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第一章 碧玉
十八話
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「イアス!」
舟から降りた所に長老様方が居て、そこで、挨拶をしていたらしい、牧師様に人垣の一番後ろから先生が声をかけた。すると、前に居た人達がサァーと左右に別れて、桟橋まで道が開けた。そして、振り向いた人の中から「えっ?誰?」という質問が出て、「先生だよ!」「しっ、騒ぐな」という声が聞こえてきた。
皆に見上げられながら、先生が歩きだし、桟橋に向かうと、神父様が片膝ついて頭を下げた。
「ジャスパー様、お久しぶりです。この度は、ご指名いただきありがとうございます」
ワタシを含めた周りの人達も、どういうこと?という感じで、驚き固まってしまった。
「イアス、そんな堅苦しい挨拶はいいから、ほら、立ちなさい」
そう言って神父様を立たせると、ワタシを降ろして、長老様方の前に立ち、この島の祭りの時などの形式にそった右手を胸に当てて深く頭を下げる挨拶の動作をとった。
「長老様方、この度は、急な話を承諾していただきありがとうございます。このイシスは、私より治癒魔術が得意ですし、子供に教えるのも得意としてますので安心してください。これから、教会の方で引き継ぎをしてきますので、早々ですが失礼します」
「分かっておりますだ。この後、先生とフーは直ぐに旅立たないと行けないのだし、どうぞどうぞ行ってください」
「ワシらの事は気にしなくて結構ですだ」
「ありがとうございます」
「では、後程」
長老様方と先生と神父様がそんな挨拶をして、先生が、また、ワタシを抱き上げるとクク様を促し、先生が来た道を引き返した。
人垣を抜けた所で、何となくクク様を中心に横並びになった。先生と神父様が並び一番背の高いクク様が、少し後ろに下がっている感じだ。
「クク様、ありがとうございます」
ワタシにはなんの事か分からないけど、先生がクク様に頭を下げた。
「礼などいい。お前達が無理なことや時間が掛かることは、やってやるから何でも言え」
クク様は、無表情のままそんな風に言った。
???
「イアスも突然の事で大変だっただろう。しかし、よく来てくれた。助かるよ」
「ジャスパー様が指名してくださったのですから、精一杯勤めさせていただきます。なので、安心して旅立って下さい」
「うん、ありがとう」
「それで、そちらの少女は?」
「あ、すまない。紹介がまだだったな。この子が、クーリィ様とハウト様の子のフー様だ」
???…先生が、父さん、母さん、ワタシにまで様?
「え?フー様は、八歳だと聞きましたが…」
???…ワタシは八歳だよ?
「そう、昨日、八歳の誕生日を迎えたばかりだ」
「ああ、それで…?」
神父様は、何か納得しようとしてるけど、まだ、腑に落ちないという感じでワタシを見てくる。
「八歳に見えませんか?」
ジッと見られて、居心地が悪かったから聞いてみた。
「なるほど」
と、言ってニッコリ笑った。
「身体から言ったら、四、五歳位かと思ってしまっていましたが、表情や話し方は、しっかりしていていますね。失礼しました。フー様、私は、ジャスパー様の一番弟子のイアスといいます。お見知りおきください」
舟から降りた所に長老様方が居て、そこで、挨拶をしていたらしい、牧師様に人垣の一番後ろから先生が声をかけた。すると、前に居た人達がサァーと左右に別れて、桟橋まで道が開けた。そして、振り向いた人の中から「えっ?誰?」という質問が出て、「先生だよ!」「しっ、騒ぐな」という声が聞こえてきた。
皆に見上げられながら、先生が歩きだし、桟橋に向かうと、神父様が片膝ついて頭を下げた。
「ジャスパー様、お久しぶりです。この度は、ご指名いただきありがとうございます」
ワタシを含めた周りの人達も、どういうこと?という感じで、驚き固まってしまった。
「イアス、そんな堅苦しい挨拶はいいから、ほら、立ちなさい」
そう言って神父様を立たせると、ワタシを降ろして、長老様方の前に立ち、この島の祭りの時などの形式にそった右手を胸に当てて深く頭を下げる挨拶の動作をとった。
「長老様方、この度は、急な話を承諾していただきありがとうございます。このイシスは、私より治癒魔術が得意ですし、子供に教えるのも得意としてますので安心してください。これから、教会の方で引き継ぎをしてきますので、早々ですが失礼します」
「分かっておりますだ。この後、先生とフーは直ぐに旅立たないと行けないのだし、どうぞどうぞ行ってください」
「ワシらの事は気にしなくて結構ですだ」
「ありがとうございます」
「では、後程」
長老様方と先生と神父様がそんな挨拶をして、先生が、また、ワタシを抱き上げるとクク様を促し、先生が来た道を引き返した。
人垣を抜けた所で、何となくクク様を中心に横並びになった。先生と神父様が並び一番背の高いクク様が、少し後ろに下がっている感じだ。
「クク様、ありがとうございます」
ワタシにはなんの事か分からないけど、先生がクク様に頭を下げた。
「礼などいい。お前達が無理なことや時間が掛かることは、やってやるから何でも言え」
クク様は、無表情のままそんな風に言った。
???
「イアスも突然の事で大変だっただろう。しかし、よく来てくれた。助かるよ」
「ジャスパー様が指名してくださったのですから、精一杯勤めさせていただきます。なので、安心して旅立って下さい」
「うん、ありがとう」
「それで、そちらの少女は?」
「あ、すまない。紹介がまだだったな。この子が、クーリィ様とハウト様の子のフー様だ」
???…先生が、父さん、母さん、ワタシにまで様?
「え?フー様は、八歳だと聞きましたが…」
???…ワタシは八歳だよ?
「そう、昨日、八歳の誕生日を迎えたばかりだ」
「ああ、それで…?」
神父様は、何か納得しようとしてるけど、まだ、腑に落ちないという感じでワタシを見てくる。
「八歳に見えませんか?」
ジッと見られて、居心地が悪かったから聞いてみた。
「なるほど」
と、言ってニッコリ笑った。
「身体から言ったら、四、五歳位かと思ってしまっていましたが、表情や話し方は、しっかりしていていますね。失礼しました。フー様、私は、ジャスパー様の一番弟子のイアスといいます。お見知りおきください」
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