異世界に召喚された二世俳優、うっかり本性晒しましたが精悍な侯爵様に溺愛されています(旧:神器な僕らの異世界恋愛事情)

日夏

文字の大きさ
252 / 475
本編

-252- 運送ギルドと健康

しおりを挟む
セオのブローチを無事に選んだ後は、お茶の時間。
今日は天気も気候も良かったから、セバスの勧めで初めてガゼボで頂いた。
薔薇が間近で綺麗に見えるし、香りもとっても良かった。
凄く気持ちがいい場所だ。
ロブとロンにも話が出来たし、ひとりでぼうっとするよりずっと有意義な時間だった。



「重かったでしょう?ありがとう」
「いいえっ!」
「自分らは身体強化が取りえですから!」

まったりとお茶の時間を終えた後は、少しだけ時間があるからそのまま今咲いている薔薇について色々と教えて貰いながら、お庭を案内して貰った。
そうしてるうちにすぐに運送ギルドを通して体重計が届いたんだ。
大きさは、セオが言ったように大きくて、僕が想像していたようにばね式のものだ。
けれど、医療装置でもアンティーク調でどことなくシックでお洒落な見た目が部屋に馴染みやすい。
これなら、高級感のある脱衣所に置かれていても浮かないですむ。

重さはかなりの重さがあるみたいで、運送ギルドの職員二人で運んでくれたよ。
前にセオが言ったように、今日は体ががっしりしている職員だった。
重い荷物を運ぶのには慣れているみたいだ。
いやな顔せず、荷馬車から脱衣所のところまで運んでくれた。

運送ギルドは、帝国内全土を滞りなく回るため、管理は領の管轄から外れて独立している組織だと聞いたけれど、だからこそギルド内の規定は厳しいようだ。
職員さんも礼儀正しい。
まあ、このエリソン侯爵領で一番のエリソン侯爵へ運搬するのだから、礼儀正しく貴族相手に慣れた人たちなんだろうな。

セバスは終始厳しい表情を向けていたけれど、まだセオも帰宅していないし、万が一のことがある場合は僕を守るのはセバスの役目だったろうから、そのせいかな。
ふたりが屋敷を出て、扉が閉まると、セバスはほっとしたように息を吐いた。
屋敷に人を招き入れるのは、僕が思っている以上に注意が必要なんだってことを今更ながらに感じた。

ちらりと僕を見るセバスの目はもうすでに優しいいつもの表情だ。

「さっそく試されますか?」
「うん」

ロビーから、元来た階段をのぼりながらセバスに続く。

「レン様、運送ギルドから物が運ばれた際は、出迎えも搬入の指示も見送りも必要はありませんよ。このセバスにお任せください」
「あ、そっか……ごめんなさい、届いたのが嬉しくて一緒に出ちゃった」

僕が大人しく談話室か自室にいたら、そもそもセバスが目を光らせる必要なんてなかったんだろうな。
つい、元の世界と同じように、宅急便気分で出ちゃったのは良くなかった。
セバスが僕を止める時間もなかったはずだ。

「謝ることはございません。運送ギルドへのレン様の印象は更に上がったことでしょう」
「でも、セバスにいらない気を遣わせてしまったから。次から気を付けるね」
「ご配慮いただきありがとうございます」
「ううん」
「アレックス様が、不思議がっておりましたが……体重計の必要性をお聞きしても?」
「え?毎日量りたいからだけど……」

必要性って言われるとちょっと困る。
体重計は体重を量る以外に、機能がない。

「僕のもといたところでは、日々の健康を保つために体重を毎日量る習慣があったんだ。
勿論、全員が全員じゃないと思うけれど、僕は毎日量っていたよ。
役者だったし、体系維持にも繋がったから」
「そうでしたか」
「うん。それに短期で急に体重が増えたりだとか、逆に減ったりだとか。
そういう時は、病気なんかを疑う一つの目安になると思うし、数値で目にするのってわかりやすいから」
「なるほど」
「あとね、毎日量るだけで、ダイエット効果があるっていう論文なんかもあったよ?」
「なんと!そのような効果がおありでしたら、体重計ももっと貴族間に普及するかもしれません」

セバスが驚いたように口にする。
うーん……僕はまだ出会った人は少ないけれど、テイラー商会のあの商会長はでっぷりしてた。
元の世界の健康診断の結果だったら、迷わずメタボ判定だ。
見た目だけじゃなくて、色んな数値に注意が出そう。
贅沢をしている貴族だと、やっぱりでっぷりするものかもしれない。

「そういえば、こっちの世界には健康診断ってないの?」
「健康診断ですか?」
「うん、病気になっていたり、身体に不調がないかを調べるの。元の世界では、仕事をしていたら一年に一度するのが義務付けられてたよ?」
「そうでしたか。レン様のいた場所では、随分健康にも重視されていたようですね」
「うん。こっちにはないの?」
「そうですね。騎士や魔道士ですと、年に一度、体力や視力、魔力量などを調べる検査がありますが、その他はとくには」
「赤ちゃんもないの?」
「そうですね、ございませんね。貴族の場合は、幼児期や妊娠後は定期的に医師に健康状態を確認される家もあるかと思いますが、それもでも家によって様々です。
病気がちな方も、裕福な家限定でしょう」
「そうなんだ」

うーん……今すぐどうこうできる問題じゃないけれど、健康診断はあったほうがいいなあ。
病気が進行してからじゃ遅いもん。

「このセバスの目が腐らない限りは、家の者の健康状態は問題ありません」
「そうなの?」
「病気でも早い段階で見抜けます。レン様はすこぶる健康体ですよ、勿論アレックス様も、この家の使用人もです。ご安心ください」
「セバスも健康?自分のものは見えるの?」
「はい、自身のものも見えますよ」
「じゃあ、万が一何かあったら、ちゃんと隠さずに言ってね?健康なことは一番大切なことだと思うから」
「かしこまりました」


さっそく運び込まれたばかりの体重計にのってみる。
この世界に来てから美味しいものをたくさん食べているのに、前より殆ど動いていないから増えてるかもしれない。
そう思ったけれど、体重はぜんぜん変わらなかった。

思えば、そうそう増えにくい体質だった。
ジャンクなものを食べても、旅行で贅沢しても、必要以外なものは出ていくのか、体重増加にはつながらなかった。
逆に気を付けていないと、減りはする。
舞台の集中稽古や、公演が長かったりすると、きちんと食べないと減ることがあった。
筋肉はつきにくい、体重も増えにくい、身体は細いまま。
羨む人もいるかもしれないけれど、あまり褒められた体質でもないと思う。

でも、変わらないなら変わらないで、適正体重だ。
こっちの世界に来てから最初はストレスもあったかもしれないけれど、今はそれもない。


「いっぱい食べてるのに、変わってない」
「それはようございました」
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

処理中です...