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異文化
PHASE-06
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――――流石、お茶のためだけに、わざわざ建物を建てるだけはある。
それに伴うように、所作の一つ一つの動きが、優雅だ。
茶碗に緑色の粉を入れてから、湯気の立つ釜から竹の柄杓を使用して、茶碗に注ぎ入れてからの、柄杓を釜にかける仕草である、拇指と食指の間に柄杓の柄を置いてからの所作が妙にかっこいい。
そこから、掌サイズの泡立て器みたいなので、茶碗の中をかき回し始めた――。
出来上がりがまず、整備長へと出される。茶碗を手にして中身を確認。
――なに? どうしたの? 眉をしかめて躊躇してるけども。行きなさいよ。ここで不愉快になられたら、話なんて出来ないでしょ。
ほら、貴男が躊躇しているから、ロールさんにも出てきましたよ。
ロールさん、茶碗を手にして、クルクル回し始めた。
なんですかその行為は? 儀式的なものなのかな? 疑問符でいっぱいの世界である。とりあえず、ロールさんの所作を見て模倣すれば、問題ないだろう。
頭にくるのは、ロールさんが飲んだ後に、渋面だった整備長が口に入れた事だね。なにを毒味的な事をさせているのだろう。ぶっとばしてやりたい。
僕の前にも出される――――。
え~……。
なにこの色?
茶碗の中には、汚い池なんかに溜まった藻のような色の液体が……。
僕の知ってるお茶とは違う。バッカスでも飲んだ事はあるけど、ちゃんとカップの底が見える、透明度のある鮮やかな緑色だったけど、これ――、底が見えない。
というか、毒々しいんですけど……。
これは、整備長が躊躇するのも頷ける。でも、二人とも飲んだみたいだし、行くか……。
恐る恐る手にしてから、ロールさんみたいに茶碗を回してからの、心底で【オッシ!】と気合いのかけ声をいれてから、グイッ――――、とね。
――……。
おのれ……。このお奉行、盛りやがった…………。
やはり、これは毒じゃないか。色に、舌の上を走るこの苦み。僕は死んでしまうのか。倒れるなら、ロールさんの方向に――。ここは狭い。おっぱいにダイブして死んでやる。
「どうでしたか?」
何が、どうでしたか? だ。笑みを向けやがって! 盛っておいてその笑顔。この国は怖いところだ。きっと戦いにでもなれば、笑顔で人の命を奪える戦闘狂の民族に違いない。
「結構なお点前で――で、いいんでしょうか? 申し訳ありません。勉強不足で」
「おきになさらず」
ロールさんが普通に対応しておりますよ。
「苦かったでしょ?」
お奉行が、僕と整備長に問うてくる。ロールさんと違って、リアクションに困っているから、話を振ってきてくれた感じだ。
どう答えればいいのか、怒らせたら、斬られそうな気もするし。
「はい、まあ……」
お、整備長が弱々しく首肯して返答だ。
それに僕も便乗。
「ですよね。正直、私もこれの何が良いのか、分からないんですよ」
分からんのかい! まてまて、それじゃあ、ロールさんが恥かいてるじゃないか。結構なお点前とか言ってたぞ。
というか、分からないなら出さないでいただきたい。
「では、こちらを――」
また紙が出てきた。その上にちっちゃな丸っこい物体。
これは知ってる。和菓子だ。ヒャッハー! 甘い奴だ。
紙に手を伸ばすと、これまた良き手触り。高級だ。こんなちっこいお菓子乗せるために、わざわざ良い紙を利用している。
僕たちの知る貴族だって、こんな贅沢はしませんよ。器が紙とか、再利用出来ない物を使用なんて。
木で出来た小さなナイフみたいなので切って食べる。
なるほど――、渋いのは、この甘みを引き立てる為なのか。
「どうぞ」
あ、今度は見た事のあるお茶が出てきた。
口にすれば、渋みも少なく、スッキリとした飲みやすさ。
最初からコレを出して欲しかった。
――。
「さて、人心地ついてもらったところで――」
お奉行が茶釜から離れて、僕たちと距離を縮める。
狭い空間での接近は、正に指呼の距離。
これは真面目な話が始まると、最初から綺麗な姿勢のロールさんとは違って、僕と整備長は居住まいを正してからの、耳を傾ける準備に入る。
「閉鎖されていたこの国での剣術試合が国際的となりまして、将軍様だけでなく、大老の方々も開国の方へと舵を切ろうという話が出ていましてね――――」
閉鎖された神秘もいいですが、出来ればこの様な上質な紙の制作方法などを広めて欲しいとも思う僕としては、ワギョウブランドを立ち上げて、輸出で大きく稼いでいただきたいとも思っております。
反対派も、もちろんいるそうだけども、そこは双方が話し合って、妥協点を見つけつつ対応するそうな。
どこも一緒ですね……。僕たちのとこも、ちょっと前に魔王軍に勲章を授けるな! って、王都でゴタゴタしましたからね。
反対派が過激な考えに至らないように、じっくりと話して、平和的に開国が出来るように、話を進めていって下さい。
それによって始まるワギョウの夜明け――――――。
それに伴うように、所作の一つ一つの動きが、優雅だ。
茶碗に緑色の粉を入れてから、湯気の立つ釜から竹の柄杓を使用して、茶碗に注ぎ入れてからの、柄杓を釜にかける仕草である、拇指と食指の間に柄杓の柄を置いてからの所作が妙にかっこいい。
そこから、掌サイズの泡立て器みたいなので、茶碗の中をかき回し始めた――。
出来上がりがまず、整備長へと出される。茶碗を手にして中身を確認。
――なに? どうしたの? 眉をしかめて躊躇してるけども。行きなさいよ。ここで不愉快になられたら、話なんて出来ないでしょ。
ほら、貴男が躊躇しているから、ロールさんにも出てきましたよ。
ロールさん、茶碗を手にして、クルクル回し始めた。
なんですかその行為は? 儀式的なものなのかな? 疑問符でいっぱいの世界である。とりあえず、ロールさんの所作を見て模倣すれば、問題ないだろう。
頭にくるのは、ロールさんが飲んだ後に、渋面だった整備長が口に入れた事だね。なにを毒味的な事をさせているのだろう。ぶっとばしてやりたい。
僕の前にも出される――――。
え~……。
なにこの色?
茶碗の中には、汚い池なんかに溜まった藻のような色の液体が……。
僕の知ってるお茶とは違う。バッカスでも飲んだ事はあるけど、ちゃんとカップの底が見える、透明度のある鮮やかな緑色だったけど、これ――、底が見えない。
というか、毒々しいんですけど……。
これは、整備長が躊躇するのも頷ける。でも、二人とも飲んだみたいだし、行くか……。
恐る恐る手にしてから、ロールさんみたいに茶碗を回してからの、心底で【オッシ!】と気合いのかけ声をいれてから、グイッ――――、とね。
――……。
おのれ……。このお奉行、盛りやがった…………。
やはり、これは毒じゃないか。色に、舌の上を走るこの苦み。僕は死んでしまうのか。倒れるなら、ロールさんの方向に――。ここは狭い。おっぱいにダイブして死んでやる。
「どうでしたか?」
何が、どうでしたか? だ。笑みを向けやがって! 盛っておいてその笑顔。この国は怖いところだ。きっと戦いにでもなれば、笑顔で人の命を奪える戦闘狂の民族に違いない。
「結構なお点前で――で、いいんでしょうか? 申し訳ありません。勉強不足で」
「おきになさらず」
ロールさんが普通に対応しておりますよ。
「苦かったでしょ?」
お奉行が、僕と整備長に問うてくる。ロールさんと違って、リアクションに困っているから、話を振ってきてくれた感じだ。
どう答えればいいのか、怒らせたら、斬られそうな気もするし。
「はい、まあ……」
お、整備長が弱々しく首肯して返答だ。
それに僕も便乗。
「ですよね。正直、私もこれの何が良いのか、分からないんですよ」
分からんのかい! まてまて、それじゃあ、ロールさんが恥かいてるじゃないか。結構なお点前とか言ってたぞ。
というか、分からないなら出さないでいただきたい。
「では、こちらを――」
また紙が出てきた。その上にちっちゃな丸っこい物体。
これは知ってる。和菓子だ。ヒャッハー! 甘い奴だ。
紙に手を伸ばすと、これまた良き手触り。高級だ。こんなちっこいお菓子乗せるために、わざわざ良い紙を利用している。
僕たちの知る貴族だって、こんな贅沢はしませんよ。器が紙とか、再利用出来ない物を使用なんて。
木で出来た小さなナイフみたいなので切って食べる。
なるほど――、渋いのは、この甘みを引き立てる為なのか。
「どうぞ」
あ、今度は見た事のあるお茶が出てきた。
口にすれば、渋みも少なく、スッキリとした飲みやすさ。
最初からコレを出して欲しかった。
――。
「さて、人心地ついてもらったところで――」
お奉行が茶釜から離れて、僕たちと距離を縮める。
狭い空間での接近は、正に指呼の距離。
これは真面目な話が始まると、最初から綺麗な姿勢のロールさんとは違って、僕と整備長は居住まいを正してからの、耳を傾ける準備に入る。
「閉鎖されていたこの国での剣術試合が国際的となりまして、将軍様だけでなく、大老の方々も開国の方へと舵を切ろうという話が出ていましてね――――」
閉鎖された神秘もいいですが、出来ればこの様な上質な紙の制作方法などを広めて欲しいとも思う僕としては、ワギョウブランドを立ち上げて、輸出で大きく稼いでいただきたいとも思っております。
反対派も、もちろんいるそうだけども、そこは双方が話し合って、妥協点を見つけつつ対応するそうな。
どこも一緒ですね……。僕たちのとこも、ちょっと前に魔王軍に勲章を授けるな! って、王都でゴタゴタしましたからね。
反対派が過激な考えに至らないように、じっくりと話して、平和的に開国が出来るように、話を進めていって下さい。
それによって始まるワギョウの夜明け――――――。
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