4 / 173
序章 プロローグ
3.どうやら転生させられてしまうようです
しおりを挟む
ラス・シャムラの神々の鬱憤は頂点に達しようとしていた。
この世界の主神アーシラトは雲下に広がるシャムラを見つめ何度目になるかもわからなくなったほどの大きなため息をついた。金色の髪に長い睫毛、愁いを帯びた瞳。唇の右下にある小さなホクロ。流石神と誰しもが思うであろう姿であった。
「戦いのない優しい世界にならないかしら」
その時である。小さな羽の生えた赤子が羽はばたかせてアーシラトの右肩に降り立った。腰から下は一枚の布で隠されており、腰には金のラッパを差し込んでいる。いわゆる天使と呼ばれる容姿であった。金色の髪は天然パーマがかかり、10人中10人が愛らしいと思うであろう姿であった。そのうちの一人が
「アーシラト様、地球と呼ばれる世界の日本の神より面会の希望があります」
と告げた。
「アーシラト様、お久しぶりです」
突如その場に十二単姿の女性が扇で口元を覆いながら現れた。アーシラトは笑顔を浮かべ
「アマテラス様。お久しぶりでございます。それで、いかがでしたでしょうか?」
「人材はといったところです。魂の質は特に問題はないかと。今シャムラの歴史などについて勉強されております。私はこれからお話をさせていただこうかと。」
「貴重な人材を申し訳ありません」
アーシラトは伏し目がちに答えた。
「あの方がどう答えるかです。私はあの方が望まなければお会いさせる訳にはいきません。」
「ええ。それは承知しております。本来ならばわたくしたちの世界でなんとかしなければならないのですが、戦に次ぐ戦で魂が傷ついておりますので・・・」
「そろそろ、知識を得たようですわ。では私はそろそろあのお方にお会いしてきますわ。失礼しますね、アーシラト様」
アマテラスが頭を下げ部屋を出た。一人になったアーシラトは退出したアマテラスに頭を下げた。
「お手数をおかけします。お姉さま」
そんな出来事が活字中毒者が本に夢中になっている時間、裏で行われていた。
あれからどれくらい経ったか、始は4冊の本を全て読み終えていた。5冊目のハンドブックは白紙であったので読めなかった。ただ最後のページにこれはお持ちいただきますと書かれてあったのだ。
本を読み終えて蜜柑を食べながら熱い日本茶を飲んだあとぼーっとしていた。
「大変お待たせしました。わたくしはアマテラスと申します。突然このような場所にお招きしてすみません」
始の後ろより声がかかった。振り向くと十二単の女性が立っていた。顔の部分だけ御簾がかかっており、顔は見えないようになっていた。
「あ・・・あの、アマテラス?まさか」
至って普通の人間である自覚はあった。
「そのアマテラスです。男性に顔をお出しすることはできませんので、このような姿で申し訳ありません。実はお願いがあってまいりました」
アマテラスが顔を動かすと御簾もしっかりと動いていた。
「いま貴方がお読みになったラス・シャムラという世界に渡って頂きたいのです。その世界の状況はお読みになった通りです」
始には疑問が残った。
「何のためにですか?俺一人では何もできないと思うのですが」
人間一人出来ることは限られている。正直一人で何もかもしろと言われたところで無理なのである。
「それは大丈夫です。あなただけではないのです。あなたの前にも送った方がいますし、あなたの後にも送ることが決まっています。それぞれの時間は100年ほど空きますが。ただ最終的な目的を知っておいていただくことは必要です。ですので無理はせず、ご自身のペースでかまいません」
と答えた。
「それにしてもまったく知らない世界で生活することもままならないと思うのですが」
「それに対してもあなたが知っている言葉で言うチートを差し上げることにしています。私からはシャムラの最新の知識と魔法の知識を。本としてお渡ししたものを差し上げます。もうお読みになられたでしょう」
ふふ。と笑った。
「5冊目のハンドブックはいわゆるチュートリアルのようなものです。ハンドブックがもう必要ないと判断したら消失しますのでそれまではこまめに確認をしてくださいね」
そう言い、机の上にあったはずの何も書いてなかった本を手渡しで渡された。
始はそれを受け取ると、アイテムボックスにしまった。
「あら、もうアイテムボックスの使い方を覚えたのですね」
心が永遠の中二病である始が魔法を知り、時間もあったのに試さない訳がなかった。ただしこの場所で使えたのは特殊魔法のアイテムボックスのみであったが、魔法の知識はすでに頭に入っいてた。恐るべき中二病の力であった。
「それではもう準備は出来ていそうですね。ではシャムラの神の世界へ送ることにしましょう」
アマテラスはそういうと、扇を口元から右上に踊らせた。始の意識は後ろへと引っ張られていった。
始が消えたあと、アマテラスは周囲を見渡した。
「この空間の魔力がほぼなくなっていますね。あの方はしっかりと理解して使われたのですね。今までにいらっしゃらない方ですわね」
そう言うと、上げた扇を口元に戻した。アマテラスの存在が希薄になると同時に白の空間も消え始めた。
この世界の主神アーシラトは雲下に広がるシャムラを見つめ何度目になるかもわからなくなったほどの大きなため息をついた。金色の髪に長い睫毛、愁いを帯びた瞳。唇の右下にある小さなホクロ。流石神と誰しもが思うであろう姿であった。
「戦いのない優しい世界にならないかしら」
その時である。小さな羽の生えた赤子が羽はばたかせてアーシラトの右肩に降り立った。腰から下は一枚の布で隠されており、腰には金のラッパを差し込んでいる。いわゆる天使と呼ばれる容姿であった。金色の髪は天然パーマがかかり、10人中10人が愛らしいと思うであろう姿であった。そのうちの一人が
「アーシラト様、地球と呼ばれる世界の日本の神より面会の希望があります」
と告げた。
「アーシラト様、お久しぶりです」
突如その場に十二単姿の女性が扇で口元を覆いながら現れた。アーシラトは笑顔を浮かべ
「アマテラス様。お久しぶりでございます。それで、いかがでしたでしょうか?」
「人材はといったところです。魂の質は特に問題はないかと。今シャムラの歴史などについて勉強されております。私はこれからお話をさせていただこうかと。」
「貴重な人材を申し訳ありません」
アーシラトは伏し目がちに答えた。
「あの方がどう答えるかです。私はあの方が望まなければお会いさせる訳にはいきません。」
「ええ。それは承知しております。本来ならばわたくしたちの世界でなんとかしなければならないのですが、戦に次ぐ戦で魂が傷ついておりますので・・・」
「そろそろ、知識を得たようですわ。では私はそろそろあのお方にお会いしてきますわ。失礼しますね、アーシラト様」
アマテラスが頭を下げ部屋を出た。一人になったアーシラトは退出したアマテラスに頭を下げた。
「お手数をおかけします。お姉さま」
そんな出来事が活字中毒者が本に夢中になっている時間、裏で行われていた。
あれからどれくらい経ったか、始は4冊の本を全て読み終えていた。5冊目のハンドブックは白紙であったので読めなかった。ただ最後のページにこれはお持ちいただきますと書かれてあったのだ。
本を読み終えて蜜柑を食べながら熱い日本茶を飲んだあとぼーっとしていた。
「大変お待たせしました。わたくしはアマテラスと申します。突然このような場所にお招きしてすみません」
始の後ろより声がかかった。振り向くと十二単の女性が立っていた。顔の部分だけ御簾がかかっており、顔は見えないようになっていた。
「あ・・・あの、アマテラス?まさか」
至って普通の人間である自覚はあった。
「そのアマテラスです。男性に顔をお出しすることはできませんので、このような姿で申し訳ありません。実はお願いがあってまいりました」
アマテラスが顔を動かすと御簾もしっかりと動いていた。
「いま貴方がお読みになったラス・シャムラという世界に渡って頂きたいのです。その世界の状況はお読みになった通りです」
始には疑問が残った。
「何のためにですか?俺一人では何もできないと思うのですが」
人間一人出来ることは限られている。正直一人で何もかもしろと言われたところで無理なのである。
「それは大丈夫です。あなただけではないのです。あなたの前にも送った方がいますし、あなたの後にも送ることが決まっています。それぞれの時間は100年ほど空きますが。ただ最終的な目的を知っておいていただくことは必要です。ですので無理はせず、ご自身のペースでかまいません」
と答えた。
「それにしてもまったく知らない世界で生活することもままならないと思うのですが」
「それに対してもあなたが知っている言葉で言うチートを差し上げることにしています。私からはシャムラの最新の知識と魔法の知識を。本としてお渡ししたものを差し上げます。もうお読みになられたでしょう」
ふふ。と笑った。
「5冊目のハンドブックはいわゆるチュートリアルのようなものです。ハンドブックがもう必要ないと判断したら消失しますのでそれまではこまめに確認をしてくださいね」
そう言い、机の上にあったはずの何も書いてなかった本を手渡しで渡された。
始はそれを受け取ると、アイテムボックスにしまった。
「あら、もうアイテムボックスの使い方を覚えたのですね」
心が永遠の中二病である始が魔法を知り、時間もあったのに試さない訳がなかった。ただしこの場所で使えたのは特殊魔法のアイテムボックスのみであったが、魔法の知識はすでに頭に入っいてた。恐るべき中二病の力であった。
「それではもう準備は出来ていそうですね。ではシャムラの神の世界へ送ることにしましょう」
アマテラスはそういうと、扇を口元から右上に踊らせた。始の意識は後ろへと引っ張られていった。
始が消えたあと、アマテラスは周囲を見渡した。
「この空間の魔力がほぼなくなっていますね。あの方はしっかりと理解して使われたのですね。今までにいらっしゃらない方ですわね」
そう言うと、上げた扇を口元に戻した。アマテラスの存在が希薄になると同時に白の空間も消え始めた。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる