許すほど甘い男ではない。
「私がした通りにすればよい。まず、指先をのせてみろ」
震えながら、おそるおそる己の指を近づける。
「さあ」
声に突かれるように、尖端に触れる。
「きゃぁっ」
自分で触れて、びくんと跳ねる、あまりに無垢な反応に、怒張はすかさず滾った。
「ひあ」
「集中だ」
「あ」
再びおずおずと指を近づけ、ペタリとつけて、今度はむずむずと沸き上がる性感になんとか耐える。
「ん、それでいい。続けて」
こんな姿を、じっと見られている。
そう思うと、羞ずかしさに身の内に熱が弾けて、顔が熱い。
「見られると感じる?」
「あ……」
否定しても意味はない。
きゅんと締め付けた身体が、訊かれるより前に白状してしまっているのだから。
「や……」
これ以上は無理だ。
首を振って目で訴える。
が、無論、聞き入れられるはずがなかった。
表情を変えない義父の顔は、怖いほどに美しい。
「できないとは言わせぬ」
長い逡巡の末に、とうとう観念した若妻の手が、己の蕾を慰めはじめる。
された通りに、なぞり、撫で、押し、またなぞる。
「つまんでみろ」
震える手で、言われた通りに指を使う。
「転がす、捏ねる、押し込む、弾く、引っ掻く……」
言葉で動く操り人形のように、娘の指は、動き続けた。
声に支配され、熱っぽい視線に舐められ、己の指に虐められて、凝った実はみるみる熟れてゆく。
「あん、あん、ああ、いやっ、あんっ!」
「その指は私の指だ。お前がいやがっても、泣いてもイっても、止まらない」
自分の意志を離れて、小さな朱い実を淫らに嬲る白い指先。
執拗に快感を塗り重ねていく。
自らを苛み、慰め、悦ばせるために。
「あっ、もう、もう、あっ!」
「その調子だ。続けて」
おのずと揺れていた腰を空いた手でつかみ、律動を再開する。
「いい子だ」
たんっ、たんっ、たんっ、たんっ、たんっ、たんっっ──。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!」
男が手を大きく広げた。
腰を支えたまま、親指を伸ばす。
長い親指が、抽挿を受け入れつづけている部分のすぐ上まで辿り着いた。
くぱ…と、静かにまくると、可愛い芽芯が顔を出した。
初めての手淫に呪縛されている女は、男のたくらみに気づかない。
最も敏感な女の極点が狙われているとは思いもしない。
その、まったく無防備だったところへ──。
かりりっ。
すでに中も奥も胸も嵐の渦中にいるなかで、その衝撃は大きすぎた。
「──────ッッ!!!」
ぴしゃんっ。
果てるばかりか、蜜の涙を奥から弾けさせて。
その余韻のまま、太い楔にひくひくとまとわりつく。
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