上 下
5 / 173
序章 プロローグ

4.神々は欲望まみれのようです

しおりを挟む
始の意識が戻ったとき先ほどの真っ白な空間から少しピンク色の世界に居た。

「ここがシャムラの神がいる場所?」

始は周囲を見渡すが先ほどいた空間と同じような作りであった。炬燵と蜜柑、お茶はなかったが。
違うのは正面に美少女がおり、そこを中心に左右にずらっと神々しい人々がいることくらいであった。なんか神々しかった。まぁ、神であるので当然なのではあるが。

「初めてお目に掛かります。わたくしはシャムラの主神アーシラトと申します」

と頭を垂れる。慌てて始も頭を下げ

「俺は蔵田始くらたはじめです。アマテラス様から話は少し聞いています。俺は何をすればいいんでしょうか?」

と話す。声は裏返らなかったはず。

「私たちの願いはいくさを小さくすることです。出来れば辞めさせて欲しいのです」

アーシラトは申し訳なさそうに話す。

「本来ならばこの世界のことはこの世界のものが行うのが望ましいのですが、続く戦でみな魂が疲れており難しい状況なのです。そしてアマテラス様にお願いをして優しい魂を持つ人をお連れすることとなったのです。そこで今回選ばせていただいたのが貴方様なのです」

そういうとアーシラトを含め神々が頭を下げた。

「アマテラス様からも聞いている通り、始様のペースでかまいません。無理はせずお身体をご自愛くださいませね。まずは私から能力をお渡ししますね。言語理解を。シャムラにおいて言葉で困ることはないかと思われます。この能力はすべての言語において適応されます。古代語などもすべて含みますので、お気を付けくださいね」

と話し握手を求めてくる。戸惑っていると、

「能力をお渡しするには直接触れなければならないんですよ」

と笑顔で話す。握手をすると

「ではお願いします。私は始様をお送りする準備をしますので、席を外しますね」

と話しスッと消えていった。そのすぐ後に幼い男児が始に近づいてくる。

「初めまして。僕は太陽神シャプシェ。一応アーシラト様の補佐をしているんだ。僕からは四百四病ししゃくしびょうへの耐性を送るね。これで君は寿命・殺害以外では死なないよ」

と言い、握手する。

「じゃぁ僕もアーシラト様を手伝ってくるね」

とにこりと笑い消えていった。
その後は目の下に隈を作った細身の男が近づいてきた。

「すまないが、今俺は忙しいから手短にする。俺は炎と死の神モト。俺からは炎の力を。どれだけの力になるかはお前の潜在能力次第ということだ」

握手の後、モトに引き寄せられ抱き着くような体制になったとき、

「戦が多く俺は多忙なんだ。早くなんとかしてくれ。休みたい」

と耳元で呟かれ悲しそうな眼をして消えていった。

「私は嵐の神バアル。私からは風の力を。力の強さはモトと一緒よ。」

握手の後モト同様に耳元で囁かれる。

「風で飛ばしてもどこも血の匂いなの。もううんざり。早くなんとかしなさいよね」

緑色の髪をかき上げて消えていった。

「僕は水の神ヤム・ナハル。僕からは水の力だよ」

10歳児程度の姿をしている神は抱っこをしてくれと言い、始はその希望をかなえていた。

「僕ね、海洋の開発して欲しいんだよねぇ。商業船とかさぁ、出来るよね?」

えへっと笑顔を作り消えていった。

「次は私ですね。私は豊穣多産の神アシュタロテ。私からは大地の力を。アーシラト様からの願いよろしくお願いします」

「やめとけ、アシュ」

筋骨隆々の女性が握手している手を引き離しながら割り込んできた。

「アシュタロテは多産の神だ。襲われてお前の子供わんさか生まれるぞ」

恐ろしい神だった。

「俺は戦いの神アナト。お前にやるのは人の武器のマスターだ。どの武器を望む?」

シャムラの世界は魔法と剣の世界である。それぞれに技が存在し、その技は5段階に分かれている。
Lv.1 見習い
Lv.2 一人前
Lv.3 達人
Lv.4 超越者
Lv.5 神
で分類される。Lv.5はこれ以上上がらないためにマスターと呼ばれている。始はもうすでに決めた武器があった。

「道具投擲を」

始は右手を出した。アナトは少し戸惑った顔をした。

「物を投げるってことでいいのか?銃も剣も刀もあるがそれでいいのか?」

「それでいいんですよ」

と笑顔で返した。

「わかった。じゃぁ道具投擲をLv10で渡そう」

握手をしチートをもらった。

「え?スキルレベルは5レベルまででしょう?」

と消えてしまったアナトに聞いてしまった。

「それはどこで得た知識なのだ?」

最後の一人であったドワーフのような男が口をひらいた。

「ここに来る前にアマテラス様の準備していただいた本に・・・・」

と答えると、

か。それはということだ。のだ」

「なるほど。アマテラス様からは一般常識ってところか」

と理解した。その瞬間少し空間が歪んだ。

「おや、もう準備ができたようだ。俺工芸神コシャル・ハシスからは匠石運斤しょうせきうんきんを。色々なもの作ってくれ。武器以外がいいがな。」

とがははと笑い消えていた。
その瞬間意識が飛びそうになった。
始は神様にはやるって返事してないのになんて一方的なんだと思った。
その時アーシラトから

「始様あちらに着きましたら、ステータスをご確認ください」

と声が聞こえ、姿が希薄になっていった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄
ファンタジー
【9月10日を持ちまして完結致しました。特別編執筆中です】 ある日、災害に巻き込まれて命を落とした少女ミナは異世界の女神に出会い、転生をさせてもらう事になった。 女神はミナの体を創造して問う。 「要望はありますか?」 ミナは「運だけ良くしてほしい」と望んだ。 迂闊で残念な少女ミナが剣と魔法のファンタジー世界で様々な人に出会い、成長していく物語。

もふもふと異世界でスローライフを目指します!

カナデ
ファンタジー
書籍1から5巻(完結)とコミカライズ版2巻も好評発売中です!文庫化始まりました!(3/8 3巻発売)  1/4 本編完結! 引き続きその後編を連載します!ありがとうございました<(_ _)> 転生?転移?いいえただ落っこちただけらしいんですけど。…異世界へ。 日本で普通に生活していた日比野有仁28歳独身しがないサラリーマンが、会社帰りに本屋に寄って帰る途中に歩いていた地面が無くなって落ちた。地面の中に。 なのに地面の中どころか世界さえも通り越して、落ちた先は魔法もあるファンタジー世界な異世界で。 目が覚めたら目の前にはもふもふが…?? 転生?転移?神様の手違いでチート貰える?そんな説明も何もなかったよ! けれどチートなんていりません!望むのは世界が変わっても一つ! 悠々自適にスローライフがしたいだけです!それには冒険なんていらないのです! そんなアリトが理想な異世界生活を求めて頑張ったりもふもふしたりします。 **現在更新は不定期とさせていただいています。 **誤字、その他のご指摘ありがとうございます!随時誤字は修正いたします。   只今その他の修正は大きな物は書籍版の方で訂正となることがあります。ご了承下さい** 書籍版の発売日が決定いたしました!6/21日発売となりました!よろしくお願いいたします! 6/25 増版決定しました!ありがとうございます!! 10/23日2巻発売となりました!ありがとうございます<(_ _)> 1/22日に3巻が発売となりました。ありがとうございます<(_ _)> 12/21~12/23HOT1位 あれよあれよという感じの間にたくさんのお気に入りありがとうございます! 1/31 お気に入り4000越えました!ありがとうございます!ありがとうございます! 3/11 お気に入り登録5000越えました!!信じられないくらいうれしいです!ありがとうございます! 6/25 お気に入り登録6000越えました!!ありがとうございます!! いつの間にかお気に入り10000突破していました! ありがとうございます!!

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

処理中です...