オラクル

kaoru

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第二章 青玉

十五話

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 クク様は、首を傾げているばかりで返事がない。どうしたのだろうと思っていると、操舵室の外が何やら騒がしくなった。

「もう着いたようだな。どれ、外に出て使者様を見てみますかね」

 なんだか、船長さんが、おかしな言い方をして席を立った。

「まだ、敵だと決まったわけではないのだぞ」

 そんなことを言って先生も船長さんの後に続いた。

『私達も行ってみよう。背中に乗るといい』

 クク様が、カウチから降りて背を向けてそう言ってくれた。

「ワタシは歩けますよ」

『動物の背に乗るのは、歩くのより難しいのだぞ』

「そうなんですか?」

『そうだ。ジャスパーに抱っこされるようにはいかんのだ。自分でしっかりとバランスを取り、自分を支えないと直ぐに落ちてしまうのだぞ。だから、ちゃんと練習しておらんと、もしもの時にお前は足手まといになってしまうぞ、それでも良いのか?』

 もしもの時って、さっき話していたように、この旅で邪魔をしてくるモノから逃げたりする時ってことだよね。•••確かに、ワタシがいくら頑張って走っても、大人には敵わないし、天界の使者なんて言ったらなおさらだ。

「それは、イヤです」

 でも、ヤギに乗ったことあるし、父さんとなら、馬にも乗ったことがあるんだから大丈夫。そう思って、クク様の背に乗ると、クク様が急に動き出し、後ろに仰け反って落ちそうになった。でも、何かに支えられ、ちゃんとした姿勢に戻された。

『ほらな、自分で何でもやろうとするのは、悪いことではないが、状況判断を間違えると、命を落とすこともある。その時その時で自分にとっての最適解を選べるようにするのだな』

「•••わかりました」

 そんな難しいこと分かるようになるのかなぁ?

「一人で居たとか言っていたのに、こういうことはよく知っているのですね」

『それは神としての常識として•••地上のモノの•••いや、なんでもないな•••』

 皆が集まる方に向いながら、クク様が、また、自分の言ったことに首を傾げている。

 なんだろう?

 ワタシも、不思議に思って首を傾げていると集まった人たちが、避けてクク様を通してくれる。
 一番前までいくと、先生がワタシを抱っこした。

「クク様、どうですか?」

 聞かれたクク様が、船縁に前足をかけて港の方を見る。ワタシには、人が何人か集まっているのは分かるけど、顔もよくわからないし、男の人なのか、女の人なのかも判断できない程小さくしか見えない。

『あーー、アーレィの使者の様だが、油断はしない方が良さそうだぞ』

「何故ですか?」

『傷を負っておる』

「やっぱり•••」

 クク様の言葉を聞いて、船長がポツリとつぶやき、先生は、何やら項垂れてる。

 どうしたんだろう?
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