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本編
-187- 帰宅 オリバー視点
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「マクシム、今日もありがとう。週末もよろしくな」
「はい、お任せください」
「結構冷えたと思うんだけど、これ、プリン」
「ありがとうございます。っ!?ああ、とても冷えていますね。これなら家まで冷えたまま、美味しくいただけます」
「冷えてた方がうまいもんな」
「いつもありがとうございます」
にこやかな笑顔でアサヒに答えていたマクシムですが、プリンが冷えているのを知るととても驚いた顔を向けてきました。
まあそうでしょう。
とっくにお茶の時間は過ぎていて、日が傾いているにも関わらず、昼間に買ったプリンが冷えているのですから。
この後別邸に戻ってすぐに帰宅するようですから、この時期なら十分冷たいでしょう。
途中でプリンの存在に気がついたアサヒは、『やべっ!』等と呟いて、私の肩を押しやり、炊飯器を向かいに置き、それからは器用に道中ずっとプリンを冷やしていましたからね。
無駄に高度な魔法を使い過ぎです。
アサヒは、全くそんなことは思いもしないのでしょうが、馬車で移動しながら空中で冷えた水を適量作り、ずっと冷やし続ける等、かなり高度なことをしているんですよ?
「おかえりなさいませ」
「ただいま、タイラー」
「ただいま」
マクシムを見送って玄関へと足を進めると、既に扉を開けて待ち構えていたのでしょう。タイラーが、私たちの手荷物を目にしてこちらまでやってきました。
するりと私の持っている米を受け取り、アサヒの持っていた米を炊く魔道具“炊飯器”をも当然のごとく受け取ろうとしてきます。
ですが、そこはさすがのアサヒと言いましょうか。
自分で持つから大丈夫だと、嬉しそうに抱えていては、それでも寄こせ、とは言えません。
タイラーもそんなアサヒを目にし、それが何かを問うた後、アサヒが楽し気に経緯も含めて話すのを微笑ましい様子で聞いています。
着いたと知るや否や、私の方へ詰め寄ってくるかと思っていましたので、正直アサヒに救われた思いですね。
そう、私の方は、ほんの少しだけ時間が欲しい、そう思っても仕方ありません。
タイラーの予想が、的中していたのですから。
でもまさか双子だとは思って居ないはずです。
アサヒに告げるのは、きちんと先生に診察していただいてからで良いと思っています。
勿論、実家にもですよ?
まだ食事にも気にせず、無理をしないことと、体を冷やさないようにだけは言われましたが。
ああ、あと、行為の回数は減らさずむしろ増やしていい、と。
タイラーに告げれば、疑われそうですね。
神器様に関する書物にも、そのような事など書かれていないですし、神器様から生まれた母上であってもそのようなことまで私に告げはしませんでしたし……筒抜けの場合も無きにしも非ず、ですが。
タイラーとアサヒは、まだ話を弾ませていますね。
シリル君が新しく開発しているバラのことや、来週末は朝が早いので店によれないこと、前日にソフィアに教わって自分が菓子を作るなどの話もしていま─── え?待ってください、アサヒの手作りですか?
「思ったんだけど、ソフィアが手を加えるから魔力が回復するんであってさ、ソフィアに横で教えて貰って、俺が作ればそういう効果も無くなるわけだから。クッキーとかなら俺も作れるかなって」
「よろしいかと思いますよ」
「うん、ならそうする」
「アサヒ」
「ん?どうした?」
思わず、名前を呼んでしまいました。
作るな、とは言えず。
ええ、作ってはいけない理由など、なにもありませんからね。
「いえ、その」
「あ、クッキーの味見はオリバーの役目な」
「っ!はい。その、一番最初に」
「ん?おう、もちろん」
どうやら私は、アサヒの手作りを一番最初に食べたいと思っただけのようです。
続く『お前はお子ちゃま舌だからお前が美味けりゃシリルとイケメン君も大丈夫だろ』と言う言葉は、ちょっと……いいえ、複雑ですよ。
+++++++
短いですが、次に続きますm(_ _)m
次回は、おはぎちゃん登場です。
「はい、お任せください」
「結構冷えたと思うんだけど、これ、プリン」
「ありがとうございます。っ!?ああ、とても冷えていますね。これなら家まで冷えたまま、美味しくいただけます」
「冷えてた方がうまいもんな」
「いつもありがとうございます」
にこやかな笑顔でアサヒに答えていたマクシムですが、プリンが冷えているのを知るととても驚いた顔を向けてきました。
まあそうでしょう。
とっくにお茶の時間は過ぎていて、日が傾いているにも関わらず、昼間に買ったプリンが冷えているのですから。
この後別邸に戻ってすぐに帰宅するようですから、この時期なら十分冷たいでしょう。
途中でプリンの存在に気がついたアサヒは、『やべっ!』等と呟いて、私の肩を押しやり、炊飯器を向かいに置き、それからは器用に道中ずっとプリンを冷やしていましたからね。
無駄に高度な魔法を使い過ぎです。
アサヒは、全くそんなことは思いもしないのでしょうが、馬車で移動しながら空中で冷えた水を適量作り、ずっと冷やし続ける等、かなり高度なことをしているんですよ?
「おかえりなさいませ」
「ただいま、タイラー」
「ただいま」
マクシムを見送って玄関へと足を進めると、既に扉を開けて待ち構えていたのでしょう。タイラーが、私たちの手荷物を目にしてこちらまでやってきました。
するりと私の持っている米を受け取り、アサヒの持っていた米を炊く魔道具“炊飯器”をも当然のごとく受け取ろうとしてきます。
ですが、そこはさすがのアサヒと言いましょうか。
自分で持つから大丈夫だと、嬉しそうに抱えていては、それでも寄こせ、とは言えません。
タイラーもそんなアサヒを目にし、それが何かを問うた後、アサヒが楽し気に経緯も含めて話すのを微笑ましい様子で聞いています。
着いたと知るや否や、私の方へ詰め寄ってくるかと思っていましたので、正直アサヒに救われた思いですね。
そう、私の方は、ほんの少しだけ時間が欲しい、そう思っても仕方ありません。
タイラーの予想が、的中していたのですから。
でもまさか双子だとは思って居ないはずです。
アサヒに告げるのは、きちんと先生に診察していただいてからで良いと思っています。
勿論、実家にもですよ?
まだ食事にも気にせず、無理をしないことと、体を冷やさないようにだけは言われましたが。
ああ、あと、行為の回数は減らさずむしろ増やしていい、と。
タイラーに告げれば、疑われそうですね。
神器様に関する書物にも、そのような事など書かれていないですし、神器様から生まれた母上であってもそのようなことまで私に告げはしませんでしたし……筒抜けの場合も無きにしも非ず、ですが。
タイラーとアサヒは、まだ話を弾ませていますね。
シリル君が新しく開発しているバラのことや、来週末は朝が早いので店によれないこと、前日にソフィアに教わって自分が菓子を作るなどの話もしていま─── え?待ってください、アサヒの手作りですか?
「思ったんだけど、ソフィアが手を加えるから魔力が回復するんであってさ、ソフィアに横で教えて貰って、俺が作ればそういう効果も無くなるわけだから。クッキーとかなら俺も作れるかなって」
「よろしいかと思いますよ」
「うん、ならそうする」
「アサヒ」
「ん?どうした?」
思わず、名前を呼んでしまいました。
作るな、とは言えず。
ええ、作ってはいけない理由など、なにもありませんからね。
「いえ、その」
「あ、クッキーの味見はオリバーの役目な」
「っ!はい。その、一番最初に」
「ん?おう、もちろん」
どうやら私は、アサヒの手作りを一番最初に食べたいと思っただけのようです。
続く『お前はお子ちゃま舌だからお前が美味けりゃシリルとイケメン君も大丈夫だろ』と言う言葉は、ちょっと……いいえ、複雑ですよ。
+++++++
短いですが、次に続きますm(_ _)m
次回は、おはぎちゃん登場です。
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