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本編
-55- 誰か俺を褒めてくれ
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「なぜ、おはぎが起こしに来たとき、私を起こしてくれなかったんですか?」
「だって、お前が気持ちよさそうに寝てたから」
「………」
何も言えなくなっている。
同じことがあっても、俺はお前のことは起こさないぞ。
まあ、部屋に囲まれたとかいうなら速攻で起こすが。
「それに、お前、腕っぷし0なんだろ?」
「アサヒは強いんですか?」
「まあ、それなりに動ける。
タイラーから、お前を守れるくらいになってほしいって言われたし」
「危険なことしないでください」
って言われてもなあ。
危険なことはしないが、危険なことがあったら守れるようにはなりたい。
「んなこと言ったって、危険なことしなくても起きるかもしれねーじゃん。
今回のはともかくさ、もし起きた時に守れなきゃ困るだろ?」
「危険なことなんて、私がらみでしょう?
宮廷薬師時代の研究結果の横取か、それとも恋愛の逆恨みか、あり得るのはどちらかです。
アサヒには何の関係もありません!」
何の関係もない、ねえ?
良くもそんな言葉がはけるな、そういう言い方されるとすげー傷つくじゃん。
今のは、百パーセントオリバーが悪い!
現に、アレックス様が、あちゃーって顔で見てるし、蓮君ですら同じようにあちゃーって顔で見てる。
「なんで?」
「なんでって、なんです?」
「なんで俺には何の関係もねえの?オリバーのことなのに?」
「過去の研究結果の横取も恋愛の逆恨みも、あなたは知らないことですし、気にすることじゃありません」
なんだそれ。
なんで、こう、うまく伝わらないんだ?
俺の言い方が悪いのか?
「そりゃあ、宮廷薬師んときの研究結果の横取だって、恋愛の逆恨みだって、俺は知らねえよ。
聞いてねえもん。
けど、さっき、お前俺になんつった?
『あなたが知ってることを私が知らないのが嫌』そう言ったよな?
なのに、お前は俺に、『何の関係もない、知らないことだから、気にしないでいい』そういうのか?
お前、俺に同じこと言われたらどう思うの?俺今すげー傷ついてんだけど」
あー、くっそ、自分で言いながらもっと傷ついてる。
声が涙声になる。
こんなんばっかだ、こいつといると。
嬉しいことも、楽しいこともだけど、悲しいことも、苦しいことも、倍以上だ。
「ごめんなさい、アサヒ。でも、私のために危ないことはしないで欲しくて」
「何の関係もないなんて言わないでくれよ、っ頼むから」
「ごめんなさい」
「危ないことは自らはしないけど、いざという時には、俺自身もお前のことも守れるようになりたいから、それは許してほしい」
「………」
なんだよ、それも駄目なのか?
『アサヒのこと、おはぎ守る』
おーおはぎ、いいところで来てくれた!
頼りにな……、あークッキー全部食べ終わったのか、そっか、それでか。
「本当は私が守りたいんです。出来ないことは、わかってます」
『ん。オリバー弱い、ムリ』
悔しそうに、オリバーが言う。
おい、おはぎ、追い打ちかけんな。
「別にいいじゃん、そういうのは適材適所っていうか、出来るやつがやればいいんだし。
何でもかんでも出来るやつなんていないだろ?
苦手なこと無理にしなくていいよ、お前はもっと、得意なことしてればいい」
「アサヒ」
よしよし、俺も一時泣きそうだったし、ってかちょっと泣いた、泣かされた。
だが、時間かかっちまったが、やっとオリバーの奴が浮上した。
俺の本来の目的は果たされたぞ、頑張った、よくやったな、俺。
誰かここまで頑張った俺のことを褒めてくれ。
『大丈夫。アサヒ、裏番長、とっても強い!おはぎ、アサヒより、もっと強い!任せて』
「え?」
蓮君の小さな驚きの声があがって、俺を見る。
あ?あー!蓮君に裏番長だったことがバレた!
あ…でも、蓮君、なんかあんまり驚いてないな。
むしろ謎が解けた的な、納得しちまってる顔だ、なんで。
「“うらばんちょー”ってなんだ?」
「えーと…強くて頼りになって、影で支えてくれるリーダー的な存在、かな?」
アレックス様の問いに、蓮君がなんて言っていいか困ってる。
すまん、蓮君。
「だって、お前が気持ちよさそうに寝てたから」
「………」
何も言えなくなっている。
同じことがあっても、俺はお前のことは起こさないぞ。
まあ、部屋に囲まれたとかいうなら速攻で起こすが。
「それに、お前、腕っぷし0なんだろ?」
「アサヒは強いんですか?」
「まあ、それなりに動ける。
タイラーから、お前を守れるくらいになってほしいって言われたし」
「危険なことしないでください」
って言われてもなあ。
危険なことはしないが、危険なことがあったら守れるようにはなりたい。
「んなこと言ったって、危険なことしなくても起きるかもしれねーじゃん。
今回のはともかくさ、もし起きた時に守れなきゃ困るだろ?」
「危険なことなんて、私がらみでしょう?
宮廷薬師時代の研究結果の横取か、それとも恋愛の逆恨みか、あり得るのはどちらかです。
アサヒには何の関係もありません!」
何の関係もない、ねえ?
良くもそんな言葉がはけるな、そういう言い方されるとすげー傷つくじゃん。
今のは、百パーセントオリバーが悪い!
現に、アレックス様が、あちゃーって顔で見てるし、蓮君ですら同じようにあちゃーって顔で見てる。
「なんで?」
「なんでって、なんです?」
「なんで俺には何の関係もねえの?オリバーのことなのに?」
「過去の研究結果の横取も恋愛の逆恨みも、あなたは知らないことですし、気にすることじゃありません」
なんだそれ。
なんで、こう、うまく伝わらないんだ?
俺の言い方が悪いのか?
「そりゃあ、宮廷薬師んときの研究結果の横取だって、恋愛の逆恨みだって、俺は知らねえよ。
聞いてねえもん。
けど、さっき、お前俺になんつった?
『あなたが知ってることを私が知らないのが嫌』そう言ったよな?
なのに、お前は俺に、『何の関係もない、知らないことだから、気にしないでいい』そういうのか?
お前、俺に同じこと言われたらどう思うの?俺今すげー傷ついてんだけど」
あー、くっそ、自分で言いながらもっと傷ついてる。
声が涙声になる。
こんなんばっかだ、こいつといると。
嬉しいことも、楽しいこともだけど、悲しいことも、苦しいことも、倍以上だ。
「ごめんなさい、アサヒ。でも、私のために危ないことはしないで欲しくて」
「何の関係もないなんて言わないでくれよ、っ頼むから」
「ごめんなさい」
「危ないことは自らはしないけど、いざという時には、俺自身もお前のことも守れるようになりたいから、それは許してほしい」
「………」
なんだよ、それも駄目なのか?
『アサヒのこと、おはぎ守る』
おーおはぎ、いいところで来てくれた!
頼りにな……、あークッキー全部食べ終わったのか、そっか、それでか。
「本当は私が守りたいんです。出来ないことは、わかってます」
『ん。オリバー弱い、ムリ』
悔しそうに、オリバーが言う。
おい、おはぎ、追い打ちかけんな。
「別にいいじゃん、そういうのは適材適所っていうか、出来るやつがやればいいんだし。
何でもかんでも出来るやつなんていないだろ?
苦手なこと無理にしなくていいよ、お前はもっと、得意なことしてればいい」
「アサヒ」
よしよし、俺も一時泣きそうだったし、ってかちょっと泣いた、泣かされた。
だが、時間かかっちまったが、やっとオリバーの奴が浮上した。
俺の本来の目的は果たされたぞ、頑張った、よくやったな、俺。
誰かここまで頑張った俺のことを褒めてくれ。
『大丈夫。アサヒ、裏番長、とっても強い!おはぎ、アサヒより、もっと強い!任せて』
「え?」
蓮君の小さな驚きの声があがって、俺を見る。
あ?あー!蓮君に裏番長だったことがバレた!
あ…でも、蓮君、なんかあんまり驚いてないな。
むしろ謎が解けた的な、納得しちまってる顔だ、なんで。
「“うらばんちょー”ってなんだ?」
「えーと…強くて頼りになって、影で支えてくれるリーダー的な存在、かな?」
アレックス様の問いに、蓮君がなんて言っていいか困ってる。
すまん、蓮君。
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