思い出のムーンライト 〜遠き過去の3年間〜

ゼムス侯爵🌉

文字の大きさ
7 / 23
28歳

一時退院、そして失恋。

しおりを挟む
1月下旬。私はクダをつけたまま退院した。

暗く寒い午前だった。

自由にはなれたが、ひどく寂しがっていることに自分で気づいた。

夜になり寂しさは増してきた。

「妹よ。車を貸してくれ。」

「うん。」

車内で大河ドラマ新選組の曲を流しコンビニへ向かった。

Hぴょんにメルアドを伝えよう。



私は喫茶店で源と会っていた。源は1つ年下の幼なじみだ。

「やせたね。」

「前半は絶食で点滴だけだったから。」

15㌔減った。

「Hさんとは?」

「会えた🎵メルアドを渡せた🎵」

「よかった🎵」

7年ぶりの友、平の言葉を思い出した。

「もう相手いるはずなんだからやめたほうがいいって🎵」

あいつは本当にうるさい奴だ。(笑)


Hぴょんからのメールは来なくなった。私は不安になった。

下船から3ヶ月近く経った。

お袋とは喧嘩をくり返し、親父は持病で弱っていた。

妹は家族全体のために内心悩んでいた。

明日は主治医の書いてくれた紹介状を取りに行き、そのまま日赤病院へそれを持っていくことになる。

今夜、Hぴょんにもう一度メールしよう。そろそろ決着だ。


15年来の親友、平の言葉をまた思い出した。

「どうせ、その新米ナースのコにはすでに恋人がいるんだから🎵」

やかまし。その確認をこれからするんだガヤ。(笑)

幼なじみ源の言葉を思い出した。

「Zちゃん。頑張って🎵」

お前は本当にいい奴だわさ。

メール着信音が鳴った。

Hぴょんからだった。


Hぴょんからのメールに安心したと同時にひどく緊張していた。

彼氏はいないと他の患者さんから聞いたことがあった。

[今度、食事へいこう🎵]

私にはラーメン屋しか思い浮かばなかった。

[Hぴょんさ、彼氏がいるんだ。彼氏はヤキモチ焼き屋さんだから。(T_T)]

なんだと??

一瞬だけ動揺した。だが、すぐに気を取り直した。

望みがうすいことは初めから分かっていたことだ。

[ヤキモチ焼きの気持ちはわかる🎵同じHぴょんを愛する者として🎵]

最後の悪あがき。私はブレーキが効かなくなった。

[愛するって。(⁠ᗒ⁠ᗩ⁠ᗕ⁠)]

かけひきなど興味はない。最後の悪あがきをするしかなかった。

[ヤキモチ焼きって(⁠ᗒ⁠ᗩ⁠ᗕ⁠)。私は頑固でワガママなんだよ!]

[知っとった🎵そんなこと。(笑)]

数回のメールのラリーは続いた。まるで卓球やテニスのように。

だが、

[Zさんの気持ち本当にうれしく思います。ごめんなさい。ありがとうございます。

まだ、私は未熟な看護師ですが色々と相談に乗らせてもらいます。]

こうして、Hぴょんとのメールは終わった。

「妹。車を貸してくれ。」

「うん。」

車で出かけた。車内にはトランス音楽をかけていた。

サークルKにはいつもの青年が店番だった。

「おお。兄ちゃん🎵今日も夜勤かね?タバコちょうだい🎵」

タバコを買いサークルKをでた。

Hぴょんと会うことはもうなくなった。しかし、いい出会いだった。

夜空を見上げた。星が多くきれいだった。


2005年2月。

市民病院の受付広場は人が多かった。私にはなぜかそれが穏やかな光景に思えた。

紹介状をもらった私は病院をでた。

別れの寂しさには幼少期からなれてきた。

私は車に乗り日赤のある名古屋へ向かった。

空はどこまでも青かった。

《この1年後。Hぴょんは結婚しご懐妊とのこと。》
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

処理中です...