上 下
165 / 604
異文化

PHASE-07

しおりを挟む
 交易を行う事で、国々の付き合いを深め、互いの文化を手にして、よりよい国の発展を目指したいという事で、始めにデジマが誕生。
 その後、剣術試合である-頂-をITADAKI-頂-と変更して国際的なものとし、これから僕たちの住まう大陸とのさらなる結びつきを強めるために、役所を造らせてもらい。更なる交易と、ワギョウ内で起こった問題を共に対処していく事で、よい関係を恒久的に築き上げていく。
 進捗状況は、ITADAKI-頂-のグローバル化までだ。
 本日から、役所建設のための地固め。ここから一気に加速させたい。
 もちろん、文化の押しつけは無しだ。それをやると侵略に発展してしまい、戦争になってしまう恐れがある。双方の友好と利益を第一。
 正直な話し、鎖国は困る。
 閉鎖的だと、そこでは何をやっているのかと、不安を抱いてもしまう者も現れる。
 もしかしたら、大陸で過激な事を考えている連中が、この国に潜伏しているのでは? と、いらぬ憶測も生まれる。
 もし本当に、過激派が鎖国を利用して、潜伏しているとなっても、大陸関係者が、ワギョウ国内での直接捜査は、勇者御一行でもない限り、行動する事は出来ない。
 その辺りは、両国間の協議で解決していくしかない。協力体制の構築は、今後の上の方々の差配しだいか……。

「悪いようにはなりますまい」
 と、お奉行は言ってくれる。
 大陸の文化がデジマを通って入ってくる事で、総合的に見れば、ワギョウは技術が遅れていると痛感させられているそうで、技術を取り込んで、追いつけ追い越せの考えが、上の方でも占めてきているそうだ。
 双方がともに良い刺激を受けて、発展していく事はいいことだ。
 役所を設けて、困った事が生じても、このお奉行と、奉行所の方々なら、助力を願い出れば、応えてくれるだろう。
 
 ――――。

 慣れない座り方をして、足がしびれてしまった……。
 動けるようになるまで苦労した。

「では、ピート殿の足も良くなったという事で、再び私が案内を」
 お持たせして、申し訳ありませんでした。
 なんで、整備長もロールさんも平気なんだろうか?
 僕だけが足がしびれてるって……、なんかしびれないコツとか有るのかな?
 お奉行に挨拶をしてから、茶室を後にし、ライゴウさんと合流。

「これから、どちらへ?」
 
「異人街へと向かいます」
 ワギョウに貿易などで滞在する大陸の方々のために、デジマの一角には専用の街を建設してくれているとの事。
 ありがたい事だ。
 役所なども、その異人街に建設するそうで、今から下見といったところだ。

「また、駕籠ですか?」
 質問してみると、
「それも良いですが――――どうでしょう。歩いてデジマの市井を見て回るのは」
 ライゴウさんの提案に、真っ先に賛成するように首肯したのがロールさん。

「ぜひ見て回りたいです」
 首肯に遅れて、口に出しての賛成だ。ノリノリである。
 良いんだけども、暑いからな~。
 ここの暑さはゲンジ砂漠とは違う暑さだ。
 高温多湿。湿度も高いから、蒸されている感じだ。蒸し料理の食材の気分が体験出来る。
 
 奉行所から出て、川沿いを歩きながら、異人街へと足を進める。
 川のおかげか、涼の恩恵が得られるのはありがたい。
 
 船頭さんが水棹みさおを巧みに使って、小舟を進めている。荷物だけじゃなく、人を乗せている小舟もある。
 あれで移動すれば、ゆっくりと市井も眺められるし、楽そうだ。
 なにより、涼しそうだし。
 
 水路がとても発展している。王都は馬車なんかの移動のために、石畳の道が多くを占めている陸路の移動だけど、ここでは水路を使っての移動の方が早そうだ。
 
 人が一塊になって待っている場所に目を向ける。
 船着場か。要所要所に設ける事で、そこでの乗り降りを行って、移動を円滑にしているようだ。

「しかし今日は暑いですね。僕たちちょっと前まで雪山にも行ってたんで、特にそう思ってしまうんですかね?」

「ほう、雪山ですか。整備局員の方々かたがた方々ほうぼうに移動して、大変なようですな」

「本来はそんなに出張ってないんですけどね」
 あえて、頼りないって事だけは伝えてはあげなかったよ。イーロン整備局の方々。身内の恥を他国にまで知られたくないからね。
 
 ――しかし、暑い……。砂利道も舗装という面では悪いものではないけども、石畳になれていると、歩きにくい。
 整備長、つなぎは上半身部分まで脱いでる。
 ロールさんも暑そうだけど、流石にみっともないからか、上着は脱がない。
 周囲が職場の仲間達ばかりなら、整備長と同じように脱ぐんだろうけど、知らない方々の目にさらされるのは嫌だもんね。
 僕としては、つなぎから解放されてまろび出るお胸様を眺めたいけども――。
 異人街以外では、中々に僕たちのような存在は珍しいようで、市井の方々の視線を一身に受けてしまう。
 特にロールさんが――――。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

錬金術師カレンはもう妥協しません

山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」 前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。 病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。 自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。 それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。 依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。 王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。 前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。 ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。 仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。 錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。 ※小説家になろうにも投稿中。

婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね

いくみ
ファンタジー
パトリシアは卒業パーティーで婚約者の王子から婚約破棄を言い渡される。 しかし、これは、本人が待ちに待った結果である。さぁこれからどうやって私の13年を返して貰いましょうか。 覚悟して下さいませ王子様! 転生者嘗めないで下さいね。 追記 すみません短編予定でしたが、長くなりそうなので長編に変更させて頂きます。 モフモフも、追加させて頂きます。 よろしくお願いいたします。 カクヨム様でも連載を始めました。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

超空想~異世界召喚されたのでハッピーエンドを目指します~

有楽 森
ファンタジー
人生最良の日になるはずだった俺は、運命の無慈悲な采配により異世界へと落ちてしまった。  地球に戻りたいのに戻れない。狼モドキな人間と地球人が助けてくれたけど勇者なんて呼ばれて……てか他にも勇者候補がいるなら俺いらないじゃん。  やっとデートまでこぎつけたのに、三年間の努力が水の泡。それにこんな化け物が出てくるとか聞いてないし。  あれ?でも……俺、ここを知ってる?え?へ?どうして俺の記憶通りになったんだ?未来予知?まさかそんなはずはない。でもじゃあ何で俺はこれから起きる事を知ってるんだ?  努力の優等生である中学3年の主人公が何故か異世界に行ってしまい、何故か勇者と呼ばれてしまう。何故か言葉を理解できるし、何故かこれから良くないことが起こるって知っている。  事件に巻き込まれながらも地球に返る為、異世界でできた友人たちの為に、頑張って怪物に立ち向かう。これは中学男子学生が愛のために頑張る恋愛冒険ファンタジーです。 第一章【冬に咲く花】は完結してます。 他のサイトに掲載しているのを、少し書き直して転載してます。若干GL・BL要素がありますが、GL・BLではありません。前半は恋愛色薄めで、ヒロインがヒロインらしくなるのは後半からです。主人公の覚醒?はゆっくり目で、徐々にといった具合です。 *印の箇所は、やや表現がきわどくなっています。ご注意ください。

【完結】あなたの思い違いではありませんの?

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
複数の物語の登場人物が、一つの世界に混在しているなんて?! 「カレンデュラ・デルフィニューム! 貴様との婚約を破棄する」 お決まりの婚約破棄を叫ぶ王太子ローランドは、その晩、ただの王子に降格された。聖女ビオラの腰を抱き寄せるが、彼女は隙を見て逃げ出す。 婚約者ではないカレンデュラに一刀両断され、ローランド王子はうろたえた。近くにいたご令嬢に「お前か」と叫ぶも人違い、目立つ赤いドレスのご令嬢に絡むも、またもや否定される。呆れ返る周囲の貴族の冷たい視線の中で、当事者四人はお互いを認識した。  転生組と転移組、四人はそれぞれに前世の知識を持っている。全員が違う物語の世界だと思い込んだリクニス国の命運はいかに?!  ハッピーエンド確定、すれ違いと勘違い、複数の物語が交錯する。 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/11/19……完結 2024/08/13……エブリスタ ファンタジー 1位 2024/08/13……アルファポリス 女性向けHOT 36位 2024/08/12……連載開始

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

転生幼児は夢いっぱい

meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、 ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい?? らしいというのも……前世を思い出したのは 転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。 これは秘匿された出自を知らないまま、 チートしつつ異世界を楽しむ男の話である! ☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。 誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。 ☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*) 今後ともよろしくお願い致します🍀

処理中です...