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序章 プロローグ
3.どうやら転生させられてしまうようです
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ラス・シャムラの神々の鬱憤は頂点に達しようとしていた。
この世界の主神アーシラトは雲下に広がるシャムラを見つめ何度目になるかもわからなくなったほどの大きなため息をついた。金色の髪に長い睫毛、愁いを帯びた瞳。唇の右下にある小さなホクロ。流石神と誰しもが思うであろう姿であった。
「戦いのない優しい世界にならないかしら」
その時である。小さな羽の生えた赤子が羽はばたかせてアーシラトの右肩に降り立った。腰から下は一枚の布で隠されており、腰には金のラッパを差し込んでいる。いわゆる天使と呼ばれる容姿であった。金色の髪は天然パーマがかかり、10人中10人が愛らしいと思うであろう姿であった。そのうちの一人が
「アーシラト様、地球と呼ばれる世界の日本の神より面会の希望があります」
と告げた。
「アーシラト様、お久しぶりです」
突如その場に十二単姿の女性が扇で口元を覆いながら現れた。アーシラトは笑顔を浮かべ
「アマテラス様。お久しぶりでございます。それで、いかがでしたでしょうか?」
「人材はといったところです。魂の質は特に問題はないかと。今シャムラの歴史などについて勉強されております。私はこれからお話をさせていただこうかと。」
「貴重な人材を申し訳ありません」
アーシラトは伏し目がちに答えた。
「あの方がどう答えるかです。私はあの方が望まなければお会いさせる訳にはいきません。」
「ええ。それは承知しております。本来ならばわたくしたちの世界でなんとかしなければならないのですが、戦に次ぐ戦で魂が傷ついておりますので・・・」
「そろそろ、知識を得たようですわ。では私はそろそろあのお方にお会いしてきますわ。失礼しますね、アーシラト様」
アマテラスが頭を下げ部屋を出た。一人になったアーシラトは退出したアマテラスに頭を下げた。
「お手数をおかけします。お姉さま」
そんな出来事が活字中毒者が本に夢中になっている時間、裏で行われていた。
あれからどれくらい経ったか、始は4冊の本を全て読み終えていた。5冊目のハンドブックは白紙であったので読めなかった。ただ最後のページにこれはお持ちいただきますと書かれてあったのだ。
本を読み終えて蜜柑を食べながら熱い日本茶を飲んだあとぼーっとしていた。
「大変お待たせしました。わたくしはアマテラスと申します。突然このような場所にお招きしてすみません」
始の後ろより声がかかった。振り向くと十二単の女性が立っていた。顔の部分だけ御簾がかかっており、顔は見えないようになっていた。
「あ・・・あの、アマテラス?まさか」
至って普通の人間である自覚はあった。
「そのアマテラスです。男性に顔をお出しすることはできませんので、このような姿で申し訳ありません。実はお願いがあってまいりました」
アマテラスが顔を動かすと御簾もしっかりと動いていた。
「いま貴方がお読みになったラス・シャムラという世界に渡って頂きたいのです。その世界の状況はお読みになった通りです」
始には疑問が残った。
「何のためにですか?俺一人では何もできないと思うのですが」
人間一人出来ることは限られている。正直一人で何もかもしろと言われたところで無理なのである。
「それは大丈夫です。あなただけではないのです。あなたの前にも送った方がいますし、あなたの後にも送ることが決まっています。それぞれの時間は100年ほど空きますが。ただ最終的な目的を知っておいていただくことは必要です。ですので無理はせず、ご自身のペースでかまいません」
と答えた。
「それにしてもまったく知らない世界で生活することもままならないと思うのですが」
「それに対してもあなたが知っている言葉で言うチートを差し上げることにしています。私からはシャムラの最新の知識と魔法の知識を。本としてお渡ししたものを差し上げます。もうお読みになられたでしょう」
ふふ。と笑った。
「5冊目のハンドブックはいわゆるチュートリアルのようなものです。ハンドブックがもう必要ないと判断したら消失しますのでそれまではこまめに確認をしてくださいね」
そう言い、机の上にあったはずの何も書いてなかった本を手渡しで渡された。
始はそれを受け取ると、アイテムボックスにしまった。
「あら、もうアイテムボックスの使い方を覚えたのですね」
心が永遠の中二病である始が魔法を知り、時間もあったのに試さない訳がなかった。ただしこの場所で使えたのは特殊魔法のアイテムボックスのみであったが、魔法の知識はすでに頭に入っいてた。恐るべき中二病の力であった。
「それではもう準備は出来ていそうですね。ではシャムラの神の世界へ送ることにしましょう」
アマテラスはそういうと、扇を口元から右上に踊らせた。始の意識は後ろへと引っ張られていった。
始が消えたあと、アマテラスは周囲を見渡した。
「この空間の魔力がほぼなくなっていますね。あの方はしっかりと理解して使われたのですね。今までにいらっしゃらない方ですわね」
そう言うと、上げた扇を口元に戻した。アマテラスの存在が希薄になると同時に白の空間も消え始めた。
この世界の主神アーシラトは雲下に広がるシャムラを見つめ何度目になるかもわからなくなったほどの大きなため息をついた。金色の髪に長い睫毛、愁いを帯びた瞳。唇の右下にある小さなホクロ。流石神と誰しもが思うであろう姿であった。
「戦いのない優しい世界にならないかしら」
その時である。小さな羽の生えた赤子が羽はばたかせてアーシラトの右肩に降り立った。腰から下は一枚の布で隠されており、腰には金のラッパを差し込んでいる。いわゆる天使と呼ばれる容姿であった。金色の髪は天然パーマがかかり、10人中10人が愛らしいと思うであろう姿であった。そのうちの一人が
「アーシラト様、地球と呼ばれる世界の日本の神より面会の希望があります」
と告げた。
「アーシラト様、お久しぶりです」
突如その場に十二単姿の女性が扇で口元を覆いながら現れた。アーシラトは笑顔を浮かべ
「アマテラス様。お久しぶりでございます。それで、いかがでしたでしょうか?」
「人材はといったところです。魂の質は特に問題はないかと。今シャムラの歴史などについて勉強されております。私はこれからお話をさせていただこうかと。」
「貴重な人材を申し訳ありません」
アーシラトは伏し目がちに答えた。
「あの方がどう答えるかです。私はあの方が望まなければお会いさせる訳にはいきません。」
「ええ。それは承知しております。本来ならばわたくしたちの世界でなんとかしなければならないのですが、戦に次ぐ戦で魂が傷ついておりますので・・・」
「そろそろ、知識を得たようですわ。では私はそろそろあのお方にお会いしてきますわ。失礼しますね、アーシラト様」
アマテラスが頭を下げ部屋を出た。一人になったアーシラトは退出したアマテラスに頭を下げた。
「お手数をおかけします。お姉さま」
そんな出来事が活字中毒者が本に夢中になっている時間、裏で行われていた。
あれからどれくらい経ったか、始は4冊の本を全て読み終えていた。5冊目のハンドブックは白紙であったので読めなかった。ただ最後のページにこれはお持ちいただきますと書かれてあったのだ。
本を読み終えて蜜柑を食べながら熱い日本茶を飲んだあとぼーっとしていた。
「大変お待たせしました。わたくしはアマテラスと申します。突然このような場所にお招きしてすみません」
始の後ろより声がかかった。振り向くと十二単の女性が立っていた。顔の部分だけ御簾がかかっており、顔は見えないようになっていた。
「あ・・・あの、アマテラス?まさか」
至って普通の人間である自覚はあった。
「そのアマテラスです。男性に顔をお出しすることはできませんので、このような姿で申し訳ありません。実はお願いがあってまいりました」
アマテラスが顔を動かすと御簾もしっかりと動いていた。
「いま貴方がお読みになったラス・シャムラという世界に渡って頂きたいのです。その世界の状況はお読みになった通りです」
始には疑問が残った。
「何のためにですか?俺一人では何もできないと思うのですが」
人間一人出来ることは限られている。正直一人で何もかもしろと言われたところで無理なのである。
「それは大丈夫です。あなただけではないのです。あなたの前にも送った方がいますし、あなたの後にも送ることが決まっています。それぞれの時間は100年ほど空きますが。ただ最終的な目的を知っておいていただくことは必要です。ですので無理はせず、ご自身のペースでかまいません」
と答えた。
「それにしてもまったく知らない世界で生活することもままならないと思うのですが」
「それに対してもあなたが知っている言葉で言うチートを差し上げることにしています。私からはシャムラの最新の知識と魔法の知識を。本としてお渡ししたものを差し上げます。もうお読みになられたでしょう」
ふふ。と笑った。
「5冊目のハンドブックはいわゆるチュートリアルのようなものです。ハンドブックがもう必要ないと判断したら消失しますのでそれまではこまめに確認をしてくださいね」
そう言い、机の上にあったはずの何も書いてなかった本を手渡しで渡された。
始はそれを受け取ると、アイテムボックスにしまった。
「あら、もうアイテムボックスの使い方を覚えたのですね」
心が永遠の中二病である始が魔法を知り、時間もあったのに試さない訳がなかった。ただしこの場所で使えたのは特殊魔法のアイテムボックスのみであったが、魔法の知識はすでに頭に入っいてた。恐るべき中二病の力であった。
「それではもう準備は出来ていそうですね。ではシャムラの神の世界へ送ることにしましょう」
アマテラスはそういうと、扇を口元から右上に踊らせた。始の意識は後ろへと引っ張られていった。
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「この空間の魔力がほぼなくなっていますね。あの方はしっかりと理解して使われたのですね。今までにいらっしゃらない方ですわね」
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