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. 潤也目線
しおりを挟む「やけに張り切るな」
「だって久しぶりのデートですから、楽しみなんですよ」
彼が鏡の前で楽しそうに身支度を整えている。
もうそれだけで俺はおなかいっぱいだ。
理由が自分とデートできるから、なんていう可愛い事を言われては平然を装って悶え苦しむしかない。…無理だ。
彼の邪魔にならないように隣に行き「キス、いいか?」と尋ねると快くこちらへ顔をあげてくれる。
口紅を塗ったのだろうか、潤っていて赤い。
つい舐めたくなってしまう、なんて言ったら変態だ。
軽く音を立てて唇を離し、大人しく傍で待っていると支度を終えた彼に頭を撫でられる。
「待っててくれてありがとうございます、行きましょうか」
微笑む彼に甘えたくなる衝動を抑えつつ頷いた。
本当に時々彼が年下ということを忘れてしまうくらい彼の包囲力はすごいと思う。
荷物を持って、待たせていたタクシーに乗り込み、街の駅のロッカーに荷物を預け、街へ繰り出す。
「最初はどこに行きたいんだ?」
「そうですね…食料品とかは最後で…古着屋さんに行きたいです」
「いいな、行こう」
手を繋いでやってきた通りに見覚えがある。
これは結婚して初めてのデートの場所ではないか。いや、デートだったのか…?とにかく、思い出の場所だ。
「ここ、まだ結婚して間もない時に来たな」
「そうですよ、それもあって来たんです。」
あの時の潤也さん怖かったけどやさしかったなー、と笑う彼を恥ずかしさで宥めながら彼のお目当ての古着屋へと入った。
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