オラクル

kaoru

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第二章 青玉

十六話

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「これから、船長達は、忙しくなるから邪魔にならないよう部屋に戻っていよう。そして、降りる準備だ」

 先生がそう言って割り当てられた部屋に戻ってきたけど、乗ってから荷解きなんてせずにいたから、このまま荷物を持って降りればいいだけなので、降りれるようになるまでベッドに腰掛けてることにする。

「ねぇ、先生、天からの使者がケガをしてるって言っていたけど、天界の住人って、不死身じゃないの?なんか特別な力で、ケガとかしなさそうだし、したとしても治癒魔法で直ぐに治しちゃいそうなのに、そうじゃないの?」

「まぁ、不死のものは多いな、しかし、だからといってケガをしないというわけではないし、確かに、通常であれば治癒魔法というか、再生力があるから治るのも早いが、多分、あの者にケガを負わせたのはクーリィだと思うぞ」

「え?父さんが?なんで?」

「なんでって、突然こんなことに巻き込まれたからだろうね。しかも、大事な一人娘に試練を与えるなんて勝手に決められたから、怒ったのだろう」

「怒る?父さんが?」

「クーリィに怒られたことはないかい?」

「怒られたことはないと思います。ただ、危ないからって注意はされるけど、怒るのとは違いますよね?」

「そうだね。じゃぁ、フーは、クーリィが怒ったところを見たことがないんだね」

「はい。母さんに怒られてるところは見たことあるけど•••」

「ハハハ、それは、まぁね。多くの家庭でみられる光景だね。クーリィは、怒るととても怖いんだよ。そして、強いんだ」

「怖い?父さんが?それは分からないけど、強いのは知ってるよ。森に住む大きな獣にも負けないし、力持ちだから、大きな石とかも運べるもん」

「そうだね。そんなふうに強いから、天界の住人にもケガを負わせられるんだよ」

「父さんが、そんなことしたのなら、あの使者は悪い使者なの?」

「良い、悪いという言い方はあまりしない方が良いよ。物事は、色々な見方があって、その時の状況や立場によってどちらになるかわからないからね。今、自分にとってどうなのかと考えないとね」

「えーと、じゃぁ、あの使者は味方なの?」

「フーはどう思う?」

「父さんがケガを負わせたのなら、父さんと戦ったってことでしょ?んー、味方じゃない?でも、逃げる準備はしてないから、敵というわけでもない?わかんないよぉ。どっちなの?」

「それでいい、今はまだ味方とも敵とも言えないんだよ。だから、会って話をしなくてはね。そして、あの者が言ったことを全て信じてはいけないと思いながら話を聞くようにするんだよ」

「う~~?なにそれ?よくわからないよぉ?」

「そうだな。取り敢えず、直接あの者に何か聞かれたら、直ぐに返事はせずに、ちょっと考えて理解が出来るまで、説明してもらうようにすればいいよ」

「•••はい、そうします」

 先生は、どうすれば良いのか教えてくれないんだ。
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