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本編
-40- ソフィアの特技
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10時のおやつは、皆で一緒にとる。
15時の時は30分間しっかりとるので、タイラーが給仕してくれる。
だが、10時の時は15分間の小休止だ、ダイニングで皆でとる方が効率がいい。
今日は、おはぎも一緒だ。
「うっま……。ソフィア、今日のもすげー美味い。
俺、こーゆーの好き」
今日の10時のおやつは、ソフィアお手製のあったかいハニージンジャーミルクプリンだ。
卵もゼラチンも使わず固まるプリンだ。生姜に含まれる酵素の働きによるもんだな、なかなか興味深い。
甘いはちみつと牛乳の香りに、後味にちょっぴり生姜のピリッと感があって、これが意外に合う。
ソフィアが作る菓子は、いつもほっこり優しくてあったかい味がする。
最近、帝都では高級プリンが流行りらしい。
俺は流行りの菓子にそこまで食いつかないが、ソフィアはどこからか情報を仕入れて、色々と取り入れてくれるんだそうだ。
まあ、引きこもりのオリバーのため、だろうな。
昨日食べたプリンアラモードは、しっかりしたたまごの焼きプリンで、あれもすげー美味かった。
「お口にあってよかったです」
「私は、あまり好みじゃない」
俺の横でオリバーがぼそりと呟く。
あー、やっぱりか。
まだ数えるほどしか一緒に食事をしていないが、オリバーの食の好みは、かなりお子様じみている。
甘いものは好きらしい。
それから、料理は、たまご料理が好きっぽい。
薬師なのに香辛料系や香草系が苦手なようだ。
ついでに、辛いものも苦いものも酸っぱいものも好きじゃないという。
「私も、初めて食べましたが、好きな味です」
タイラーも好きなようだ。
『おはぎも、好き』
おはぎは器用にスプーンを持つなあ。
口元に白いプリンがついてる、可愛いな。
「あら、おはぎちゃんのは生姜抜いてますのよ、普通のミルクプリンなの。
猫ちゃんに生姜は良くないと思って…オリバー様もそちらをお出ししましょうか?」
「いいよ、ソフィア。…おはぎが2個食べるんだろう?すごい顔でソフィアを見てる」
苦笑いのオリバーに、おはぎの様子を見れば、マジだ、すげー顔。
あの顔で、訴えられると、断れねえな。
「あらあら、おはぎちゃん口にプリンがついてるわ」
『ん。美味しい。…ソフィア、おかわり』
「はいはい、お持ちします」
「おはぎー、食べ過ぎんなよ?」
『大丈夫。ソフィアの美味しい。それに、食べると魔力回復する』
あー、なんか魔力が回復するとか言ってたな、そういや。
「…魔力が回復?おはぎさん、それは普通の料理と比べても、ですか?」
『ん。ソフィアの料理、普通の人のより魔力回復する』
「因みに、どのくらいに?」
『んー…おはぎ、このプリンで5回復した。アサヒのプリン、アサヒ8回復してる』
「!?冗談でしょう?」
オリバーが驚いて声を上げた。
良くわからんが、凄いことなのか?
『おはぎ嘘つかない。オリバー毎日食べてる、気付いてないだけ。
オリバー魔力22しかない。すんごく少ない。
研究して調合して、ほんとはそんな魔力使えない』
「22もあれば、薬師としてはかなり優秀なのですよ……」
オリバーがおはぎの言葉に落ち込んで俺の肩に顔を埋めてくる。
よしよしと慰める。
そうか、22あれば、優秀な方なのか。
俺が67で、おはぎよりずっと少ないって言ってたな。
なら、おはぎからみたら、オリバーの22は、すんごく少ないのだろう。
「そんなにすごいことなのか?」
「普通に食事をすると、少なからず魔力は回復する傾向にあります。ただ、それは緩やかに上がり、食べないときに比べたら、多少上がるっていうものです」
オリバーの説明じゃ…うん、よくわからん。
血糖値みたいなもんか?や、違うな。
「体力と同じですよ、アサヒ。
魔力は、自然に時間で回復します。食事をとれば、回復しやすくなる、という意味です。
通常、食べたらすぐに回復する、なんていうものではないんですよ」
タイラーがオリバーを見て苦笑しながら説明してくれる。
さすが、タイラーだ。
「へえー、なるほどな。じゃあ、ソフィアの料理って美味いだけじゃなくてすごいんだなー」
「それがもし本当なら凄いなんてものじゃないんですよ、そんな暢気に言ってられないくらいに!」
『オリバー、おはぎ嘘つかない!』
俺にツッコミを入れるオリバーに、おはぎが更にツッコミを入れる。
うん、思ったんだが、おはぎとオリバーは相性が悪そうだ。
「だよなー、おはぎは嘘つかないもんな。
まあいいじゃん、そこまで気にしなくたってさ。
ずっと食べてきたオリバーが分からないくらいなんだし、回復する分には問題ないんだろ?
これからも美味しく食べるだけじゃん」
「アサヒの言う通りです。
オリバー様、魔力の回復具合が気になるようでしたら、まずは好き嫌いをなくしていきましょう」
どさくさに紛れてタイラーが関係ないようなことをぶち込んできた。
好き嫌いが魔力の回復に関係してるなんて一切言ってない。
オリバーはというと、凄いしかめっ面だ。
「私は、もう気にしていない」
「そうですか」
色々言いながらも、ちゃんとプリンを残さず食べるオリバーだ。
そういうところが、いいやつだなって思うんだよな。
あとで褒めてやろう。
15時の時は30分間しっかりとるので、タイラーが給仕してくれる。
だが、10時の時は15分間の小休止だ、ダイニングで皆でとる方が効率がいい。
今日は、おはぎも一緒だ。
「うっま……。ソフィア、今日のもすげー美味い。
俺、こーゆーの好き」
今日の10時のおやつは、ソフィアお手製のあったかいハニージンジャーミルクプリンだ。
卵もゼラチンも使わず固まるプリンだ。生姜に含まれる酵素の働きによるもんだな、なかなか興味深い。
甘いはちみつと牛乳の香りに、後味にちょっぴり生姜のピリッと感があって、これが意外に合う。
ソフィアが作る菓子は、いつもほっこり優しくてあったかい味がする。
最近、帝都では高級プリンが流行りらしい。
俺は流行りの菓子にそこまで食いつかないが、ソフィアはどこからか情報を仕入れて、色々と取り入れてくれるんだそうだ。
まあ、引きこもりのオリバーのため、だろうな。
昨日食べたプリンアラモードは、しっかりしたたまごの焼きプリンで、あれもすげー美味かった。
「お口にあってよかったです」
「私は、あまり好みじゃない」
俺の横でオリバーがぼそりと呟く。
あー、やっぱりか。
まだ数えるほどしか一緒に食事をしていないが、オリバーの食の好みは、かなりお子様じみている。
甘いものは好きらしい。
それから、料理は、たまご料理が好きっぽい。
薬師なのに香辛料系や香草系が苦手なようだ。
ついでに、辛いものも苦いものも酸っぱいものも好きじゃないという。
「私も、初めて食べましたが、好きな味です」
タイラーも好きなようだ。
『おはぎも、好き』
おはぎは器用にスプーンを持つなあ。
口元に白いプリンがついてる、可愛いな。
「あら、おはぎちゃんのは生姜抜いてますのよ、普通のミルクプリンなの。
猫ちゃんに生姜は良くないと思って…オリバー様もそちらをお出ししましょうか?」
「いいよ、ソフィア。…おはぎが2個食べるんだろう?すごい顔でソフィアを見てる」
苦笑いのオリバーに、おはぎの様子を見れば、マジだ、すげー顔。
あの顔で、訴えられると、断れねえな。
「あらあら、おはぎちゃん口にプリンがついてるわ」
『ん。美味しい。…ソフィア、おかわり』
「はいはい、お持ちします」
「おはぎー、食べ過ぎんなよ?」
『大丈夫。ソフィアの美味しい。それに、食べると魔力回復する』
あー、なんか魔力が回復するとか言ってたな、そういや。
「…魔力が回復?おはぎさん、それは普通の料理と比べても、ですか?」
『ん。ソフィアの料理、普通の人のより魔力回復する』
「因みに、どのくらいに?」
『んー…おはぎ、このプリンで5回復した。アサヒのプリン、アサヒ8回復してる』
「!?冗談でしょう?」
オリバーが驚いて声を上げた。
良くわからんが、凄いことなのか?
『おはぎ嘘つかない。オリバー毎日食べてる、気付いてないだけ。
オリバー魔力22しかない。すんごく少ない。
研究して調合して、ほんとはそんな魔力使えない』
「22もあれば、薬師としてはかなり優秀なのですよ……」
オリバーがおはぎの言葉に落ち込んで俺の肩に顔を埋めてくる。
よしよしと慰める。
そうか、22あれば、優秀な方なのか。
俺が67で、おはぎよりずっと少ないって言ってたな。
なら、おはぎからみたら、オリバーの22は、すんごく少ないのだろう。
「そんなにすごいことなのか?」
「普通に食事をすると、少なからず魔力は回復する傾向にあります。ただ、それは緩やかに上がり、食べないときに比べたら、多少上がるっていうものです」
オリバーの説明じゃ…うん、よくわからん。
血糖値みたいなもんか?や、違うな。
「体力と同じですよ、アサヒ。
魔力は、自然に時間で回復します。食事をとれば、回復しやすくなる、という意味です。
通常、食べたらすぐに回復する、なんていうものではないんですよ」
タイラーがオリバーを見て苦笑しながら説明してくれる。
さすが、タイラーだ。
「へえー、なるほどな。じゃあ、ソフィアの料理って美味いだけじゃなくてすごいんだなー」
「それがもし本当なら凄いなんてものじゃないんですよ、そんな暢気に言ってられないくらいに!」
『オリバー、おはぎ嘘つかない!』
俺にツッコミを入れるオリバーに、おはぎが更にツッコミを入れる。
うん、思ったんだが、おはぎとオリバーは相性が悪そうだ。
「だよなー、おはぎは嘘つかないもんな。
まあいいじゃん、そこまで気にしなくたってさ。
ずっと食べてきたオリバーが分からないくらいなんだし、回復する分には問題ないんだろ?
これからも美味しく食べるだけじゃん」
「アサヒの言う通りです。
オリバー様、魔力の回復具合が気になるようでしたら、まずは好き嫌いをなくしていきましょう」
どさくさに紛れてタイラーが関係ないようなことをぶち込んできた。
好き嫌いが魔力の回復に関係してるなんて一切言ってない。
オリバーはというと、凄いしかめっ面だ。
「私は、もう気にしていない」
「そうですか」
色々言いながらも、ちゃんとプリンを残さず食べるオリバーだ。
そういうところが、いいやつだなって思うんだよな。
あとで褒めてやろう。
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